タペット調整(バルブクリアランス調整) #
BIKE SHOP BIGMOUSEさんによる繰り返しの言及によると、APtrikes125のエンジンのバルブクリアランスは狂っていることがあるそうで、タペット調整(バルブクリアランス調整)に挑戦してみることにした。
新車からフルオーバーホールしたエンジンが完成したのでこれから載せます。
— AP TRIKES125 @BIKE SHOP BIGMOUSE (@trikes125) January 2, 2024
(なにも正月にやらなくても……いや、天気よいし暖かいし…)
ちなみにバルブクリアランスが狂ってました。(笑)
費用かかりまがやってよかったですね。
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筆者が参考にした動画:
シックネスゲージを使う例:
感覚的に合わせる例:
バルブクリアランスが狂っていると、エンジンの動作に悪影響が出てくる。
バルブクリアランスが狭い(ゼロクリアランスの)場合
- 圧縮漏れによるパワーダウン
- 温間時の始動性悪化
- バルブの焼損
- アイドリングの不安定化
バルブクリアランスが広い(カチカチというタペット音が大きい)場合
- メカニカルノイズが大きくなる
- バルブのリフト量不足(高速域の伸び悪化)
- 部品の摩耗加速
- バルブタイミングのズレ(バルブ開放時間の短縮)
| 状態 | 主な症状 | リスク |
|---|---|---|
| 狭すぎる(0mm) | 無音、パワー不足、始動困難 | バルブ焼損、エンジンブロー |
| 広すぎる | 激しい打音、高回転の伸び悩み | 部品の摩耗、破損 |
ちなみに、タペット調整(バルブクリアランス調整)の過程でタペットキャップを外すことになるので、ついでにタペットキャップのOリングを国産品に交換するといい。タペットキャップからオイル漏れすると、結構オイル汚れ的に悲惨な状態になるからだ。
- 関連記事: タペットキャップからのオイル漏れへの対処
必要な道具 #
タペット調整に必要な道具がいくつかあるので下に挙げた。
圧縮が邪魔になるのでプラグを抜いて作業をするが、以下のプラグレンチはサイドカバーを外さずにプラグが外せる。
- キタコ(KITACO) プラグレンチ 3WAY B・D・Cタイプ対応 ショート:全長73mm 汎用 674-0400010
- https://amzn.to/4sQyXs8
口型とー型があるが、APtrikes125の場合は口型が適合する。

- キタコ(KITACO) タペットアジャストレンチ 口型アジャストスクリュー対応 674-0900210
タイミング窓のカバーや、クランクシャフトのカバーを外す際に必要になるかもしれない。筆者の場合は10円玉で緩めることができた。
- 高儀 コインドライバー スタビー CDS-45 GISUKE 先端アール形状
シックネスゲージにはハトメで固定されているものがあるが、作業スペースの狭い排気側(下側)の調整時のために、ネジ固定になっていて、バラバラに分解できるタイプがいい。筆者はコレを使っているが、ちょっと高いので以下のチョイスで。
- fogman シックネスゲージ 隙間ゲージ ゲージ 検査 バイク エンジン 収納袋付き 32枚組
そのほか、14mmのソケットレンチ、17mmの12角メガネレンチが必要。
ソケットレンチの方は、フライホイールカバー内に突っ込むためにエクステンションバーが必要かもしれない。
事前準備(圧縮上死点を出す) #
大前提として、タペット調整(バルブクリアランス調整)はエンジンが冷えているとき(冷間時)に行なう。
また、バルブが吸気、排気、いずれも閉じている状態で調整をする。
そのために、エンジンを圧縮上死点の状態にしなければならない。
- ギアをニュートラルに入れる
- プラグレンチでプラグを抜く。プラグコードは、引っ張るだけで抜ける

- タイミング窓とクランクシャフトのカバーを10円玉ないしはコインドライバーで外す


- 17mmの12角のメガネレンチでタペットキャップを外す。吸気(上側)、排気(下側)の二つ

排気側は17mmの12角のメガネレンチでないと作業が困難だ。

- 排気(下側)のタペットキャップを外すと少しオイルが出てくるので、下にトレーを敷いておくなど対処する

- 14mmのソケットレンチをクランクシャフトのカバーを外して出てきた穴から入れて、フライホイールを固定しているフランジナットにかまし、反時計回り(左回り)に回す

フライホイールカバーを外すと、このような感じになっている。

クランクシャフトを左に回しながらタイミング窓を見ていると、FやTという印が出てくる。Fは点火タイミング(爆発行程において)、Tは圧縮・排気上死点を示す。ネジ山に刻まれた一条の窪み直下を通り過ぎたときが、そのドンピシャのタイミングとなっている。


必要なのは圧縮上死点だ。クランクシャフトを左に回していれば、圧縮上死点のTと排気上死点のTは交互に来る。
しかし、Tが上に来たというだけでは、圧縮上死点、排気上死点のどちらなのかが判別が付かない。
その判別方法がある。
それは、ロッカーアームを指で触りながら、タイミング窓からTマークを挟んで右左にクランクシャフトを回転させるというもの。

Tが圧縮上死点を示す場合、吸気側(上側)も、排気側(下側)も、Tマークを挟んで前後にクランクシャフトを動かしてもロッカーアームは動かない。
一方、排気上死点の場合は、吸気側も、排気側もロッカーアームが動くという明確な違いがある。
- 圧縮上死点を出したら(Tマークをネジ山の窪みに合わせる)、いよいよタペット調整(バルブクリアランス調整)に入る
吸気側(上側)のタペット調整(バルブクリアランス調整) #
シックネスゲージから0.05mmを1枚取り外して使う。バルブクリアランスについてはいろいろな説があるが、吸気(IN)、排気(EX)共に0.05mmというのが安牌となっている。高温になり熱膨張する排気(EX)側だけ0.07mmという調整方針もある。
中国のLifan製エンジンの公式マニュアルには、吸気排気共に0.05mmの指定があるそうだ。

まずは0.05mmのシックネスゲージをロッカーアームのアジャストスクリューとバルブステムの間に差し込むよう試み、現状を確認する。

2023年1月納車、走行9,000km弱の筆者の車両は、バルブクリアランスがゼロの状態だった。0.05mmのシックネスゲージは入らず、ロッカーアームを指で揺すっても、ピクリとも動かなかった。
工場において、ゼロクリアランスで調整されている疑いがある。
タペットアジャストレンチの9mm側(太い側)をタペットアジャスターロックナットにセットし、さらに口型のタペットアジャストハンドルを上から差し込む。
タペットアジャストレンチを左に回し、タペットアジャスターロックナットを緩め、タペットアジャストハンドルを左に回してバルブクリアランスを広げる。
0.05mmのシックネスゲージがロッカーアームのアジャストスクリューとバルブステムの間に入るようになったら……。(写真は、分かりやすいようタペットアジャストレンチをいったん外した状態)

ロッカーアームのアジャストスクリューとバルブステムの間に0.05mmのシックネスゲージをとどめ、タペットアジャストハンドルを右に回してバルブクリアランスを狭めてシックネスゲージに当たるまで締めていく。

ここでタペットアジャストレンチを右に回し、タペットアジャスターロックナットを締めてアジャストスクリューを固定したらタペット調整(バルブクリアランス調整)は終わり……。
とはいかない。
なぜなら、タペットアジャストレンチでタペットアジャスターロックナットを締めると、その分アジャストスクリューも動いてしまい、バルブクリアランスは0.05mmより狭まってしまうからだ。
すると、シックネスゲージはロッカーアームのアジャストスクリューとバルブステムの間に挟まれ、動かなくなってしまう。
タペットアジャストレンチでタペットアジャスターロックナットを締め、アジャストスクリューを固定した状態で、0.05mmのシックネスゲージが「羊羹(ようかん)を切るような感触」で前後に動く状態になるよう調整していく。
そのためには、タペットアジャスターロックナットを締める行程で締まってしまう分を考慮し、タペットアジャストハンドルを右に回してシックネスゲージに突き当たったところから少し戻してからタペットアジャスターロックナットを締める、ということを繰り返すことになるだろう。
ちなみに、タペットアジャスターロックナットの締め付けトルクは0.7〜0.8kgf・m(キタコ)とのことだが、手締めになるので参考値。
なかなかいい感じのクリアランスが出ないが、回数繰り返していけば、いい結果に近づいていくはずだ。
排気側(下側)のタペット調整(バルブクリアランス調整) #
吸気側(上側)のタペット調整で神経をすり減らしたところ恐縮だが、これは序の口だ。
車体の下に潜り込まない限り、排気側(下側)は目視しながら作業できないので、指の感触に頼って吸気側(上側)と同じ結果を出さなくてはならない。
吸気側(上側)と線対称の構造になっているので、それを想像しながら対処していく。


調整後 #
調整が終わったら元の状態に戻していく。
現状タペット音もせず普通に動いているなら調整の変化を感じにくいかもしれないが、高速域の伸びにもかかわるため、ビッグキャブを取り付ける前に、タペット調整(バルブクリアランス調整)をしておいた方がいいかもしれない。