セーフティーバーの導入

セーフティーバーの導入 #

APtrikes125の定員は3人。125ccのエンジン、小型の車体からは3人乗れることなどあまり想像できない。

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しかし、車高があるためリアシートは男性でも頭上の空間が余るほどで意外と快適で、平地主体のエリアなら3人乗りは十分実用になる。

10km〜20kmという距離なら多用できるレベルだ。

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後ろに人を乗せ始めると欲しくなるのがセーフティーバーだ。

セーフティーバーとは、遊園地の乗り物によくある、搭乗者の前に下ろすアレのことだ。

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リアシートの乗員に聞くと、シートベルトをしていても何か掴める場所が欲しいと言われることがある。

子供の場合だとリアシートで居眠りを始めることがあるため、体が崩れ落ちるのを防ぐためにセーフティーバーの必要を感じる。

セーフティーバー設置場所の寸法 #

セーフティーバーを設置する場所は決まっている。

リアシート左右に走るパイプの前側の端、アルミフレームとの接合部付近だ。

ここの寸法をまず確認しておきたい。

リアシート左右のパイプは並行でなく、車体前側が開いたハの字になっている点に注意。

リアシート左右に走るパイプの前側の端、アルミフレームとの接合部付近の左右幅は86cm。少し後ろになると85cmになっている。

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セーフティーバーに使える市販品 #

セーフティーバーを語る前に、セーフティーバーに何を求めるか、という問いが必要かもしれない。

要求として最も軽いのは、手を置く場所があればいい、というものだろう。

シートベルトをしていれば、セーフティーバーはそんなに頑丈なものは必要ない。

最も高水準の要求としては、車体にしっかり固定され、安全性向上に大きく寄与するものであれ、というものではないかと思う。

ちなみに、セーフティーバーは、リアシート搭乗者のカバンをかけておく場所としても役に立つ。

インテリアバーの流用 #

車のアシストグリップに引っ掛けて室内収納を設けるために使うインテリアバーというものが販売されている。

それを流用し、セーフティーバーとして使う、ということがAPtrikes125オーナーの間で広く行なわれている。

基本的には左右に付いたフックで上から引っ掛けて固定するだけなので、固定の強度はあまり期待できない。

左右の端、フック部分が必ず樹脂になっているので強度的な期待値も低い。

76~152cmに伸縮 #

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  • MYSBIKER 車用ハンガー マルチグリップバー 車用インテリア・バー 引き込み式 車用ハンガー(76cm~152cmに伸縮自在 耐荷重22kg)

約85〜120cmに伸縮 #

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約85~140cmに伸縮 #

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90.5cm~161cmに伸縮 #

JKM ハンギングバーには左右の間隔が89cm未満の場合は取り付けられないという注意書きがあるが、APtrikes125での使用実績があるようだ。

アウトドアイメージで格好いい。

イレクターパイプの流用 #

ホームセンターでおなじみイレクターパイプを使うもの。

リアシート左右のパイプとアルミフレームを繋ぐ場所にボルトがあるので、それとD型ソケットを共締めする。D型ソケットの穴径の拡大が必要かもしれない。

ボルトは、超低頭のものに変更した方が使いやすいだろう。

D型ソケットの上側を閉じているシャッターはスライドして取り外しができる。

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シャッターは紛失を防ぐために紐で繋いだ上で、ツマミを付けて使いやすくしたらロック機構としても使えそうだ。

この用途で都合のいい、センターにネジ穴のあるD型ソケットはφ28mmのものが恐らくないので、ホームセンターにあるφ28のイレクターパイプが使えない。

D型ソケットとのサイズ合わせでφ32のイレクターパイプを使うことになる。φ32のイレクターパイプは店頭で見たことがないので、入手は通販に頼ることになるだろう。

  • カーボーイ パイプクッション 1000mm 内径32mm ザラザラ PN04 クッション(はさみこみ型)

合うエンドキャップの調達が何とかなり、カット方法の当てがあれば、イレクターパイプ以外の選択肢もある。

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筆者の事例 #

筆者はどうしてもパイプをロック機構で固定したかったので、矢崎化工から出ているパイプロック金具EF-2005Aに着目した。

これはφ28のイレクターパイプ用だ。

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  • 矢崎化工 Φ28 イレクター プラスチックジョイント キャップ ブラック J-110A S BL

パイプロック金具 EF-2005Aはφ28のイレクターパイプの先端に付ける構造になっているため、流用しづらい。

つじつまを合わせるためのパーツを3Dプリンターで作った。

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3Dプリンター用のデータは以下で公開している。

ボルト、ナット類は以下を使用。

メイン

  • M4 x 50mm x 4
  • M4 x 14〜16mm x 6
  • M4ナイロンナット x 10

114mmのパイプにEF-2005A取り付け用

  • M4 x 10mm x 4

退避ホルダー用

  • M4 x 14mm x 4
  • M4 x 50mm x 2
  • M4ナイロンナット x 6
  • パイプカッターで1,200mmのイレクターパイプから114mm x 2本を切り出す。
  • パイプカッターで残りから890mm x 1本を切り出す。
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筆者は自分でカットしたが、イレクターパイプをホームセンターで買えば、必要サイズに切断してくれるはずだ。

切り出した114mmのイレクターパイプにパイプロック金具 EF-2005Aをネジ止めする。

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EF-2005Aにあいているネジ穴はM4。これが両側で合計二つ。

これを使ってイレクターパイプにネジ止めするために、4mmの穴を貫通させ、長いネジとナットを使うか、M4のネジ穴をあけ、両側から短いネジを使うかで逡巡した。

長いネジとナットを使う場合は、緩み止めのナットが使えるというアドバンテージがある。

しかし、ボディ側のスペースがギリギリなのでナットを使うのは避けたいと思い、筆者はイレクターパイプにM4のネジ穴を二つあけることにした。

M4のネジ穴をあけるには、ドリルで3.3mmの下穴をあけ、しかる後にタップでM4x0.7mmピッチのネジ穴として仕上げることになる。

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こういう場合はよさげな工具を揃えるべきだと考え、以下を調達した。

そしてイレクターパイプにEF-2005Aを差し込み、センターポンチでセンターに打刻。

イレクターパイプは表面に樹脂コーティングが施されているので、キリの後ろからトンカチで叩いて打刻するので十分だろう。

3.3mmの下穴をあけたら、曲げてタップしないように注意しながらタップでネジ切り。

片側が終わったらそこをネジ止めしてズレないようにし、反対側に取り掛かった。

ネジ穴あけが終わったら、114mのイレクターにM4 x 10mmのネジを使ってEF-2005Aを取り付け。

車体への取り付け。

3Dプリンター製のパーツを使うといろいろな取り付け方ができるが、写真のような取り付け方に落ち着いた。

体重がかかった場合にアルミフレームで受け止めるため、3Dプリント品の強度に依存せずに済む。

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併せて、パイプの退避のためのホルダーも取り付けた。これも公開データに含まれている。

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パイプを退避ホルダーにどけているとEF-2005Aがフリーになって走行中カチャカチャ音の原因になるので、ダミーパイプも必要になった。これも公開データに含まれている。

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パイプをEF-2005Aにセットしている間はダミーパイプのやりどころに困るので、リアシート左右の20mmのパイプにはめておくためのホルダー付きだ。

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後日、パイプにスポンジカバーを被せた。最初はゴム臭いが、時間の経過と共に臭いは抜けていく。

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