トリップメーターで給油タイミング管理をする

トリップメーターで給油タイミング管理をする #

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APtrikes125の燃料計はイマイチ信頼性に欠ける。

ヘッドライトを付けたり消したりするだけで残量表示が変わったり、満タンなのにガス欠表示になったり、ガソリンが減っているはずなのに満タン表示が長らく続いたりと、いろいろな切り口を駆使してドライバーの不安を煽ってくる。

この問題の抜本的な解決については以下の記事にまとめた。

燃料計のLEDの下二つは燃料センサーを外しても点灯しているため、下二つは飾りで初見殺し。

新しくAPtrikes125オーナーになった人の何割かは、これを信用して一度はガス欠にする。

燃料計の表示を改善する手もなくはないが、給油満タンからの走行距離で管理する形に落ち着く人が多いようだ。

走行距離の管理は、ダイヤル付き南京錠で給油時の走行距離の下三桁を記録する、あるいはそこから200kmを足して次の給油タイミングを予告する、といったやり方が定番となっている。

筆者は、自転車で使うサイクルコンピューターをAPtrikes125に取り付けることでトリップメーターとして機能させ、給油時にゼロリセットをかけて給油からの走行距離をリアルタイムで把握し、給油タイミングの管理を行なっている。

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副次的な効果として、サイクルコンピューターは様々なタイプの自転車に取り付ける都合上、前提とするタイヤの周長を自由に設定できるので、フロントタイヤを純正タイヤとは周長の違うものに交換したときに、それに適応したスピードメーターとしても使うことができるというものがある。

GPSスピードメーターより正確な時速表示や走行距離表示が得られるのだ。

本記事では、サイクルコンピューターのAPtrikes125への取り付け方法を紹介する。

使用するサイクルコンピューター #

筆者が使っているサイクルコンピューターはキャットアイのVELO9(CC-VL820)だ。

本体の電源はコイン電池のCR2032で、電池寿命は1日1時間の使用で約3年。

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VELO9(CC-VL820)は信頼性の高い有線式。自転車に詳しい人は近年主流となっている無線式をよりよい選択肢として挙げてきがちだが、無線式だと自転車と違ってエンジンが発するノイズによる障害が問題になる場合があるために採用できないのだ。

VELO9(CC-VL820)は日本のメーカーから販売されている定番製品ながら、2,000円程度と安価で買える点を評価した。(※1)

キャットアイ製品はスピードが速くなると追従できないという話もあるようだが、VELO9(CC-VL820)に関しては時速75km/hまでは追従するのを確認している。それ以上のスピードは出ないので確認できていない。

安い中華製品は耐候性が弱い傾向があり、寿命が短いのでやめておいた方がいい。

※1: 前身であるVELO7(CC-VL520)。VELO9(CC-VL820)のどちらかをメルカリで探せば、1,000円程度で入手可能

少し安い前身のVELO7も依然販売されている。機能に変わりはないと思われる。

取り付け #

VELO9(CC-VL820)は、タイヤの回転数をカウントして、走行距離や時速を計測する。

そのセンサーとしてリードスイッチというものを使用している。リードスイッチは磁石が近づくと接点が閉じるスイッチ。

センサーであるリードスイッチをフロントフォークに取り付け、磁石を自転車の車輪のスポークに取り付けて、車輪の回転数、回転スピードを計測できるようにしているわけだ。

VELO9(CC-VL820)付属の磁石であるNホイールマグネットが単品でも販売されているが、以下のようなものだ。

通常はこれを自転車のスポークに挟み込んで固定する。

しかし、APtrikes125のフロントホイールにはスポークなどない。

磁石の取り付け #

そこで登場するのが椅子の脚用キャップだ。

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色が気に入らない人もいるだろう。代替の選択肢を記事末尾で紹介している。

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この椅子の脚用キャップにNホイールマグネットを取り付ける。

Nホイールマグネットは分解するとM3のネジとして使えることが分かる。

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椅子の脚用キャップの底に穴を開け……。

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そこにNホイールマグネットのネジ部分を通す。

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裏側から用意したM3ナットで締め込むと、かなり強固に固定できる。

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写真のようなソケットレンチがあると作業がしやすい。

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ちなみに、M3ナットは対角寸法5.5mmだ。

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これをフロントホイールのホイールナットに被せる。ホイールナットは純正を想定している。

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センサーの配線延長 #

残念ながら、VELO9(CC-VL820)付属のセンサーの配線の長さは、APtrikes125に取り付けるには足りない。

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途中で切断して延長する必要がある。1mも延長すれば十分なはずだが、心配性の筆者は手戻りを嫌って1.5m程度延長した。

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配線を半分のところで切断し、間に延長ケーブルを入れて繋ぎ直すことになる。

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センサーからの配線は2線で構成されているが、極性はない。ショートさせない限り、どちらをどちらに繋いでもいいということだ。

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だから、一度切断しても、どっちをどっちに繋ぐべきかということを迷う必要がない。

切断したら端から1cmぐらいの被覆を剥き。

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よじって繋ぎ。

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セロテープで補強する。

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これを4箇所やることになる。最後に、ビニテープなどで2本まとめて覆ってやるといいだろう。気休め程度だが強度を出すために斜めに巻き付け、接続箇所から5cm幅ぐらいを覆う。

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仮にショートさせてしまっても、機器が壊れることはないので安心してほしい。

筆者自身はそのような延長方法は採用していないが、間口を広げるために前述の方法を紹介した次第だ。

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配線の延長を終わらせたら、本体とセンサーの取り付けだ。

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本体とセンサーの取り付け #

まずは、本体とセンサーを合体させ……。

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ハンドルに本体をマウントする。

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ハンドル下の隙間からセンサーと配線を通し、フロントフォーク方面へ。

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結束バンドで整理しつつ、メーターギアのケーブルを伝わせて、メーターギア付近へ。

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センサーは、マグネットとの位置関係を考えつつ、付属の結束バンドでフロントフォークに取り付ける。

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これで動作するはずだが、クリアランスが小さい(狭い)方が安心できるため、(粘着付きの)ゴムシートを何枚か重ねて敷き、マグネットに近づけてもいい。

余った配線は結束バンドで整理する。余った配線がステアリングを邪魔するようだと、巻き込まれて切断されることもあるので取り回しに注意する。

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タイヤ周長の設定 #

VELO9(CC-VL820)の取扱説明書は以下にある(PDF)。

https://www.cateye.com/jp/support/manual/doc/3576b1913a8b43905a6bc9b9557c681d3964cd47.pdf

詳しい操作方法は取扱説明書を参照してもらうとして、重要なのはタイヤ周長の設定だ。

自転車によくあるタイヤサイズはプリセットから選ぶだけだが、APtrikes125の場合はタイヤ周長を手動で設定しなければならない。

それは、タイヤ周長の詳細設定から行なう。

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cm単位で3桁の数字が入力でき、任意の長さに設定できる。

APtrikes125のフロントタイヤの周長は何cmなのだろうか?

純正タイヤなら162cmだ。

純正でなければどうだろう?スペックから計算できるが、微妙に計算値と異なることもある。

筆者は確実性を求め、実測することにした。

フロントタイヤにマスキングテープを貼りながら車体を押して後退させていき、1周回ったら剥がして道路に貼る。

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それをメジャーで測った。

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そうやって出したのが純正タイヤの周長162cmだ。

使うモード #

VELO9(CC-VL820)はいくつかの表示モードがあるが、使うのはDST 走行距離モードだ。

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このモードにすると、メインは時速。その下にサブで走行距離が表示される。走行距離とはいわゆるトリップメーターのことだ。

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ボタン長押しでリセットができるので、給油時にリセットをかけ、そこからの走行距離で給油タイミングを管理できる。

燃費23km/Lとして23 x 12で270km程度走れるはずだが、筆者は240km前後で給油している。

3Dプリンター用のパーツデータ #

筆者が設計したフロントライト用のフードなどのデータを公開している。

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VELO9(CC-VL820)にはバックライトが付いておらず、夜間の視認性に問題があるためだ。

利用できる人は利用するといいだろう。

アイテック イス脚キャップ BE-8-212の代替品 #

アイテック イス脚キャップ BE-8-212がベストの選択肢だが、それが入手できない場合の代替選択肢も示しておく。

和気産業 WAKI 鉄板入パイプイスキャップ22mm用だ。

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直径21mm用のアイテック イス脚キャップ BE-8-212より少し嵌め合いが緩いものの、こちらも問題なく使える。

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もっときつくしたい場合は、内面にセロテープなどを貼って調整すればいい。

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ただし、底の部分に厚みがあってNホイールマグネットのネジ部分の長さが足りず、ナットが締め込めないという問題がある。

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その代わり、中央にあらかじめ穴が開いているので、太いドリルで少しずつザグってやり、Nホイールマグネットのネジ部分とナットが噛み合うようにする。5分程度の作業で終わるはずだ。

4個入りなので、3回失敗できる。

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手動で少しずつザグってやれば、難なく加工できるはずだ。

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試していないが、ドリルがない場合は半田を拭い取った半田ごての先にM3ナットをはめ、ナットを少し埋め込む手も使えるのではないかと思う。

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