リアシートの座面を直立可能にする

リアシートの座面を直立可能にする #

APtrikes125のリアシートは、座面を立てるとその後ろが積載スペースとして使えて便利だ。

しかし、その用途を想定して作っていないのか、標準状態では座面が立つ角度が中途半端で何とも使いにくい。

座面が垂直に立つ前に、座面の前端がタイヤハウスの前斜面に当たって、 そこでおしまいになってしまうのだ。

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このスペースを有効に使うためにも、座面には垂直に立ってもらいたい。

座面をどのように垂直に立たせるか #

座面の前端がタイヤハウスの前斜面に当たるのを回避するにはどうしたらいいだろうか?

標準状態の座面のヒンジは、下掲の写真のような構造になっている。

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座面を前にオフセットする #

まず始めにやったのが、座面を前にずらすことだ。

座面を前にずらすことで座面の前端がタイヤハウスの前斜面に当たる位置が下の方にずれることになり、結果的に座面を立てたときの角度が垂直に近づくことになる。

そこで、以下のようなパーツをホームセンターでそろえ、取り付けてみた。

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  • UボルトプレートZU 20A 1.4x3/4
  • 六角ボルトM6 x 10
  • ゆるみ止めナットM6

取り付け後の状況は下掲の写真のような感じだ。

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結果、望んでいた通りにリアシートの座面が垂直に立つようになった。

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しかし、座面が前にせり出してきた分、アルミフレームと立った座面との間の隙間が大きくなり、荷物の落下が心配になったこと。

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そして、座面を倒したときに、背もたれとの間の隙間が大きくなったのが気になった。

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この2点が気になって別の方法を取ることにした。

座面を上にオフセットする #

次に試したのが、座面を上にオフセットすることだ。座面の取り付け位置が上にずれることでも座面の前端がタイヤハウスの前斜面に当たるタイミングが後の方にずれることになり、座面を立てたときの角度が垂直に近づくのは間違いない。

そこで、ヒンジと座面との間にスペーサーを挟むことにした。

この場合は、座面と背もたれの隙間は開かない。

ヒンジの車体側は、使われているネジをそのまま流用したかったので、ネジが効く範囲の嵩上げにとどめた。

座面の裏側の方は代わりの長い木ねじを探すのが難しくなかったので、座面が垂直に立つようになる高さのスペーサーを入れることにした。

用意した長い木ねじは、具体的には以下のものだ。

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しかし、どのぐらいの高さのスペーサーを入れれば垂直になるかはやってみないと分からない。

そこで薄いスペーサーをたくさん作り、徐々に差し込んでいくことにした。

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筆者は3Dプリンターで作成したが、適当な厚さのものにネジ穴があいているだけのものなので、木材でも作れるだろう。

車体側スペーサー(画像クリックで拡大)

57mm x 16.5mmの板に、35.3mmの間隔をあけて4mmの穴があいているだけだ。

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座面側スペーサー(画像クリックで拡大)

93.5mm x 28.3mmの板に、51.5mmの間隔をあけて4mmの穴があいているだけだ。

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結果、車体側4mm、座面側20mmのスペーサーを入れることでほぼ垂直になった。

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前にオフセットした場合と異なり、垂直に立てても座面はアルミフレームより奥まって位置しており、荷物の落下の心配は少ない。

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ヒンジの取り付け位置は個体差があると思われるので、この通りとはいかない場合もあるだろう。

筆者の場合、スペーサーの厚さは調整段階で垂直より少し手前でやめておいた。

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ヒンジ付近を上にオフセットするということは、座面が後ろに傾くことになり、また底板との間に三角形の隙間が開くことになるが、とくに使用上の変化は感じない。

垂直立ち状態での固定 #

シートの座面が垂直に立つようになると、今度はその状態で固定したくなる。

フック付きのゴム紐を左右のアルミフレームに引っ掛け、立った座面を後ろから支える方法。

ストレッチコード(60cm、2個) https://jp.daisonet.com/collections/leisure0105/products/4550480241555

セリアのフッククリップをリアシート左右(どちらか)のパイプに挟み、それで支える方法。

フッククリップ https://39mag.benesse.ne.jp/lifestyle/content/?id=29404

簡単には、そんな固定方法が考えられる。

筆者は3Dプリンターで作った固定爪をリアシートの左右に取り付けた。

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座面を立てると固定爪が自動的に左右のアルミフレームにカチっと引っかかり固定される構造だ。戻すときにリリースするのがちょっと面倒だが、立てる分にはワンタッチなので便利だ。

爪を引っ掛けたポイントで座面が後ろに倒れる力が働くようにしたかったので、ヒンジに入れるスペーサーは垂直になるより少しだけ少なくなるように調整した。

このようにすると立てた座面がガタガタせず、立てた座面由来の騒音が出るのを防げる。

3Dプリンター用のデータは無料で公開している。座面を上にオフセットするためのスペーサーのデータも入っている。