タイヤ交換

タイヤ交換 #

APtrikes125のタイヤには3輪共バイク用のものが使われている。

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自動車用タイヤへの交換 #

APtrikes125オーナーの多くは、リアタイヤを自動車用のものに交換している。

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なぜそうするかというと、乗り心地の向上と、コーナリング中の安定性を求めてだ。

純正のタイヤは固くて乗り心地を悪化させる一要因になっているため、自動車用への交換でなくとも摩耗前にタイヤ交換する人は多い。

純正のタイヤは固い代わりに寿命が長く、10,000km以上は使える利点があるが、車体へ及ぼすダメージという要素を考慮すると、早めに交換した方がいいのではないかと筆者は考える。

安定性の向上 #

とくに重要なのが、自動車用タイヤに交換すると、左タイヤの接地面の左側から、右タイヤの接地面の右側までの幅が広くなることだ。

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自動車用のタイヤはバイク用タイヤよりショルダー部が角張っており、接地する面積が大きくなるのだ。

これによって、車体の左右を支える柱の間隔が広くなったような効果がもたらされる。

三つの車輪を線で繋いで二等辺三角形を描くとすると、その底辺が広がったようなものとも表現できるだろうか。

その結果、コーナリング中のコーナー内側のタイヤの浮き上がりが抑えられる。

純正タイヤだと右左折時に比較的簡単にコーナー内側のタイヤが浮き上がるが、自動車用タイヤに交換すると、進入スピードや路面のコンディションにもよるものの浮き上がりにくくなる。

トライクはバイクのようにバンクさせて遠心力に対抗できないため、この差は大きい。

走りにこだわる人は後輪にワイドトレッドスペーサー、ホイールスペーサーを挟んで左右の車輪間距離を延ばし、フェンダーを削りオーバーフェンダーを取り付けて、その効果を最大化させようと画策さえする。

コーナーで片輪が浮き上がりやすいのは、固い純正タイヤや全くロール(横に振れる)しないリアサスペンションの固さも影響している。

筆者のAPtrikes125はリアタイヤを自動車用タイヤに交換し、サスペンションを柔らかいものに交換してからは片輪が浮き上がることはほぼなくなった。

乗り心地の向上 #

タイヤの側面を指すサイドウォール。タイヤが最もたわむ部分だ。

バイク用のタイヤはこのサイドウォールが固く、自動車用のタイヤはサイドウォールが柔らかい。

サイドウォールの固さの差が乗り心地の差となって現れる。

自動車用のタイヤへの交換で、乗り心地が良くなったと感想を述べる人が多い。

バイク用タイヤと自動車用タイヤとの比較 #

リアタイヤを自動車用タイヤに交換するといいことがあるが、そればかりではなく、悪いこともある。

バイク用タイヤと自動車用タイヤを各要素別に比較する表を作った。

分かりやすさのために良い悪いと評価を付けているがあくまでも相対的なものであって、100点満点のうち、90点と95点を比較して良い悪いと言っているようなものなので、「そういう傾向がある」程度に捉えてほしい。

バイク用タイヤ自動車用タイヤ
重量軽い重い
接地面積小さい大きい
転がり抵抗小さい大きい
ロードノイズ小さい大きい
加速良い悪い
燃費良い悪い
ステアリング(フロント装着時)軽い重い
直進安定性悪い良い
衝撃吸収悪い良い

軽快さを重視してバイク用タイヤを選択する人もいるが、ガタガタとした乗り心地を改善するために潜在的に自動車用タイヤを望んでいる人の方が多い印象だ。

どこで交換してもらうか #

自動車用のタイヤへの交換なのでタイヤ専門店に交換を依頼したくなるが、門前払いになることを覚悟しておく必要がある。

車幅が狭く、ショップに備え付けのリフトアップの施設が使えないというのが理由の一つ。

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タイヤ専門店は薄利多売で作業時間が短く、工賃も安く上がることが多いため、ニッチな要求に応えられないのだ。

リアタイヤはまだ車と同じ要領でタイヤが付け外しできるが、フロントタイヤまで対応してくれるタイヤ専門店はないと考えた方がいい。

バイクショップでも断られることが多いようだ。

交渉の余地があるとすれば、タイヤを外して持ち込むことを前提として請けてもらえるかどうかだろう。

APtrikes125を扱うショップに交換を依頼するのが妥当なやり方だろう。自分がAPtrikes125を買ったショップに依頼すればまず断られることはないはずだ。

神奈川・相模原のPRIMARIDE、埼玉・川越のジャパンドラッグなら、他店購入の車両でもタイヤ交換に応じてくれるのではないかと思う。

DIYでのタイヤ交換 #

APtrikes125のタイヤはチューブレスタイヤ。パンク修理がタイヤの着脱を伴うチューブタイヤと異なり、自分で着脱をする必要性が低い。

自分でタイヤ交換をしようという人はなかなかいないと思うが、タイヤ交換を他者に依頼しにくいAPtrikes125の場合、DIYに踏み切らざるを得ない人もいるかと思う。

マルモリ氏が手組みの工程を紹介する動画を公開している。手慣れており、造作なく完遂していて見事だ。

素人が手組みをやるとこうなる、という雰囲気のYYファミリーチャンネルの参考(爆笑!?)動画がこちら。筆者含め、不慣れな人は自分の来たる体験を擬似体験できる。

マルモリ氏の動画と両方見ると理解が立体的になる。

筆者もDIYでのタイヤ交換を実際にやってみた。なかなか大変な作業なので、人にやってもらえるならそうした方がいい。

DIYと専門店への依頼の中間の選択肢 #

バイクショップに頼むと工賃をそれなりに取られる。

タイヤ専門店だと、1本1,000円ぐらいの料金で交換してもらえる。

タイヤ専門店にAPtrikes125のタイヤ交換を依頼すると断られる。

DIYでのタイヤ交換はちょっと重い。

でも、タイヤの付け外しぐらいは自分でできる。

そんな場合に、タイヤを外してタイヤ専門店に持ち込む、という選択肢が浮かび上がる。

Facebookグループ「APtrikes125 のある生活」参加者によれば、実際にやった人もいるとのことだ。

タイヤ専門店にAPtrikes125のタイヤ交換を依頼すると断られることが多いが、タイヤを外して持っていけば、断る理由の一つがなくなるわけだ。12インチのタイヤを採用した自動車がほぼないことから、そのお店のタイヤチェンジャーがそのサイズに非対応、という理由で断られることはあるかもしれないが。

そのためにはタイヤのない状態で車体を支えるためのジャッキスタンドが少なくとも三つ必要。

また、タイヤ取り付け時の締め付けトルク管理のためのトルクレンチが必要と一定のハードルがあるが、DIYでのタイヤ交換の大変さを考えると、十分超えられるハードルではないかと思う。

タイヤ専門店なら、通販よりタイヤの購入価格も安く上がる。通販でタイヤを買うのと同じぐらいの金額で交換までできてしまうだろう。

注意したいのは、フロントタイヤはハブを外すことを求められる可能性があることだ。

筆者もそれをやってみたいと思っているが、筆者がAPtrikes125を駐輪している駐輪場は区画=車体サイズ、あまつさえ隣が壁という最悪のロケーションゆえ、そこに停めたまま壁側のタイヤを外すことができないという問題がある。

もし実行するならタイヤ専門店の駐車場でタイヤの付け外しをする必要が出てくる。

その場合は、タイヤは同時に一つ外すだけで済むため、ジャッキスタンドは一つで十分ということになる。

いろいろと面倒なフロントタイヤ&ハブの付け外しは、事前に練習しておいた方がいいかもしれない。

リアタイヤの選択 #

リアタイヤ交換用の採用実績としては、125/80R12、135/80R12、145/80R12が多い。

135/80R12は純正タイヤとほとんど周長が変わらないので、違和感が少ない安全牌だ。

145/80R12は純正タイヤより周長が4〜5%ポイント長いので、同じスピードを出す際のエンジンの回転数が純正タイヤより低くて済むようになる。加速を犠牲にして静音性を重視する人に合う選択。

ギア比が高くなったような効果をもたらすので、エンジンパワーや空気抵抗次第だが最高速を伸ばすことも可能だろう。

145/80R12だと、6,000回転時に63km/h出るということだ。

125/80R12、155/65R12は純正タイヤより周長が短いので、同じスピードを出す際のエンジンの回転数が純正タイヤより高くなる。APtrikes125適合タイヤの中では扁平タイヤの155/65R12はスタイル重視の人向けの選択。

計算上では6,000回転時59km/h程度になる。

125/80R12、155/65R12、145/80R12のように純正タイヤと周長が変わるタイヤを使う場合は、前後の組み合わせ次第だがヘッドライトの光軸が狂う点にも注意を払いたい。

リアタイヤの選択肢の代表例を挙げた。詳細なスペックが公開されていないものは、サイズ表記から算出した直径、周長が当てはめてある。

型番幅(mm)扁平率外径周長(mm)周長(%)(※1)
RADAR Dimax Classic 125R12 62S12580505158597.8
RADAR Dimax Classic.WSW 125R12 62S 3.0cm(ホワイトリボン)12580505158597.8
YOKOHAMA DNA ECOS 135/80R12 68S135805181626100.3
BRIDGESTONE SNEAKER SNK2 135/80R12 68S135805191629100.5
NANKANG AS-1 135/80R12 68S135805211635100.9
DUNLOP DIGI-TYRE ECO EC201 135/80R12 68S135805211635100.9
YOKOHAMA BluEarth-ES ES32 135/80R12 68S135805211635100.9
TOYO TIRE SD-k7 135/80R12 68S135805211635100.9
BRIDGESTONE K370 145/80R12LT 80/78N145805391692104.4
DUNLOP ENASAVE VAN01 145/80R12 80/78N145805411699104.8
DUNLOP SP65J 155/65R12 71S15565506159098.1

※1: APtrikes125純正タイヤの周長1620mm(実測)に対する率。メーターギアは前輪に付いているため、前輪に装着する場合、これが100でないとスピードメーター、オドメーターが狂う。周長が100%を切る場合は、実際よりスピードが高く表示され、実際より長く移動した表示になる。後輪に装着した場合は最終減速比に影響を与える数値となる。100%を超える場合はハイギアード、100%を下回る場合はローギアードになる。

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サイズからタイヤの銘柄を選ぶ際は価格.comが便利だ。

ボディとの干渉の回避 #

リアタイヤを自動車用のものに交換し、サスペンションを柔らかいものに交換すると2人、3人乗りのときにタイヤがボディに擦ることもある。

タイヤがボディに擦るとすぐにボディ側に穴が開くため、決してそのままで乗ってはいけない。交換したての間は異音に注意を払う必要がある。

その場合は、リアサスペンションのプリロード調整(イニシャル調整)でセッティングを固くし、沈み込みを小さくする。エンドアイを長いものに交換して沈み込みの余地を増やすといった方法で干渉を防ぐことになる。

また、次項で紹介するリジッドアクスルのセンター出しが必要になることもある。

リジッドアクスルのセンター出し #

リアタイヤを自動車用のものに交換すると、タイヤのショルダーがリアフェンダーのツラに近づくために、リジッドアクスルのセンターが出ていないと目立って気になってくる。

センターが出ていないと自動車用タイヤへの交換で片側だけタイヤがボディに擦るようになった、といったことになる可能性があり、リジッドアクスルのセンター出しを余儀なくされることもあるだろう。

リジッドアクスルのセンター出しについてはジャパドラ チャンネル 2で解説されている。そんなに難しい作業ではない。

作業には14mmのソケットレンチと、地面に寝っ転がって作業することになるため、敷物も必要だ。

フロントタイヤの選択 #

リアタイヤはリアサスペンションの調整、延長がフロントと比較して簡単なため、タイヤの選択肢はフロントより広い。

フロントタイヤはフロントフェンダーとのクリアランス、フロントフォークの間隔から収容空間が限られており、リアタイヤより選択肢の幅が狭い。

その限界についてジャパドラ チャンネル 2で解説されている。

リアタイヤには145/80R12が使える一方、フロントタイヤの場合は145/70R12が限界のようだ。

145/70R12のような幅の広いタイヤを装着する場合は、フェンダーを固定するネジを超低頭ネジに交換して、クリアランスを稼ぐ必要が出てくる。

リアタイヤは当たり前のように自動車用のものに交換しても、フロントタイヤには長らくバイク用のタイヤが選ばれてきた。

しかし、昨今フロントタイヤにも自動車用タイヤを採用する例が増えてきて、それが広がっていく流れだ。

トライクはバンクしないため、フロントタイヤにバイク用タイヤを使う必要性は薄いのだ。

フロントタイヤとして採用実績のある自動車用タイヤは以下のページに表でまとめておいた。

上記のページで紹介した通り、フロントタイヤを自動車用のものに交換すると、シミー現象が治まるという絶大なメリットが生じる。

直進安定性も向上する。乗り心地もよくなる。

その一方、コーナリング中はサイドウォールの柔らかさからグニュっとした感覚が伝わってきて気持ち悪いというデメリットも。

また、接地面積が増えるため、車庫入れなどでの据え切りが重くなるというデメリットもある。

シミー現象を抑えるためにはフロントタイヤを自動車用のものに交換するのがマストかというとそういうわけでもないようで、K488ではシミー現象が治まったという報告がある。

純正タイヤより扁平率が高い、接地面積が増えるバイク用タイヤにはシミー現象軽減の効果が期待できるのではないだろうか。

ただ、バイク用タイヤは扁平率がよく分からないのでスペックで評価しにくい。

フロントタイヤとして採用例のあるバイク用のタイヤをまとめた。

型番幅(mm)扁平率外径周長(mm)周長(%)(※1)
DURO 4.00-12 TL 64P DM-1059100100500157096.9
DUNLOP K488 4.00-12 65J/4PR100
TIMSUN TS606 130/70-12 62N TL12970487152994.3
IRC MOBICITY SCT-001 140/70-12 65L14270506158998.0

純正タイヤのサイズが4.00-12なので、それと同じDURO DM-1059、DUNLOP K488などはスペック上はだいぶ違うがサイズは同じはずだ。

なお、TIMSUN TS606同様、ホンダ・ジャイロ/ジャイロキャノピー用として作られたTIMSUN TS605はバイク用ながら自動車用同様にショルダーのあるタイヤで、面白い選択なのではないかと思う。周長も純正と変わらないため、スピードメーター、オドメーターが狂わない。

左右対称に近いパターン(※2)なのもフロント用として好感が持てる。

※2: 自動車用のタイヤは左右非対称なため、フロント用としてはちょっと気持ち悪い。

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型番幅(mm)扁平率外径周長(mm)周長(%)(※1)
TIMSUN TS605 4.00-12 4PR TT1051015171623100.1