使い捨てカイロの13倍暖かいハクキンカイロで厳冬に勝つ!
2016/12/17
価値ある情報をユーザー視点で発信するブログ
2016/12/17
今年はえらく冷え込みますね。
思わずハクキンカイロを出してきてしまいました。
ご存じですか? ハクキンカイロ。白金懐炉、ハッキンカイロなどとも書いたりしますね。
以前、2ちゃんねるのスレッドがきっかけとなってリバイバルがあったのでご存じの方も多いかもしれませんが、鉄の酸化熱を利用する使い捨てカイロが普及する前には当たり前に使われていたものです。
使い捨てカイロとは発熱の仕組みが違い、気化したベンジン(炭化水素)をプラチナの触媒効果によって低温で水と二酸化炭素に分解、分解時に出る熱を利用するものです。化学カイロとも呼ぶことがあります。
もくじ
今時は使い捨てカイロ、eneloopブランドで出ていたバッテリー式カイロのような代替品が主流になっていますが、それらとは段違いに発熱するので、とても暖かいですよ。
発熱量(カロリー)は、何と使い捨てカイロの約13倍!
※24時間使用時の総発熱量
使い捨てカイロ、バッテリー式カイロは、当たっている部分だけが暖かいぐらいですが、ハクキンカイロはアウターを着込めば、服の中に暖気がたまる感覚があるぐらい違います。
ハクキンカイロの発熱時間は、中に入れるベンジンの量で決まります。
▲ハクキンカイロ用の純正ベンジン。
普通サイズのハクキンカイロ ハクキンウォーマー スタンダードの場合、最大25ccで24時間発熱が持続。
ハクキンカイロ用ベンジン500mlで700円とすると、25cc、35円で24時間。
使い捨てカイロは30個600円とすると2個40円で24時間。入手性も考えるとハクキンカイロのコスト上の優位性は微妙なところですが、まず暖かさが違いますから!
24時間当たりのコスト | 24時間当たりの発熱量 | |
---|---|---|
ハクキンカイロ(※1) | ¥35 | 約300kcal |
使い捨てカイロ | ¥40 | 約23kcal |
※1: ハクキンウォーマー スタンダード
今年の冬の寒さは厳しそうですから、ぜひお勧めしたいです。
(続きは[Read More]から)
ハクキンカイロってどんな製品なのか。写真と共に紹介します。
▲カイロはZippoライターのように金属(真鍮ニッケルメッキ仕上げ)でできています。フタを外すと、火口(ひぐち)が露わになります。
▲フタにはクジャクの形に穴が開いていますが、これは火口に装着されたプラチナ触媒が気化したベンジンを水と二酸化炭素への分解をするために必要な酸素を取り込むための通気口。通気口の数や位置、大きさは、カイロの発熱量、持続時間を最適にするために調節されているということです。
▲火口内に固定されたプラチナ触媒が見えるでしょうか。ガラス繊維に、プラチナの微粒子が固定(担持/たんじ)されています。
▲火口はタンクから取り外すことができます。火口を取り外して、タンクにベンジンを注入するのです。
▲タンクには、ベンジンを染み込ませる圧縮脱脂綿が入っています。前述の通り、このハクキンカイロ ハクキンウォーマー スタンダードに一度に注入できるベンジンの量は25ccまで。理由は、それ以上注入すると、漏れてきたベンジンで火口が湿ってしまい、反応が起きなくなってしまうためです。
以前買ってストックしてあるハクキンカイロ3R(現行モデルはハクキンカイロ ハクキンウォーマー スタンダード)の同梱物を紹介します。
▲以前あった3Rというパッケージ。現行ハクキンカイロ ハクキンウォーマー スタンダードと基本的に変わりません。
▲取り扱い説明書、本体、専用カップ、袋。
▲専用カップは、火口を取り外したタンクに装着。ベンジンを注ぐ「ろうと」のような使い方をします。専用カップには目盛りが二つ付いていて、およそ半分の位置にある目盛りまでベンジンを注ぐと6.25cc、これで6時間発熱が持続します。不透明なピンクのパーツをカップと平行位置にしていると、栓がされた状態に。
ベンジンの量 | 持続時間 | 専用カップで |
---|---|---|
25cc | 24時間 | 2杯分 |
12.5cc | 12時間 | 1杯分 |
6.25cc | 6時間 | 半分 |
▲写真のように不透明なピンク色のパーツをひねって90度回すと、栓が抜けてベンジンがタンクに落ちていきます。
このハクキンカイロはどんな風に使うのでしょうか?
手順を追ってみたいと思います。
タンクにベンジンを注入します。
▲火口を外し、専用カップをタンクの口に差し込みます。量をはかるため、専用カップの向きをタンクと平行位置にします。これで栓がされ、タンクにベンジンが落ちていきません。しかる後に、ベンジンをカップに注いでいきます。
▲今回は6時間持てばいいことから、専用カップの半分、6.25cc分のベンジンを注ぎました。
▲専用カップを90度ひねって栓を抜き、ベンジンをタンクに落とします。
▲タンクに外した火口を再度装着し、ライター、マッチなどで火口のプラチナ触媒に熱を加えます。丹念に火口をあぶる必要はなく、むしろススで火口の寿命を短くするだけなので、火にかざすのは一瞬でOK。僕は注意深く「点火」、「燃やす」という表現を使ってきませんでしたが、これはどう見ても火をつけているように見えます。しかし、これはプラチナ触媒が反応を開始するのに必要な130度という温度まで暖めているだけで、ベンジンを燃やしているわけではありません。25ccのベンジンを燃やすとすると、数分で燃え尽きます。ハクキンカイロは25ccのベンジンを24時間かけて反応させるのです。燃焼とは別の反応(触媒燃焼)です。
炎が出るわけではないので、見た目には反応が開始されたかどうだか分かりづらいです。反応の開始を確認します。
▲反応が始まると、触媒反応によって生じた熱が立ち上ってきます。火口の上に手をかざすと、熱気がのぼってくるのが分かります。熱気を感じたらOK。
▲反応が始まったら、フタをして袋に入れます。袋に入れるのは、ハクキンカイロを外に出したままだと、手で持てないぐらいチンチンに熱くなってしまうからです。触媒反応に必要な酸素の流入量を抑制する感じですね。ハクキンカイロを保護する意図で入れるわけではありません。目の粗い袋だと、発熱は大きくなるはずです。
▲ここで初登場ですが、カイロベルトにハクキンカイロを入れ、体に押しつけます。
僕は下着代わりにTシャツを着ていますが、Tシャツの上にカイロベルトを着けています。
このカイロベルトは非常に重要。これのある無しで、ハクキンカイロの効力は大きく左右されます。
経験上、お腹側より、背中の方が暖かく感じます。僕は二組用意して、背中の上下に配置したり、お腹と背中を温めたりしています。
最近では、ネックウォーマータイプのカイロベルトが登場しています。首の後ろ第7頚椎の下、「大椎」を温める「暖か朗 II」は非常に効果的。
以下のエントリでレビューしていますのでご参考ください。
以上、ハクキンカイロの使い方の紹介でした。
使い捨てカイロ、バッテリー式カイロより手順が多いことには違いありませんが、僕はハクキンカイロを暖めるまでの段取りがとても楽しく感じるんですよね。
火口は消耗品です。定価が735円。メーカーでは1年毎に替えるよう案内がありますが、実際には使用環境次第で寿命はまちまちです。
僕は3シーズン以上替えていません。寿命が来るとどうなるかというと、発熱量が減ります。反応が始まらなくなることもあります。
僕は一応予備の火口を一つ持っています。写真はZippoのハンディーウォーマー用の火口ですが、Zippoのハンディーウォーマーもハクキンカイロが作っているOEM品で、火口には互換性があります。
ハクキンカイロの燃料、ベンジン。純正のベンジンが推奨品です。ベンジンはものによって臭いの強弱があって、ベンジン臭が強いものだと電車の中でちょっと気になるぐらいです。比較的臭いの弱いのが純正のベンジン。発熱量も最高。だから推奨品です。
入手性という意味ではZippoのライター用オイルが一番です。また、臭いに関しても純正のベンジンより弱め。ただし、単価が少し純正のベンジンより高いのがネックかもしれません。といっても、355ml、950円ぐらい(2012.12.5現在)のZippoオイル大缶で340時間分ですから、結構使い切るのは大変です。
ハクキンカイロのリバイバルから後、ドラッグストアでハクキンカイロ用のベンジンありますか?と尋ねると出てくることが多くなった印象なので、近所のドラッグストアに当たりを付けておくといいかもしれません。
ハクキンカイロを使い始めると、出かけるときにベンジンを小分けにして持ちたくなりますが、容器の選択には注意が必要です。
ベンジンは溶剤になるので、材質によっては溶けてしまうのです。ベンジンへの耐性があるのは、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプレピレン(PP)、ポリエチレン(PE)。
しかし、ポリエチレン(PE)製の容器にベンジンを入れると、やや柔らかくなってしまうとのことです。
東急ハンズにフタ、容器共にポリプロピレン(PP)製のものが70円ぐらいで売っているとのこと。この用途では、ナルゲンが定番なようです。60mlがちょうどいいぐらいかな。
@masatane_e さんからの情報。Zippo用のオイルタンクZTS980。これいいですね!
@hitoriblog そっちでなくキーホルダー型のカプセルタンクです8ccだから10時間前後か?が入れられます
— 遠藤 正胤 (@masatane_e) December 5, 2012
@hitoriblog http://t.co/U6JqcHLT これっす
— 遠藤 正胤 (@masatane_e) December 5, 2012
参考: http://kirokur.web.fc2.com/hp/201011.html
ハクキンカイロにはいくつかバリエーションがあります。
保温時間最大24時間。
「ハクキンカイロ ハクキンウォーマー スタンダード」の並行輸入品版。
保温時間最大18時間。
「ハクキンカイロ ハクキンウォーマー ミニ」の並行輸入品版。
「ハクキンカイロ PEACOCK GIANT」の平行輸入品版。デカイ!保温時間最大30時間のすごいやつ!
ついにGIANTがAmazonで入手できるようになりました。
フタの通気口の数が少なく、発熱量が純正品より抑えめなのが特徴。
出渕裕ファンにおすすめ。
直販サイトでしか入手できないようですが、このほかに1製品がラインナップされています。
ハクキンカイロ 商品ラインナップ|カイロ 懐炉 スキー スノーボード アウトドア|ハクキン hakkin
昔は電池で点火するタイプもあったのですが、無くなってしまったようですね。
おすすめは普通にハクキンカイロ ハクキンウォーマー スタンダードです。
本当の寒冷地で使用するなら、最強の携帯暖房器具として「ハクキンカイロ PEACOCK GIANT」を買ってみるのもアリでしょうね。
さて、今回はハクキンカイロを紹介してきましたが、とにかく使い捨てカイロ、バッテリー式カイロとは段違いの暖かさだということは再度強調しておきたいところです。
やや手がかかるところもある。
しかしながら、ハクキンカイロにベンジンを注油。点火までの段取りを経て暖を取るという一連の行為自体に、儀式めいた楽しさを見出せるところが魅力です。
まだハクキンカイロというものを体験したことが無い人には、おすすめします。