ハンドルをセパレートハンドルに交換 #
メーター下にクランプバーを設置した流れでハンドル交換をやってみることにした。
交換には、APtrikes125のハンドル交換で定番のセパレートハンドルキットを使った。意外と安い。


- 外装パーツセット バイク スクーター セパレートハンドル キット セパハン セパレート 汎用 アップハンドル キット 角度調整 ポジション アップ 汎用 アルミ 削 り出し 分離式 (シルバー)
複数の関節パーツで構成され、カスタマイズ性が高い。

作業過程でグリップを外す必要がある。純正の固いグリップは外すのが困難な可能性があるので、交換用のグリップを買っておく方がいいかもしれない。グリップ交換については以下の記事に書いた。後述する問題で、グリップは端が閉じた、純正グリップのようなクローズドタイプがいい。
- 関連記事: ハイスロットルパイプの取り付け
このハンドルを扱ったYouTube動画が2本ある。それぞれ組み方が異なっているが、筆者はマルモリ氏の構成を真似させてもらった。
作業過程はmokmok氏の動画が詳しい。
このハンドルを導入することで得たメリットを結論代わりに列挙する。
- ハンドルの位置が後退し、より運転者に近く。これによりポジションが楽に
- 結果的に肘の位置が下がって肘掛けが意味のあるものに
- セパレートハンドルゆえハンドルセンターに何もなくなり、キーシリンダーが直視可能となり、鍵の抜き差しがしやすく
- セッティング次第だが純正ハンドルより絞る(運転者側に寄せる)ことでハンドルを切った際にメーター左右のダッシュボードスペースに干渉しづらくなり、ダッシュボード上に何かを取り付けたりできるように
- 錆びやすい純正ハンドルと異なり、総アルミ製なので錆びず、美観を保つことができるように

続いてデメリットを列挙。
- このハンドルのメリットを享受するためには勢い絞った角度にセッティングすることになるが、アクセルに角度が付いてひねりにくくなる
- 絞ると純正ハンドルより力が入れにくく、据え切り時により力が必要になる。フロントタイヤを自動車用のタイヤに交換している場合、なおかつ女性の場合は注意が必要
- 関節部はネジ止めするため、緩むリスクがある
- 純正の鉄製ハンドルより剛性が低いため、ちょっと頼りない
- トライクはハンドルをこじる機会が多いため上記のリスクをもろに被る
- ハンドル自体のデメリットではないが、ケーブルやブレーキパイプの長さの制約で、この製品の自由度が完全には活かせない
- 締め付け部分の寸法がかなり緩く作られており、相当バカ締めしないと実用強度に達しない
- 付属のボルトは、そのバカ締めに耐えうる強度を持っていないらしく、交換用のマシなボルトを別途用意する必要がある
- ハンドルパイプに空いた場所がほぼなく、ハンドルに何かを取り付けたりすることが困難
代替のボルトについて #
使われているボルトはM6 x 16mm。これが片側10本、両側で合計20本。


付属のボルトは破断の可能性があるとのことで、これをステンレスのちょっとマトモっぽいボルトに交換した。本当は国産のボルトにしょうと思ったが、ホームセンターで買おうとすると長さが15mmになってしまうので、たまたま持っていたM6 x 16mm(下掲写真左)のものにした。

元々の心許ないボルトは頭の直径が9mm。

交換用のボルトは頭の直径が10mm。普通に買おうとすると、頭の直径は10mmになると思う。

直径が1mm大きくなってしまうが、サイズ的な問題はなく、そのまま使うことができた。

- ステンレス/生地 キャップボルト (全ねじ) M6×16 (10本入り)
ばね座金が付属しているが、サイズが合っておらず座りが悪いのと、ばね座金にゆるみ止め効果はないとされているため、不使用とした。
- ばね座金“って本当にゆるみ止めの効果あるの? | しぶちょー技術研究所
純正ハンドルの取り外し #
続いて、取り付けの手順を紹介。
ハンドル右側から部品を取り外していく。まずはスイッチボックス。2本のプラスネジで下側から固定されているため、それを外していく。

スイッチボックスは、内側に飛び出たネジがハンドルパイプに開いた穴にはまり込むことで回転を抑止していることに注目しておきたい。


続いてブレーキレバー。
こちらは対辺8mmのレンチで取り外しできる。


左側のブレーキレバーも同じように外していく。左側はスイッチボックスよりブレーキレバーを先に外した方がいいかもしれない。UPとある方が上であり、方向性があることに注意。

左側のスイッチボックス。こちらも2本のプラスネジで固定されている。


こちらはネジの長さが違い、手前側が短くなっている。

左側のスイッチボックスも、ハンドルパイプの穴に、スイッチボックス内側の突起(ネジ)がはまり込んで回転を抑止する構造になっている。

左右ともスイッチボックスとブレーキレバーの取り外しが終わり、残りは左のグリップと、チョーククレバーのみ。

チョークレバーは輪っかになっており、ハンドルパイプに通されているため、左側のグリップを外さないと外れない。

中央のボルト4本を外し、ハンドルパイプを取り外す。対角12mmのレンチが必要だ。


普段は掃除をしにくい部分なのでトップブリッジやボルトを拭浄し、セパレートハンドルキットのセンターパイプを取り付ける。


左側のグリップの取り外し。筆者のグリップは柔らかいゴムで出来ているものに交換していたため、パーツクリーナーを隙間に噴き込んで簡単に外すことができた。
固いグリップでままならない場合は、グリップをカッターで切り裂いて外す。


左グリップが外せたらチョークレバーを外す。

セパレートハンドルを組み上げていく。パーツの組み立て方は前述の通りマルモリ氏の真似をした。
また前述の通り、ボルトはかなりバカ締めをしないと実用強度にならず、普通の六角レンチでは締め付けトルクが足りず全然使えない。
柄の少し長めのものが必要になる。

筆者は長辺11cmぐらいのものを使ったが、これで締め付けトルクは足りた。

レンチは対辺5mmのものが必要だ。

マルモリ氏準拠の構成は以下の通りだ。回ってしまわないようにある程度締め、仮止めで様子を見る。


ハンドルにあらかじめ開いた固定穴に、スイッチボックス内側の飛び出たネジをはめこむようにスイッチボックスを取り付ける。固定穴は2箇所にあるが、使うのは外側(ハンドル先端側)だ。ただ、穴は最適な位置にはなく、完璧な状態を目指す場合は自分で開けることになる。


スイッチボックス内側の飛び出したネジをハンドルに開いた穴にはめるのはなかなか手こずるはずだ。先に位置合わせをしてマスキングテープと筆記具で位置と角度をマーキングしておく。

そして、固定する前に先にスイッチボックスを取り付けてしまう。

しかる後に固定穴に差し込んで取り付ける。

スイッチボックスを組み立てる際、アクセルのタイコの位置は以下の写真のように真上に来るようにする。

チョークレバーのタイコは、グイっと引っ張り出し、チョークレバーに引っ掛ける。

後はブレーキレバーを固定すれば完成だ。
ハンドルの各位置のボルトはバカ締めしないと動いてしまう。ハンドルに力をかけ、据え切り(停止した状態でハンドルを左右に切る)をして、関節部分が動いてしまわないか確認しながらボルトを締めていく。
締めても締めても動いてしまい、不安に思うかもしれないが、締め付けトルクが十分なら、据え切りをしても動いてしまうことはないはずだ。
このハンドルはボルトが緩む可能性があるのが弱点。そうなると出先で困ることになるので、いつでも増し締めができるよう、バカ締めできるレンチを車載しておいた方がいいだろう。
スイッチボックスの固定位置問題 #
ハンドルパイプにあらかじめ存在するスイッチボックス固定用の穴は使えないことはないが、位置が最適ではないと書いた。
具体的には適切な位置よりハンドルパイプの先端側(外側)にずれており、グリップの途中でハンドルパイプが終わってしまう状態になってしまう。
特に、アクセル側(右側)のズレが顕著だ。


特に使用には問題ない範囲だが、グリップにオープンタイプを選択。バーエンドを取り付けたい場合は、スイッチボックス固定用の穴を自分で開けないとならない。
ハンドルとダッシュボード部分との干渉 #
セパレートハンドルに交換後、めいっぱい左にハンドルを切った状態が以下の写真だ。
ダッシュボードの方までハンドルが被さることがなくなり、ダッシュボードの方のスペースを有効活用できるようになる。

ハンドルの絞り込みの角度は自由に設定できるため、人によって結果が違うことになるが、このことがセパレートハンドルの大きな利点の一つだ。
スマートフォンホルダーの取り付け場所 #
セパレートハンドルのウィークポイントとして、ハンドルパイプ上に何か取り付けものをしたりするのが難しいことが挙げられる。
そんな際に活用が望めるのがミラー取り付けのためのネジ穴だ。APtrikes125ではそこにミラーを取り付けても実用にならない。

そのネジ穴を活用して取り付けものをしようということだ。

ハンドルパイプが覆われて、全く取り付けものができないスクーターなどのために、ミラー穴用のクランプバーが販売されている。それを利用することになる。

このネジ穴に入るネジはM10 P1.25というもので、細目ボルトという名前で販売されている。

通常M10ボルトはピッチが1.5(P1.5)になってしまい、P1.25のM10ボルトはホームセンターなどではラインナップが貧弱なはずだ。
一方、2りんかんなどの二輪用品専門店では、M10でもピッチはP1.25なのが普通で、ここに使うボルトを探すなら2りんかんなどの二輪用品専門店を訪ねるといい。
ここに使うM10 P1.25ボルトは、長さ15mm程度がいい。
ハンドルを絞った状態でミラーのネジ穴を利用してスマートフォンホルダーを取り付けると、かなりスマートフォンの取り付け位置が手前になってしまい、視力によってはキツイかもしれない。できるだけ奥側(車体前方側)にオフセットするようにした方がいいだろう。
- デイトナ(Daytona) バイク用 クランプバー ミラー用(M10/M8対応) マルチバーホルダー 100mm ブラック 78031
写真集 #
取り付け後の各部を写真に収めた。参考にしてほしい。












ダッシュボードアレンジ #
夏場にスマートフォンが直射日光に晒されて温度が上がり、CPU(SoC)のスピードが落とされて動作が激重になってしまうことがある。
ナビに使っているとこれが困りもので、それをどうにかしたいと思っていたため、筆者はサンシェードを利用することにした。
既製品がない時代、筆者は3Dプリンターでサンシェードを自作していた。スマートフォン……というかiPhoneが防水でもなかった時代(※)だったため、自作に当たっては防雨性も意識した。
※: 筆者はiPhone派だが、iPhoneの防水対応はAndroidスマートフォンよりかなり遅れた

時代は変わり、ウーバーイーツなどケータリングサービスの発展で既製品が用意されるようになった。
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- Kaedear(カエディア) バイク サンバイザー 日除け サンシェード 自転車 スマホホルダー 携帯ホルダー スマホ ホルダー スタンド マウント (25.4㎜/ホワイト)
それを使うために以下に紹介するようなダッシュボードアレンジを行なった。
これができるのも、セパレートハンドルキットと、メーター下に取り付けたクランプバーのおかげだ。
サンシェード付きのスマートフォンをハンドルに取り付けるとかなり視界が遮られて実用性が損なわれる。








