バックアラームでのMP3再生

バックアラームでのMP3再生 #

APtrikes125に乗り出して必ずやることの一つに、バックアラーム(バックブザー)のミュートがある。

バックギアに入れるとピーピーというバックアラームが鳴るが、それがあまりに大きいため、周囲の人を驚かせてしまうレベルだし、夜間の使用が憚られる。

その対策として、スピーカーの出口を粘着テープで塞いだり、バックホーンに繋がっているコネクタを外してしまうなどがある。

無音化については、11分28秒から。

https://www.youtube.com/watch?v=lxbOO46RbLU&t=687s

粘着テープで塞ぐだけでもまあまあ常識的なレベルの音量になる。

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筆者はそもそもこのピーピーという音自体を変えたいと思っていた。

最近のハイブリッド車などはピーピー音から脱却し、バックアラームにサンプリング音を使っているものあり、周囲に注意を向けさせながらも絶妙に不愉快さを回避する音になっている。

筆者の好きな音を使えるバックアラームがあるか探してみたが、バックアラーム向けとして売っているものに、筆者目線ではあまりいい製品がなかった。

バックアラーム以外から探し出したのが以下の製品だ。

  • Amazon | Ahvqevn 24V ハイパワー音声ブロードキャスト プロンプト モジュール 1-To-1 MP3 多機能再生モジュール MP3 再生モジュール 高レベルおよび低レベル トリガー D | Ahvqevn | デジタルオーディオプレーヤー

DY-HL50Fという製品で、MP3、WAVの再生機能を持ち、スピーカーを駆動する60Wのアンプを搭載している。

型番で検索するとマニュアルを見つけることができる。

様々な動作モードがあるが、今回の用途でほしい以下の動作ができる点が重要だ。

  • 電源投入後、自動的に指定のファイルを再生開始
  • ループ再生可能

12V電源で動作し、電圧変換が必要ない点も重要だ。

筆者はDY-HL50Fではなく、姉妹機種のDY-HL30Tというものを使っており、今回の記事で登場するのはDY-HL30Tの方だ。使い方も見た目も基本的には同じなので子細には触れない。

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外部に接続するスピーカーが付属していないので、別途用意する。

今回筆者が用意したのが以下の製品、おなじみダイソーの300円スピーカーだ。

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基本的に、このモジュールとスピーカーで目的が果たせる。

このほか用意したのが以下のものだ。

  • ダイソー パッキン一体型保存容器(200ml)
  • 0.75SQ赤黒ダブルコード
  • 平型端子110型
  • 30cm 結束バンド(耐候性)
  • 5mm厚クッション材

ダイソー パッキン一体型保存容器(200ml) #

モジュールに防水性がないので防水・防塵性を補うためのパッキン一体型保存容器。

実際にはこのパッキン一体型保存容器に穴を開けて配線を出してくるので、そこの防水性が気になればホットボンドなどによるシーリングをやった方がいいかもしれない。

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0.75SQ赤黒ダブルコード #

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平型端子110型 #

純正のバックホーンの電源コネクタを外し、代わりにこのモジュールを接続するが、そこに平型端子110型が使われているので、少なくとも平型端子110型一つが必要になる。

メンテナンス性や取り付け時の作業性を考慮し、筆者は直配線にはせず、他の部分にも平型端子110型を使って取り外し可能とした。

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平型端子110型対応圧着工具。

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30cm 結束バンド(耐候性) #

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  • Amazon.co.jp: エルパ (ELPA) 結束耐候 300mm 黒 KBF-S300100(BK) : DIY・工具・ガーデン

5mm厚クッション材 #

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モジュール側の準備 #

APtrikes125のバックホーンは、12Vが供給されたらピーピーという音を発する。

今回用意したモジュールをバックホーンの代わりに取り付けると、バックギアに入れた際にモジュールに12Vが供給されることになる。

このときに用意したMP3ファイルをいきなりループ再生するよう設定したい。

そのためには、まず動作モードを設定するディップスイッチを所定の位置にセットする。

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デフォルト設定がそうなっていたが、確認までにディップスイッチ1〜3がオフになっていればOK。

もう一つ、用意したMP3ファイルをいきなりループ再生させるために、S1とGNDをショートさせる。

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モジュールの基本設定はこれでおしまいだ。

続いて、用意したMP3データのモジュールへの転送。

テスト用に筆者が使っているMP3ファイルを置いておいた。自作のものなので自由に使ってほしい。

モジュールには8MBのフラッシュメモリが内蔵されており、モジュールをPCにUSB接続すれば、それがPC上にマウントされて、USBメモリのように扱える。

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モジュールにあるMicroUSB端子がそれだ。最近は充電専用の2線のみ結線のケーブルが多いので、データ通信に対応したMicroUSBケーブルであることを確認して使用する。もちろん、充電専用のケーブルでは認識しない。

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8MBのフラッシュメモリがPCにマウントされたら、そこに用意したMP3ファイルをファイル名00001.MP3にリネームしてコピーする。

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数字は5桁と決まっているので間違わないようにする。

S1とGNDのショートには、00001.MP3をいきなりループ再生させるという意味がある。

仮にMP3ファイル00002.MP3を用意し、それをいきなりループ再生したい場合は、S2とGNDをショートさせる。

この要領で、以下のようなロータリースイッチを使うと、複数のファイルを切り替えて使うこともできる。

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パッキン一体型保存容器の加工 #

モジュールを収納するパッキン一体型保存容器を加工する。

電源とスピーカーのケーブルを外側に引き出すため、二つ穴を開ける。

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平型端子110型のコネクタを使うため、圧着しやすいように筆者は0.75SQのダブルコードを使ったが、その場合は4mmの穴でギリギリ通る。

このパッキン一体型保存容器は概ねモジュールを収納するのにいい感じのサイズだが、天地方向に余裕があるため、そのままだと中でモジュールがガタガタと動いてしまう。

そこで、底に5mm厚のクッション材を貼った。これで、モジュールが密閉容器の中で動かなくなった。

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ハーネス作成 #

パッキン一体型保存容器の外に電源用のダブルコードとスピーカー用のダブルコードを引き出してくる。

使う端子は以下の四つだ。SPKはスピーカー接続用端子。モノラルスピーカーだし、プラスマイナスはあまり気にしなくてOK。POWERが電源端子。ここに純正バックホーンから外したコネクタを繋ぐ。分かると思うが+がプラス、ーがマイナスだ。

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モジュールとダブルコードとはネジ端子台で接続できるため、半田を使う必要はない。端を剥いたダブルコードを端子台に差し込み、プラスドライバーで締めるだけだ。

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筆者はこのようなネジ端子台の場合は、フェルール端子を取り付けておく。

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スペースに余裕がないので、フェルール端子を圧着した上で、プラスチックのスリーブ部分はニッパーで削除した。

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筆者は、外に出したところでいったん平型端子110型を付けることにした。

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スピーカーの加工 #

筆者が唯一思い付いた、入手性がよく、安価なスピーカーであるダイソーの300円スピーカー。

ステレオ対応のため、製品には二つのスピーカーが付いてくるが、今回必要なのは一つなので切断する。

片方のスピーカーにアンプが内蔵されているが、アンプはモジュールに内蔵されているものを使うため、アンプが内蔵されていない側を使う。

こちらにも平型端子110型を取り付ける。

平型端子110型は、このスピーカーに付いている細い配線では圧着しづらいので、筆者はスピーカーを分解して、モジュール側同様0.75SQのダブルコードに付け替えた。

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さらに、そこにも平型端子110型を取り付けた。

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このスピーカーは、純正のバックホーンが取り付けられている辺りの、リアのフレームに結束バンドで取り付けるつもりで、結束バンドがずれないようにするためのパーツを3Dプリンターで作成し、取り付けた。

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3Dプリンター用のデータは以下で公開している。

3Dプリンターを使わない場合は、スピーカーに滑り止めのクッション材を貼り付け、フレームに結束バンドで共締めで固定するのがいいのではないかと思う。

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取り付け #

あとは取り付けだ。

車体下を覗き込んでの作業となるので、レジャーシートなどを敷いて準備する。

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ジャッキスタンドがなくとも一応作業ができるが、片手しか使えないのでかなり作業が不自由になる。

ジャッキスタンドをかけて上半身潜り込んで作業するか、あるいは左側のタイヤを外して横からアプローチするなどの方がいいと思われる。

モジュール側をどこに取り付けるか?

折角自由に音を変えられる仕組みなので、モジュールは下回りに取り付けるのでなく、アクセスしやすい室内側に取り付けたい。

筆者はリアシートの下に収納を取り付けているので、とりあえずそこに放り込む形とした。

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バックホーンにつながっている平型端子110型のコネクタを抜き取る。

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抜き取ったコネクタの状況は以下のようになっていた。

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ちなみに、バックギアを入れた際に12Vが流れる空きコネクタが一つある。バックランプなどの増設に使える。

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スピーカーを取り付ける。あらかじめ、結束バンドを通した状態で取り付け位置に当てがい、締め上げた。ブレーキホースがいい位置にあり、スピーカーをそこに留めておくのに役立った。

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まずは電源コードから作成する。室内側からダブルコードをバックホーンの辺りに垂らしていく。

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室内側から垂らしたダブルコードを受け取り、そこに平型端子110型を取り付ける。

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バックホーンと合わせ、極性は以下のようになる。バックホーンから外したコネクタに接続し、室内側から引っ張り上げる。

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ちょうどいい長さで切断し、モジュールと接続するための平型端子110型を取り付け接続。

スピーカーコードも同様の手順で作成し、接続。スピーカーコードは特に極性を気にする必要はない。

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今回の配線が車体下に落ちていかないように、燃料センサーの配線と結束バンドで共締めした。

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作業終了後の様子が以下だ。

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ボリューム調整 #

最後にボリューム調整をする。

プラスの精密ドライバーが必要になる。

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動作確認(動画) #

動作に問題はなく、市販のバックアラームより高音質でなかなかいいのではないだろうか。