ハイスロットルキットの取り付け #
APtrikes125のエンジンは非力で、全開にしたところで強い加速をするわけでもなく、言ってみればアクセルの全域が常用範囲になっている。
その常用範囲を使うのにアクセルを持ち替える必要があるのがもどかしく思っていた。
純正のスロットルパイプを交換することでハイスロットル化する方法で凌いでいたが、その効果は純正の1.33倍程度にとどまり、アクセルを持ち替えることなしにアクセル全開にするにはわずかに足りない感じがあり、持ち替えずに全開にすることも不可能ではないが、腕が厳しい。

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スロットルパイプを交換する以外に、ハイスロットルキットという形で抜本的にハイスロ化するものがあると知り、それを使ってみた。

総CNCアルミ削り出しで作られており、作りはいい。スロットルパイプもアルミ製であるため、純正の樹脂スロットルパイプのように破損する心配はない。

ただし、面取りがない場所が多く、鋭利な仕上がりとなっており、樹脂製のスロットルパイプと異なりアクセルワイヤーを傷付けるかもしれない印象を受けた。

ボディ下側にあるネジは、スロットルパイプが制限なく回ってしまわないようにするストッパーの役を果たす。


タイコを引っ掛ける部分とスロットルパイプは逆ネジ固定(アクセルを開ける方向に回すと締まる。アクセルを閉じる方向に強く回すとネジが緩む)となっており、いつでも分解できる。

結論から言うとハイスロットルキットの取り付けでスロットル全閉状態から持ち替えなしで全開にできるようになり、キビキビとした運転ができるようになった。
ハイスロットルキットのもう一つの効果に、ガタの排除がある。
純正スロットルパイプが取り付けられているスイッチボックスはちゃんと固定されておらず、少しガタガタ動く状態だ。これがちょっと嫌な感じだが、ハイスロットルキットを取り付けるとハンドルパイプに直接固定することになるため、スイッチボックス由来のガタが排除できる。
ハイスロットルキットの取り付け #
使用したものはこちらのものだ。同等品がいろいろなところから販売されている。
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グリップの移植 #
既存のスロットルパイプから、ハイスロットルキットのスロットルパイプにグリップを移植する。
固い純正のグリップのままの場合はそれが困難な場合があるが、筆者のグリップは柔らかいタイプだったので、パーツクリーナーを隙間から吹き込んだら簡単に外れた。

グリップを外すのが難儀しそうなら、新しいグリップを調達する。
古い右側グリップは無理に外さず、スロットルパイプに取り付けたまま、予備として積載しておくことをおすすめする。
左側グリップは、カッターを入れて破壊して取り外すのが手っ取り早い。
ハイスロットルキットのグリップ長は120mmだ。
スロットルパイプの取り外し #
右側スイッチボックスに取り付けてあるスロットルパイプは不要になり、スロットルケーブルを取り外す必要もあるので、右側スイッチボックスを分解する。
下から2本のネジで閉じているので、それを外せばスイッチボックスが開く。


スロットルパイプにはまっているアクセルワイヤー端のタイコを外し、スロットルパイプを外す。


スロットルケーブルの取り外し #
スロットルケーブルを他のケーブルと結束バンドでまとめている場合はそれを外し、スロットルケーブルを自由にした状態でスロットルケーブルの端を回して右スイッチボックスからスロットルケーブルを外す。


ハイスロットルキットへのスロットルケーブルの取り付け #
ハイスロットルキットにスロットルケーブルを取り付け。ねじ込み量は固定用ナットの分を残すことになるため、写真のような感じになる。

新スロットルパイプへのタイコのセット #
ハイスロットルキットのスロットルパイプをハンドルパイプに通し、アクセルワイヤーのタイコをセット。

五つあるタイコ嵌め込み用の窪みのうち、真ん中の窪みにセットした。スロットルパイプをアクセルを閉じる方向に回し、ストッパーにぶつけた状態でタイコに一番近いのが真ん中の窪みだからだ。

蓋閉じとハンドルパイプへの固定 #
2本のボルトを締めて蓋を閉じる。蓋の固定と、ハンドルパイプの固定を兼ねた構造になっており、2本のボルトの締め具合でどちらかに隙間が開く。
筆者は指が触れる機会の多い手前側の合わせ目が完全に閉じるように調整した。

グリップの取り付け #
外したグリップをハイスロットルキットのスロットルパイプに取り付けるため、グリップの内側をパーツクリーナーで濡らし、差し込んだ。

内側がパーツクリーナーで濡れている間はヌルヌルと動いてしまうが、パーツクリーナーが揮発すると動かなくなる。筆者のケースではグリップボンドは必要なかった。
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バーエンドの取り付け #
必要な場合はバーエンドを取り付ける。構造上分かるかと思うが、純正のスロットルパイプより外側にずれた位置にあるため、スロットルパイプの端までハンドルパイプが来ていない。

このようなケースでも、ゴムを縮めるタイプのバーエンドは取り付けができた。

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アソビの調整 #
スロットルケーブル根元のロックナットを奥側に回し、ロックナットを左に移動させることでアクセルワイヤーの張りが増すようになり、結果、アソビが減る。
アソビが多いなと感じたら、ここで調整する。
-スロットルの遊びは5mmがベスト! 少なすぎは危険です。| ケニー佐川の「楽テクBIKE塾」 アクセル操作③|Motor-Fan Bikes - https://car.motor-fan.jp/article/10016427

あまり引っ張りすぎるとアクセルが開いてしまうので、調整する場合はエンジンをかけてアイドリング状態でするといい。
ハイスロットルキットインプレッション #
ハイスロットルパイプよりクイックな操作が可能となり、持ち替えずとも全閉から全開にできるようになった。
いつでもアクセルが全開にできるため、結果的にパワーアップしたような感覚がある。
シフト操作においてアクセルワークは大変重要。ハイスロットルキットの取り付けで、よりスムーズなシフト操作が可能となった。
APtrikes125においては、メリハリを付けたアグレッシブなアクセルワークが却ってスムーズなシフト操作の助けになる傾向があるからだ。
- 関連記事: APtrikes125のシフト操作
ハイスロ化すると勢いアクセルが重くなるが、筆者はそれほど気にならなかった。
また、デリケートなアクセルワークが必要な低速域においても、操作がしにくくなるということもなかった。
確かに少しのアクセル開度でグイっと走ってしまうため、気を全く使わないということはないが、慣れでどうにかなる範囲と筆者は感じた。
シフトアップのときに必要なアクセルを閉じる操作、シフトダウン時に筆者がやるブリッピング操作にさらにメリハリが付けられるようになって操作がしやすくなった。
筆者個人としては結果に大変満足している。
ネガティブな点 #
ハイスロットルキットのネガティブポイント。それは、スイッチボックスが遠くなるため、少しスイッチ類の操作がしづらくなることだ。
