燃料計問題の解決

この記事は冗長で読むのが辛いと思うが、問題解決さえできればいい場合は、以下の要約版を参照のこと。

燃料計問題の解決 #

APtrikes125の燃料計は不正確だ。

本項では、APtrikes125の燃料計が孕む問題を解説・解決していく。

ガソリンタンクの実容量 #

まず前提としてガソリンタンクの容量は、カタログスペックで10L。

実容量は、12Lある。

APtrikes125の燃費 #

APtrikes125の燃費は、筆者の所有車で最高30km/L。

キャブレターを大型のものに交換すると燃費は落ち、23km/L〜25km/Lとなるようだ。

したがって、ガソリンを完全に使い切った場合の航続距離は276km〜360kmといった感じになる。

満タン法ベースのアプリを使うと給油のタイミングで燃費を計算し、把握できる。

燃費が分かっていれば、燃料補給から何キロ走ったか把握できさえすれば、基本的には燃料計に頼らない給油管理ができる。

これが燃料計問題一つ目の出口だ。

LED下2つ常時点灯問題 #

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不正確以前に、APtrikes125の燃料計には、ガソリンが空になったとしても、10個あるLEDのうち、下2つは点灯し続けるという問題がある。

つまり、燃料計の下2つのLEDは常時点灯状態であり、ただの飾りというわけだ。

あらかじめ説明されているでもない限りガソリン残量を勘違いするため、初見ではガス欠による立ち往生は不可避だ。

この問題を知るのが、燃料計問題把握の第一歩といってもいいかもしれない。

これを修正する方法は基本的にはない。メーターを開けて、問題の下二つを何かで隠すぐらいのものだろう。

ライトの点灯状態によって変化する問題 #

APtrikes125の燃料計の表示は、ヘッドライト、ポジションランプの点灯状態によって変化する。

これは、今回の作業を適用することで解決できる。

ガソリンタンクの位置 #

ガソリンタンクは、リアシートを跳ね上げると見える底板の下にある。

底板は、左右にあるタッピングビスを外すと取れる。

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底板を外すとガソリンタンクが見える。

ガソリンタンクの上に付いているのが燃料レベルセンサーだ。

燃料レベルセンサーは、四隅にあるボルトを外し、配線のカプラを外すと取れる。

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配線のカプラを無頓着に外すと、車体側のカプラが車体下部に落ちて面倒なことになるため、落ちていかないようにテープなどで固定しておく。

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燃料レベルセンサーを修正・調整する #

APtrikes125の燃料レベルセンサーは、可変抵抗から伸びたアームの先に、液面に浮かぶフロートが振り子のように付いた構造になっている。

液面に浮かぶフロートがタンクの液量に応じてアームをスイングさせ、結果として燃料レベルセンサーが示す抵抗値が変化するというわけだ。

フロートの角度の修正 #

しかし、純正の燃料レベルセンサーは、フロートの付き方が角度によって浮力が変化する、別の表現をすれば浮力が最大化されていない形になっているため、不正確さの一因になっているようだ。

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そのため、フロートが角度に依らず一定の姿勢を保つようなアーム形状の修正を要する。

フロートは円筒形をしているので、その中心線がアームがどの角度にスイングしても液面に対し水平を保つようにするのだ。

写真左側のものはフロートの中心線がどの角度でも液面に対して水平を保っているので浮力の変化が少ない。

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APtrikes125と同じ形式の燃料レベルセンサーを採用するスクーター、YAMAHA JOGのフロートを見ると、あるべき姿が分かる。

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※写真はweb!keから引用

具体的な修正は、フロートを90度回転させることになる。それをやるために、まず思い付くのは下図のAの曲げ部分を伸ばすことだろう。

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しかし、それを実際にやると金属疲労で折損する。

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完全に折れてしまわない限り一応ハンダで補強は可能だが、そうなると分かっていてやる人はいないだろう。図のBの真っ直ぐな部分を90度曲げても同じことなので、そうするべきだろう。

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ちなみに、最初からYAMAHA純正とほぼ同じアームの形をしている燃料レベルセンサーがAliExpressで買える。

さきほどから写真に登場しているのがこれだ。抵抗値も0〜100Ω準拠で、コネクタのハウジング以外の互換性に問題はない。純正のハウジングは110型にそっくりだが、110型とは少しだけ違う。

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端子はAPtrikes125純正のものと変わらないので、この燃料レベルセンサーに交換する場合は、ハウジングを純正から移し替えればOKだ。

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Amazonにも同仕様と思われる燃料レベルセンサーが売っているが、筆者は未確認。

  • uxcell-燃料レベルセンサー-オートバイ-燃料タンクレベル-ヤマハZY125用

アームの角度の修正 #

可動範囲が限られている燃料レベルセンサーのアームが、ガソリンタンクの液面のどの範囲を計測するかという問題もある。

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例えば、アームをガソリンタンクの天面に(上に)向けて曲げると、満タンに近い状態においては変化をトレースできるが、ガソリンが一定レベルより減るとそこで打ち止めになり、それ以上動かなくなる。

逆に、アームをガソリンタンクの底に(下に)向けて曲げると、ガソリンが満タンに近い間はアームが動かないが、ガソリンが減ってから空になるまでの変化をトレースできるようになる。

最終的に燃料計の表示として反映されたときに、ガソリンが0になるまでトレースされる方がいいか、まだガソリンが少し残っているうちに燃料計が0を指した方がいいかというのは判断の分かれるところかもしれない。

燃料レベルセンサーの調整方法は冒頭に挙げた工事さんの動画で紹介されている方法が素晴らしいが、ここで今一度咀嚼し直しておこう。

基本的な考え方は、燃料レベルセンサーが取り付けられたガソリンタンク内部を机上に再現し、シミュレーションできるようにすることだ。

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※画像はGOODSから引用

ガソリンタンクをおおまかに採寸して作った燃料レベルセンサー調整用の台紙(PDF)をダウンロードできるようにした。素材の鋼板の厚さは2mmと想定している。

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セブン–イレブンのコピー機だけは原寸プリントが可能なので、A4判の紙にセブン–イレブンで原寸プリントした上で調整用の台紙として使う。

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図の灰色の部分の左右幅が240mmになっていればOK。

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燃料レベルセンサーの調整で起きうる不具合 #

調整台紙を使った燃料レベルセンサーの調整に入る前に、解決しておくべき問題がある。

コミュニティでは燃料レベルセンサーのアームの可動範囲を広げるために、アームの可動範囲を決めるストッパーとなる金具を押し広げるノウハウが流通しているが、それによって許容範囲を超えるアームの可動が可能となってしまい、センサーから想定外の値が出てしまうことにもなりかねないのだ。

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金属製のカバーを外してみるとすべてが理解できるが、燃料レベルセンサーは巻いたニクロム線の上を、接点が移動していくことによって変化する抵抗値を出力している。

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経由するニクロム線の総延長が長くなればなるほど、高い抵抗値が出力される。

しかし、アームの可動範囲を考えなしに広げてしまうと、巻いたニクロム線の外に接点が飛び出してしまいかねないのだ。

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こうなると満タンを示す低抵抗側の端であっても出力される抵抗値は無限大となり、燃料計はガス欠状態と表示してしまうことになる。

ゆえに、アームの可動範囲を広げる調整をするなら、テスターで常に抵抗値を測った状態で行ない、突飛な値が出ないようにする必要がある。

抵抗値をリアルタイムでチェックしながら実際に試したところでは、工場出荷状態から可動範囲を広げる余地はほとんどないように思える。

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燃料レベルセンサーは納車時からいじっていないのに同様の不具合が見られる場合も、テスターで抵抗を測りながら修正する、つまりアームの可動範囲を狭める必要があるということになる。

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過渡特性のチェックとAliExpress調達品との比較 #

折角テスターをつないで抵抗値をチェックできるようになったので、アームを動かしながら抵抗値の変化具合をチェックしてみた。

純正実測値AliExpress品実測値
17Ω〜113Ω14〜104Ω

ところが、筆者所有のもののみかもしれないが、APtrikes125純正の燃料レベルセンサーは飛び値が乱発され、明らかに素性が良くない。

一方のAliExpress調達品は数字の変化がリニアで、明らかに純正の燃料レベルセンサーより素性がいい。

フロートの角度も適切で修正の必要がないし、コネクタのハウジングは付け替える必要があるものの、基本的には互換性も問題ないので良品であると判断した。

純正燃料レベルセンサーの修正をやってきたが、AliExpress調達品の燃料レベルセンサーへの交換を決意した瞬間だった。

コネクタのハウジングから端子を抜く方法 #

ハウジングから端子を抜く場合は、先の細いもので固定爪を押し込んで引き抜く。

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抜き終わったら、爪を少し起こしてやるといい。

先が細いのはもとより根元も細く、ある程度の長さがある硬いものというのは意外と身の回りになかったりするので、専用工具を揃えるのもありだ。

  • YFFSFDC コネクターピン抜き 端子除去ツール カプラー コネクター 配線 端子 外し 抜き 41種類 工具 カーターミナル取り外しキーツール配線コネクタエクストラクタプーラーリリースピン

調整台紙を使った燃料レベルセンサー調整の実際 #

APtrikes125純正燃料レベルセンサーの調整 #

フロートの向きを修正したAPtrikes125純正燃料レベルセンサーを調整台紙に当てがってみたところ、ガス欠方向の可動域は大きすぎ、満タン方向は可動域が足りないと分かったので、少し上向きに曲げればちょうどよさそうだ。

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AliExpress調達燃料レベルセンサーの調整 #

今度は調整台紙をAliExpress調達品に当てがってみたところ、満タン方向、ガス欠方向どちらにも可動域が足りず、どちらかというと満タン方向の方が足りないが、ガス欠方向をギリギリまでトレースできた方がいいだろうと筆者は判断し、このままでいくことにした。

APtrikes125純正品よりアームの曲げ箇所が1箇所多いのでフロートまでの半径が短いのだ。

満タンからしばらく減らない時期が続き、その後ガス欠付近までリニアに減っていく動きになると予想できる。

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燃料計と燃料レベルセンサーとの適合 #

APtrikes125の燃料計がおかしいなら、より品質の高いものと交換すればいいのでは? と考えるかもしれない。

その際には、燃料レベルセンサーと燃料計は仕様のマッチしたものを選ぶ必要があるのだ。

マッチするかどうかは、送り出す、もしくは受け取る抵抗の変化の範囲と、変化の方向で判断できる。

  • 抵抗の変化の範囲(例: 0〜100Ω、0〜190Ωなど)
  • 変化の方向(例: 満タン時に0Ω、ガス欠時に100Ω。満タン時に190Ω、ガス欠時に0Ωなど)

Amazonなどで燃料計、燃料センサーなどのキーワードで検索すると結果がたくさん出てくるが、ほとんど全部はAPtrikes125と適合しないものだ。

APtrikes125の燃料レベルセンサーは模式的には0〜100Ω(個体差あり)の範囲で変動する抵抗値を出力する。

flowchart LR subgraph 満タン A[0Ω] end subgraph ガス欠 B[100Ω] end A-->B

図: 燃料レベルセンサーからの出力値の範囲と方向

このタイプの燃料レベルセンサーと適合する燃料計はほとんどない。大抵は船舶用の0〜190Ωだ。そして、満タンに近いほど高い抵抗値を必要とし、こちらの期待とは逆の動作をする。

APtrikes125の燃料レベルセンサーと、入手しやすい燃料計の仕様が適合しないのなら、燃料レベルセンサーごと交換してしまえばいいと思うかもしれない。

しかし、実際には燃料タンクにあいた、燃料レベルセンサーを取り付ける穴が仕様を拘束している。

燃料レベルセンサーが取り付けられている大きい穴の直径は28mm、四隅のM6ネジ穴の間隔は32mmだ。

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方々見て回った感じ、ここにポン付けできるのは一つのタイプに絞られるようだ。

それは、YAMAHAタイプの燃料レベルセンサーだ。

スクーターのYAMAHA JOGに搭載されていた燃料レベルセンサーがその代表例。

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※写真はweb!keから引用

この燃料レベルセンサーが0〜100Ωであったがゆえに、その流れを汲んでAPtrikes125の燃料レベルセンサーも0〜100Ωを出力するようになっている、という因果関係があると推察される。

燃料タンクにポン付けできる燃料レベルセンサーはこの仕様の燃料レベルセンサーだけだと思われるので、代替の燃料計を探すなら、そのタイプと適合するもの、ということになる。

しかし、実際には0-100Ωタイプの燃料計は希少で、あまりない。

あまつさえ、YAMAHA適合の燃料計があったとしても、このタイプの燃料レベルセンサーはガソリンタンクの底に取り付る場合があるので、動作が逆になってしまう可能性がある。つまり、満タン時にガス欠、ガス欠時に満タン表示になってしまうということだ。

燃料レベルセンサーがガソリンタンクの上に付いているAPtrikes125においては、前出の通り燃料レベルセンサーからは満タンで0Ω。ガス欠で100Ωが出力される(実測では17Ω〜113Ω程度)。

だから、闇雲に燃料計を交換しても望ましい結果は得られない。0Ω(満タン)〜100Ω(ガス欠)の燃料レベルセンサーに適合する燃料計をピンポイントで探さねばならない。

YAMAHA JOG用燃料センサーの流用事例 #

YAMAHA JOG(SA16J)用の純正燃料センサーが流用可能で、燃料レベルゲージが暴れる症状が直ったとのこと。

燃料センサーそのものは生産終了だが、中古品、ガソリンタンクに付いてくるものをオークションで購入可能。燃料センサーがダメになっていることはあまりない。ゴムパッキンはYAMAHA純正部品が新品で出るそうだ。

ちょうどいい出物があれば、ハーネス加工の必要性はあれど、AliExpressで良品を当てるくじ引きするより品質の確実性は高そうだ。

キャリブレーション機能付きの燃料計DO611F #

このような事情があるため、代替の燃料計を探すのは困難を極めるが、マイコンを内蔵したキャリブレーション機能搭載の燃料計があったので入手してみた。

「SINCO TECH DO611F FUEL LEVEL GAUGE」という製品だ。

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本体の裏側に押しボタンが1つ付いており、それを3秒以上長押しするとキャリブレーションモードに入れる。

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ガス欠の位置にある下端の赤いLEDが点滅するので、まずは燃料レベルセンサーをガス欠状態にしてボタンを押す。

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実車では、ガソリンタンクから燃料レベルセンサーを抜いて、手でフロートを動かしてやるわけだ。

すると、今度は満タン位置にある上端の緑色のLEDが点滅するので、燃料レベルセンサーを満タン状態にしてボタンを押す。

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このような手順でキャリブレーションを行うことができる。

graph TD A[裏面のボタン長押し] subgraph ガス欠状態キャリブレーション B[赤LED点滅] end subgraph 満タン状態キャリブレーション C[緑LED点滅] end D[通常の使用時モードへ復帰] E[裏面のボタン短押し] F[裏面のボタン短押し] A-->|キャリブレーションモードへ|B-->E-->C-->F-->|キャリブレーションモード離脱|D

図: キャリブレーション手順

キャリブレーション結果は本体の不揮発性メモリに記録され、電源を切っても維持される。

キャリブレーションを終えると、燃料レベルセンサーのアームの動きに合わせてゲージがフルスケールで伸縮する。アームが満タン端のときには10灯全点灯。

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アームがガス欠端のときには全消灯。この当たり前の動作が欲しかった。

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注目すべきは、満タン位置、ガス欠位置が一般的な燃料レベルセンサーとは逆転しているAPtrikes125の事情にも適合させることができるということだ。

試しにガス欠LED点滅時に燃料レベルセンサーを満タン位置に、満タンLED点滅時に燃料レベルセンサーをガス欠位置にと、わざとあべこべにキャリブレーションを終えると、それまでとは逆の動作になる。

つまり、APtrikes125の燃料レベルセンサーが出力する0〜100Ωの抵抗にも対応でき、逆転機能もあるということだ。燃料レベルセンサーの個体差にも対応できるため、燃料計の表示範囲をフル活用できる。

まさに針の穴を通すようなニーズに応えてくれる燃料計になっている。

この燃料計を使うことが、現時点で理想に近い燃料計問題の出口といっていいのではないだろうか。

注意すべきは、全く同じ外見だが適合しない燃料計があるということだ。それは、背面からコネクターを介さず直接ケーブルが出ていること。そして、調整用の半固定抵抗が付いていることで識別できる。

燃料計の取り付け #

折角見つかった燃料計なので、取り付けていく。

物理的取り付け #

ハンドルバーか、ミラーの取り付け穴を活用するかを迷い、筆者はハンドルバーに取り付けることにした。

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筆者はホルダーを3Dプリンターで作ってしまったが、以下のようなパーツを組み合わせると取り付けができるのではないかと思う。

  • PIVOT ( ピボット )アクセサリーパーツ【ピラーホルダー】(52φメーター用) PH-52
  • ミラー取り付け穴用
  • kemimoto バイク ハンドル クランプバー 原付 マルチバー ミラーマウント 有効長さ73mm アルミ製 錆止め マルチホルダー 汎用品 ミラーに取付タイプ ミラーステー
  • ハンドルバー用
  • キタコ(KITACO) メータークランプセット バイト等 672-1126900

どのみち、ハンドル周りの事情はオーナーによって千差万別で、ここでできるアドバイスには限りがある。物理的な取り付け方法については軽く触れるにとどめる。

直径52mmの丸型メーターは規格品なので、さまざまなソリューションが用意されている。

電気的取り付け #

続いて、電気的な取り付けについて。

燃料計の配線加工 #

燃料計からは12V、アース(GND)、センサーと3つの配線が出ている。

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俯瞰性の悪い説明が続くので、最初に燃料計からの加工後の配線の全体図を掲載。

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燃料計からの配線は細くて圧着しづらいので、0.75SQなどの扱いやすい配線で延長する。長いのは承知で作業性を考慮し1mほど延長した。

今回は半田を使わず、エーモンの圧着接続端子で延長した。

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圧着接続端子に剥いたリード線の端を通した後でエーモンの電工ペンチで潰して圧着し、熱収縮チューブで絶縁した。

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接合部が太くなってしまうものの、半田より手早く終わってなかなかよかった。

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最後に、ビニテープで先端の方までテーピングしてまとめた。

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まずは延長した燃料計の12V(赤)とアース(GND)(黒)の加工から。

これからの作業にはヘッドライトユニットの取り外しが必要だが、それについては以下の記事を参照のこと。

12Vとアース(GND)は、メーター裏にあるACC電源のコネクタに接続する。元から空きコネクタが二つ用意されているのだ。

空きACC電源のコネクタは一般的な110型というもので、イエローハットやオートバックスなどで入手できる。筆者はAmazonで激安品を大量に買った。

2極110型メスがACC電源の空きコネクタなので、そこから電源を取るなら2極110型オスを用意することになる。

  • PENGLIN 380個 カプラーコネクタ 平型端子110型 セット 端子ハウジング セット カプラー(ロック式) カプラーハウジング コネクター 2極 3極 4極 6極 オス メス 圧着端子 自動車 バイク トラック用 収納ケース付き
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メーター裏のACC電源から消費電力の少ない電装品の電源を取る際は、筆者は配線を二股にして……。

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2極110型のコネクタをオス、メス一対取り付けて次につながるようにしている。APtrikes125の純正の配線は12Vが黒、アース(GND)が緑になっているが、筆者は12Vを赤、アース(GND)を黒にしている。

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110型の端子圧着にはIWISS SN-48Bを使っている。

エーモンの4960などの普通の電工ペンチでもできるが、SN-48Bでやると仕上がりが綺麗だ。

  • アイウィス(IWISS) 同時圧着ペンチ ラチェット式 ファストン端子 0.5-1.5mm2中型端子対応 SN-48B
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続いて、延長した燃料計の燃料レベルセンサー(緑→青)の配線の加工。ここの先端には、2極110型メスを使う。

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二つある穴のうち、どちらに挿すかは自分で決めるので、後ろ上から見て左側に端子を挿すことにした。これを「 コネクタA 」と呼称する。

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ここまでで燃料計からの配線の加工は終わり。

110型コネクタは2極ばかりなくなるので、2極だけ買い足しておいた。

燃料センサーからの配線の引き直し #

続いて、車体側の配線の加工。ガソリンタンクの燃料レベルセンサーから配線を新しく引き直す。

突飛なことを言い出したと思うかもしれないが、燃料レベルセンサーからメーターまでの既存の配線を使うと、ヘッドライト点灯時に残量が多く表示される誤動作をするからだ。

既存の配線のルートを全部調べたわけではないので原因は分かっていないが、筆者の諸々の調査試行の結果、 燃料レベルセンサーからの配線を新しく引き直すとその症状が出なかった のでそうする。

既存の配線は、恐らくヘッドライトの大電流が流れる配線といっしょのルートを辿っていて影響を受けているのだと思われる。近くを通るだけで影響を受けるのは普通にあることだ。

引き直しに当たり、0.75SQの赤黒ダブルコード。

2極110型コネクタオス二つ、メス一つを使う。

  • PENGLIN 380個 カプラーコネクタ 平型端子110型 セット 端子ハウジング セット カプラー(ロック式) カプラーハウジング コネクター 2極 3極 4極 6極 オス メス 圧着端子 自動車 バイク トラック用 収納ケース付き

燃料レベルセンサーへの配線引き直しは、メーター裏側から開始する。

引き直しのために用意した0.75SQの赤黒ダブルコードに、コネクタを取り付ける。

まずは赤黒ダブルコードの赤の方。こちらは燃料計のセンサーの配線へ繋ぐことになる。

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燃料計のセンサーの配線には、さきほど2極110型のメス、 コネクタA を取り付けたので、それに合わせ2極110型のオスを取り付ける。

2極のうち、どちらに端子を差し込むかは、さきほど自分で決めた方に合わせる。

続いて赤黒ダブルコードの黒の方。こちらはアース(GND)に繋ぐ。

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できるだけ燃料計に近い方がいいので、燃料計の電源ケーブルを「次の電装品用の予備」のために二股にしたが、そこに繋ぐのがいいだろう。

だから、赤黒ダブルコードの黒の方にも2極110型オスコネクタを取り付けることになる。

2極あるうち、アース(GND)は黒なので、そちらに合わせて端子を差し込む。

引き直しのために用意した0.75SQの赤黒ダブルコードにコネクタを取り付けたら、所定の場所に繋ぐ。

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接続元接続先
燃料計の12V、アース(GND)(2極110型オス)メーター裏の空きACC電源(2極110型メス)
燃料計の燃料レベルセンサー用配線(2極110型メス)新しく引き直した赤黒ダブルコードの赤。(2極110型オス)
新しく引き直した赤黒ダブルコードの黒。(2極110型オス)燃料計の電源ケーブルの「次の電装品用の予備」のアース(GND)(2極110型メス)

新しく引き直した赤黒ダブルコードのメーター裏側の配線が終わったので、赤黒ダブルコードを車体後部の燃料センサーのところまで車体を伝わせて引き回す。

理想は車体下部のシャーシを伝わせることだろうが、ルート開拓と地面に寝っ転がっての作業がダルかったので、車体側面開口部のアルミフレーム上部を伝わせていくことにした。

注意すべきは、燃料レベルセンサーの配線は、他の大電流が流れる電源系の配線とできるだけ距離を取ることだ。以下の写真の例でいえば、黒いフレームの辺りに電源系の配線が固定されているので、そこと触れ合わないようにメーター裏の配線と結束バンドなどで固定し、下に垂れ下がらないようにした方がいい。

新しく引き直した赤黒ダブルコードの引き回し。まずはメーター横からアルミフレーム方面へ。

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金具の裏側を通し、アルミフレーム裏側の溝に突入。

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水平部分もアルミフレーム裏側の溝を進む。

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垂直部分に差し掛かるところにある金具の裏側を通す。垂直部分を下ろしたら、もう燃料レベルセンサーはすぐそこだ。

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新しく引き直した赤黒ダブルコードと燃料レベルセンサーを接続するために、2極110型コネクタを取り付ける。

燃料レベルセンサーに極性はないので、赤黒どちらがどちらでもOK。

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燃料レベルセンサーと新しく引き直した赤黒ダブルコードを接続したら、フレームに固定する。

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もう使わない元々のコネクタのやりどころに困ったので、燃料レベルセンサーの配線に固定して下に落ちていかないように結束バンドで固定した。

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キーオンして電源が入るか確認する。

新しく引き直した配線を純正燃料レベルメーターに接続する場合 #

前項の説明は、燃料レベルセンサーから新しく引き直した配線を新しく取り付けた燃料計(DO611F)に繋ぐ説明になっている。

純正の燃料レベルセンサーに繋ぎたい場合はどうしたらいいだろうか?

メーター裏の9極110型コネクタの赤い配線が燃料レベルメーターからの配線なので、これを新しく引き直したものと交換すればいい。

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まずコネクタを引き抜く。

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燃料レベルセンサーの交換でやったように、先の細いもので赤い配線の端子の爪を押して引き抜く。

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そこに燃料センサーから新しく引き直した配線の赤い方を繋げばOK。

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新しく引き直した配線の黒い方をメーター裏にあるACC電源の空きコネクタに接続する場合は、空きコネクタのアース(GND)は配線が緑色なので注意。

キャリブレーション #

燃料計裏のボタンを長押ししてキャリブレーションモードへ。ガソリンタンクから燃料レベルセンサーを引っこ抜き、所定の手順でキャリブレーションを終わらせる。

取り付け位置にもよるが、筆者のケースでは燃料レベルセンサーとメーター裏のボタン両方同時に手が届いたため、取り付け後もキャリブレーションが難なく終えられた。

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キャリブレーション終了後に燃料レベルセンサーのアームを満タンからガス欠へ、ガス欠から満タンへと手でゆっくり動かし、動作を確認する。筆者の環境ではアームの角度に応じて10灯全点灯から全消灯へとフルレンジで表示が変わるのが確認できた。

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燃料センサーからの配線を新しく引き直したので、ヘッドライトを付けたり消したりしたが、以前のような表示の変動はなくなった。

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しばらく走ってみて、10灯全点灯から、加減速に合わせて10灯と9灯を行ったりきたりする時期を経て、9灯点灯へと推移したところまで確認してこの記事を公開した。今のところは順調に動作しているようだ。ガス欠まで使ったらまた更新するつもりだ。

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純正の燃料計の下二つが依然点灯していて目障りだが、この新しい燃料計の働きぶりを見届けた後、メーターを開けて純正燃料計への電源をカットするつもりだ。

ガス欠付近まで使ったレポート #

250km走行し、燃料レベルゲージのLEDの一番下の赤だけと、その上の二つが交互に点灯するようになった辺りで給油してみた。

結果、9.64Lガソリンが入った。12Lで完全ガス欠なので、まあまあいい塩梅ではないかと思う。

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自分で燃料レベルセンサーの出力をテスターで確認し、フロートのアームを調整し、机上で燃料計と組み合わせて動作を確認した上で実機で燃料計をキャリブレーションし、その後に動作確認しているので俄然信頼感がある。

次はLEDの一番下の赤だけ点灯するようになった辺りでの給油に挑戦するつもりだ。

取り付け後の顛末 #

最初に設置してからしばらく使ってみたところ、ライト消灯時の動作は問題ないが、ライト点灯時にはレベルゲージが誤動作する現象から逃れられていないことが判明した。

電源電圧の変動が影響しているのでは? と仮説を立て、電源ラインにLDOリニア電圧レギュレーターを入れて電源電圧の安定化をしてみたが、変化はなかった。

アース(GND)にヘッドライト点灯による大電流起因のノイズが回ってきていると仮説を立て、12V、アース(GND)をバッテリーから燃料計まで直接引いて試してみることにした。

こちらもやってみたが、変化はなかった。

最終的に燃料センサーから新しく配線を引き直したところ、症状が治まった。

この作業中に、燃料センサーからの配線と、ヘッドライトなどの大電流が流れる電源系の配線をいっしょにまとめていると影響があることを確認した。

この顛末に合わせて記事を書き直した。

もう一つ適合する燃料計を発見? #

AliExpressにしかないが、8〜98Ω、低い抵抗が満タン側というAPtrikes125の燃料レベルセンサーに適合しそうな燃料計を発見した。

キャリブレーション機能はないが、背面から出ている灰色と白のループ状の配線を切断せずにおくと8〜98Ωモードになる。つまり、工場出荷時の状態が、奇しくもAPtrikes125に適合した状態になっているということだ。

8〜98Ωというと、APtrikes125の燃料センサーの実測値と近似している。

これは前出のキャリブレーション機能付き燃料計より薄型で、魅力的な選択肢になっている。

裏面に板を挟み込むようなクランプが付いており、汎用のステンレスステーをどこかに用意できれば、固定にも面倒がなさそうだ。

数少ない有力候補ということで、これも一応入手した。

結論としては、ガス欠側の表示が下がり切らず、燃料レベルセンサーのアームをガス欠端に動かしても、何と4灯も残ったままだった。

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残念ながら、これはお払い箱だ。間違って入手しないように注意してほしい。