クラッチの調整 #
筆者の所有個体は新車時からシフトフィーリングが良くなく、中華エンジンだから仕方ないのかもしれないと思っていた。
フィーリングがどう悪かったかというと、シフトアップのときにバチンッ、ガタンッとシフトショック&音が出がち、そして4速に異様に入りにくいというものだ。
シフトチェンジが受け付けられる回転域が限定的で、気疲れした。
これは結果的にクラッチの調整で直った。
APtrikes125のクラッチの調整方法はスーパーカブ系エンジンと全く同じ。
だからYouTubeで「スーパーカブ クラッチ調整」で検索して関連動画を見てくれ、で説明は済んでしまう。
しかし、APtrikes125にもクラッチ調整の必要があり、その方法はスーパーカブ系と同じである、ということを知らない人にとっては意味のある情報だろう。筆者もよく分かっていなかった。
スーパーカブ系エンジンのクラッチ調整方法は所定の手順に集束するが、その儀式めいた手順が何を意味するか、その仕組みを解説する貴重な動画が以下のものだ。
意味を理解した上で調整すると心構えも変わってくる。
より実践的に、個体差や調整の具合でフィーリングが変わるということに触れた動画が以下のものだ。基本の調整手順に従った上で、調整結果を受けてさらに微調整する余地があるという認識を持っていると、より良い結果を享受できる可能性もあるだろう。
APtrikes125のシフトフィーリングに違和感があるなら、クラッチ調整する。これでかなり変わってくる。
標準的な調整位置からずらすとどうなるか #
クラッチ調整は、「クラッチ調整ネジを左に回し切ってから右に1/8回転(45度)戻す」というのが標準的なやり方だが、そこからずらしていくとどうなるか?

右により多く戻すようにしていくと、クラッチの接続・切断が実行されるポイントがどんどん奥の方になる。

アソビが多くなるイメージだ。
シフトアップ・ダウンが行われるタイミングは変わらないので、クラッチ接続・切断が実行されてから、シフトアップ・ダウンが行われるまでの間隔が狭くなっていくということだろう。
どのような機序でそうなるかは理解していないが、右により多く回すとアソビが多くなるとともにシフト操作が軽く、入りやすく感じるようになる。
ただ、回しすぎるとクラッチの切れが悪くなり、シフトしづらくなることになる。
自分なりにベストポイントを探してみるといいだろう。
クラッチ調整の目安となる現象 #
- 右に回しすぎ
- 信号待ちなどで止まる寸前にガチャガチャと連続的にシフトアップないしシフトダウンして1速を出そうとするときにギアが入りづらくなる(クラッチの切れが悪くなる)
- レバーニュートラルから、クラッチの切断が開始されるまでのアソビが大きすぎると感じる
- 対策: 左に少し戻して様子を見る
- 左に回しすぎ
- 4速になかなか入らない、4速に入る回転域が狭い、4速に入れたときに「ガタン!」というショックが出やすい
- レバーニュートラルから、クラッチの切断が開始されるまでのアソビが小さいと感じる→その状態では大方4速に入りづらいと思われる
- 対策: 右に少し回して様子を見る
上記のどちらの症状も出ない……とは言わないまでも、顕著ではない領域があるはずで、そこを狙って調整する。
それは、上記の症状が出る領域の間にある。
シフトチェンジにおいてはアクセルワークも重要だが、その話題については以下の記事にまとめている。
- 関連記事: APtrikes125のシフト操作
必要な道具 #
- プラスドライバー(インパクトドライバー/ショックドライバー)
- 13mmのメガネレンチ
- マイナスドライバー
APtrikes125特有の事情 #
スーパーカブ系のエンジンの場合、クラッチ調整用のネジは最初から露出している。
APtrikes125のゾンシェンエンジンの場合は調整用のネジがクラッチ調整ネジカバーに隠されていて、調整のためにはクラッチ調整ネジカバーを覆うサイドカバーから取り外さなくてはならない。

ところがこのクラッチ調整ネジのカバーが曲者で、それを固定するプラスネジが固くて、すんなりとは回らないケースが多いと思われる。

筆者の個体でもすんなりとは開けさせてくれなかった。
このプラスネジを無理に回そうとしてネジを舐めてしまい、結果自分ではどうしようもなくなり、バイク屋さんにレスキューを依頼するケースがあるようだ。
このカバーを固定するネジをどう回すか、というのがクラッチ調整に立ちはだかる障壁となる。
その際の有効な手立てとなるのがショックドライバー(インパクトドライバー)の利用だ。

筆者は鬼トルク(ネジの締め込みが非常に強い)で有名な中国生産時代のスーパーカブ(JA10)で必要になったためショックドライバーを所持しており、それで解決した。

- デイトナ(Daytona) バイク用 ショックドライバーセット 95392
ショックドライバー(インパクトドライバー)とは? #

インパクトドライバーとショックドライバーは同じものだ。
ショックドライバーは後ろから押すとドライバーの先が押しただけ回転する(回転方向は事前に設定可能)というもので、これをネジに当てがい、後ろからハンマーで叩く。
すると、ネジを叩くのと回すのとが同時かつ瞬間的に行なわれるので、ネジ舐めを回避した上で、ネジに対し強力な回転力を与えることができるのだ。
固着したネジは叩いて固着を解くということもやるため、そういった効果も同時に発揮しているのだろう。
シフトアップ・ダウンとクラッチの関係 #
APtrikes125のミッションは自動遠心クラッチ付きロータリー式4速マニュアルトランスミッション。

レバーを前後に倒すと、シフトチェンジとクラッチの切断が同時に行なわれる。

レバーを戻す際には、クラッチの接続だけが行なわれる。
クラッチの切断と接続は0か1のデジタル的な変化ではなく、シフトレバー中立状態を1とすると、その直前から0.1、0.2、0.3、0.4〜とクラッチが徐々に接続状態に近づいていくアナログ的な変化をしている。
APtrikes125のクラッチにも、いわゆる半クラがあるのだ。

レバーを倒したままとどめ置くと、クラッチが切れた状態を維持できる。この状態を体験すると、シフトレバーを操作した際に何が起きているのかイメージしやすいので、一度やってみるといい。

シフトレバーは、クラッチレバーでもあるわけだ。
したがって、マニュアルミッションでのクラッチ操作のようにレバーを倒した後、戻しの段階で中立状態になるまで手を添えて瞬間的に半クラ状態を経由してソフトにやると、シフトショックを和らげることができる。
クラッチの調整がどう悪かったのか? #
筆者の個体はクラッチ調整が悪かったことが原因でシフトフィーリングが悪かったわけだが、どう悪かったのだろうか?
改めて所定の手順、つまり1/8回転(45度)戻しに調整してみて再確認したが、筆者の個体ではその条件だとギアが入りにくい。
そこからさらに少し右に回した辺りがちょうどいいようだ。
つまり、ちゃんと調整してあったがゆえにシフトフィーリングが悪かった、ということになる。
クラッチ調整のズボラ技 #
クラッチ調整中はサイドカバーとクラッチ調整ネジのカバーを外したままにしておくが、小さいクラッチ調整ネジのカバーはともかく、大きいサイドカバーは外しても置いておく場所に困る。
筆者はAPtrikes125を月極駐輪場に置いていて、そこに残置物を残してはいけない決まりになっているため、サイドカバーの扱いに困る。
筆者の場合は一度クラッチ調整を開始したら数日、1週間程度開けっぱなしにしておくため、それが問題になる。
サイドカバーを付けたままでも、やりにくくはあるがクラッチ調整ができなくはないので、今のところはその状態でクラッチ調整をしている。


その後、結局フレシブルタイプのレンチを購入した。
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