車内でストーブを使ってはいけない #
APtrikes125の車内でストーブを使ってはいけない。
なぜ使っていけないか……そもそも使おうという発想をする人自体いないと思うが。
サイドカバーを取り付けている状態で使うと車内の二酸化炭素濃度、ゆくゆくは一酸化炭素濃度が高まり、眠気、頭痛、死亡につながる内気状態になりかねないからだ。
ストーブに偶発的に物が覆い被さったとき、また想定外の事態による引火の可能性。
事故ったときにガソリンに引火しかねない。
結果として車両火災になった際、周囲に延焼する可能性もある。
それを故意にやったことの責任を問われることになる。
施設内の敷地に入る場合は、そこのルールに抵触する可能性が高い。
安全に注意しつつ、車内でストーブを使う実験をした。
APtrikes125では、着込んだり、カイロがあれば防寒対策は十分であるため、実用性がないことは分かった上で実験に至っている。
実験の前提として、サイドカバーを利用している。
使ったのはCB缶使用小型ストーブのKOVEA CUBICだ。
- KOVEA CUBIC KGH-2010 専用の収納パウチ(カーキ)付属
本体に付いている取手を荷締めベルトでリアシートの背もたれに縛り上げて固定した。本体の下には断熱のために板を敷いた。
本体の下にはゴム足が付いており、そこは熱くならないが、底面のヒーター直下は底面が熱くなる。

板の下に滑り止めシートを敷くべきだが、短時間の実験ゆえ割愛した。

車内のCO2濃度を監視するためCO2センサーを設置。

- IODATA 二酸化炭素濃度測定 LEDでCO2濃度見える化 高精度CO2センサー 眠気対策・集中力 Windowsアプリ 3密回避 日本メーカー UD-CO2S
さらに一酸化炭素アラームを設置。

一酸化炭素アラームにはパイプ用のクランプを作って取り付けてある。

- 一酸化炭素チェッカーキャンプ用 キャンプアラーム 一酸化炭素警報器 日本語音声放送 手動ON・OFFデジタル表示 85dB大音量 中毒防止 メッシュ袋付き キャンプ/アウトドア/車中泊 日本語説明書付き (ブラック)
運転席からストーブが見えるようバックミラーを設置。

10分ほど停止状態で監視下にて動作させ、周囲のものが高温にならないことを確認した。最も距離が近いリアシートの背もたれは輻射熱が届かず全く熱くない。そもそも本体背面は冷たいぐらいだ。

サイドカバーは閉じているが、下側は隙間が目立つ。(写真はファスナーを上げているので、その部分は当然隙間がある)

シート下はエンジンで、そこは隙間だらけだ。

一酸化炭素チェッカーは0ppmを示すが、CO2センサーはみるみる濃度上昇を告知(2,500ppm以上)する。

走行試験 #
走行中にどうなるか実験してみた。初期状態の室内温度は7度。外気と同じだろう。

走り出すとすぐCO2センサーは青、つまり正常なCO2濃度への低下を示した。

それもそのはず、一応メーター周りは詰め物をしているが、フロントタイヤ付近から導かれた走行風が室内に入り込んできて強制的に換気されるからだ。

メーター周りも完璧ではないが、その下、フロントインナーカバーとボディ外装の未対処の継ぎ目から風が吹き込んでくる。

走行中、室温は少し高い9度を示したが、数キロの走行でそこから上がることはなかった。
ほんのり車内、特に頭付近が暖かく感じるが、運転席の背もたれを倒してストーブからの輻射熱が直接背中に当たるようにした。

写真的に背もたれの上端とストーブとの距離が近すぎるように感じると思うが、信号待ちのたびに確認したが、熱は上方向に逃げていくため、問題となるほどの温度にはならなかった。
輻射熱が背中に当たるようにはしたが、暖かいは暖かいが設置場所から背中まで距離があるため、ストーブ特有の上着を貫通する暖かさを存分に感じるほどではなく、これだったらカイロを複数背中に貼った方がいいだろうレベルに減衰してしまった。
ストーブの名誉のために書くが、ストーブに近づいて使えば一人ならちゃんと暖かい。
停車中の試験 #
停車し、そこで室内がどうなるか確認した。
外気温は7度から変わっていないと思われる。
サイドカバー入り口のファスナーを上げ、スリットを作って換気をよくした。

CO2センサーはすぐ2,500ppm以上を示す。一酸化炭素チェッカーは0ppmのまま。


おおよそ10分で室温は9度から15度に、そこからまた10分で21度まで上がった。

温度計設置場所より室内の顔付近は明らかに室温は高くなっていると思われ、テストを終え、移動を開始すると室内の空気が攪拌され、一時23度を記録した。

夜間テスト #
夜になって気温が下がってから再度テストをした。
気温は0度。

走行中は0度から4度まで上がり、それ以上は上がらなかった。

停車し、室温がどこまで上がるかテストをした。
20分かけ、19度まで上がった。顔付近の高さだと、それ以上はあるように思われる。外は0度。凍てつく寒さだが、室内はずっととどまれる暖かさだ。
下の方は少し寒い。主に隙間が下にあるということは元より、暖気は上に上がっていくため、ストーブを設置した高さより低い場所は厳しいのだろう。頭寒足熱の逆になってしまった。

余談だが、夜間だとストーブが放つ赤い色がかなり怪しい。確実に職質モノだ。

課題 #
ストーブそのものには室内空間を暖める能力があるので、換気の問題と表裏一体ではあるが、前から吹き込んでくる隙間風をどうにかすれば可能性はあるように感じた。
CO2濃度を上げない程度に隙間風を塞ぐという塩梅がうまく行くかどうか。
輻射熱を直接利用するにも、現状の設置方法では運転者との位置関係が悪い。より安定的かつ位置調整された設置のための台を作ると改善できるだろう。
現状のやり方では設置・撤去に手間がかかりすぎるという問題もある。
ストーブをそのままにして離れられないので、ワンタッチで設置・撤去が可能になる方法を検討する必要がある。
結構ハードルが高いので、今年のシーズン中に実現する可能性は低そうだ。
ストーブを止めた後、本体が冷えるまで実質的に足止めを食らうという問題もある。
テーブルの上に置いて使うという程度が現状の身の丈かもしれない。

車内でストーブを使ってはいけない。絶対に真似をしないでほしい。