ペダルが取り付けられないKORG microKEYにペダルを取り付ける改造を施す
2016/05/24
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2016/05/24
もくじ
ミニキーボードでありながら、61鍵という希有なラインナップを擁するKORGのMIDIキーボード、microKEYシリーズ。
このシリーズには、ペダル(サスティンペダル)が付けられないという欠点があります。
入力機器としては、重大な欠点ではないでしょうか。
僕の意見は「次の製品があるならば、価格が上がってもペダル(サスティンペダル)を取り付けられるようにすべき」というものです。
何らか補う方法はあるだろうと、それを分かった上で61鍵版を買いはしました。
当初はペダル(サスティンペダル)単体のMIDI入力機器を作るつもりでいたのですが、作らないうちに時間が過ぎてしまいました。
ふとしたきっかけで、microKEYにペダル(サスティンペダル)を取り付ける改造をした人が出現したことを知るに至りました。下掲のページです。
How to add a sustain pedal to the Korg microKEY keyboard « KwartzLab Makerspace
どういう改造かというと、モジュレーションホイールからケーブルを延伸してペダルに接続。ペダルを踏んだときに、あたかもモジュレーションホイールを最大に回したかのように振る舞わせるというものです。
新しく入力デバイスを増やす改造ではありません。モジュレーションホイールから分岐、ペダルを接続するだけです。
モジュレーションホイールにMIDIのコントロールチェンジ番号64番、「Hold Pedal」をアサインすることになるので、「Hold Pedal」をアサインしている間、デフォルトのコントロールチェンジ番号1番、「Modulation」は使えなくなります。
「Modulation」を使うリード系の音色では通常「Hold Pedal」は使わないので、都度設定を切り替えればいいかと考え、改造を実行することにしました。
改造以降も、モジュレーションホイールが使えなくなることはありません。(続きは[Read More]から)
この改造を施すことによって、本体に重大な故障が生じる可能性があります。
また、改造を施すことによってメーカー保証は無効となります。
実行する場合は自己責任でお願いします。
改造を施す時点で、対象製品に関してメーカーとのかかわりを断つことを約束してください。
まずは分解からです。
本体裏面のプラスネジをドライバーで外していきます。
外すべきネジと、外すべきでないネジがあります。
外すべきは、裏面パネルから奥まったところにあるネジ。裏面のパネル上にすぐ付いているネジは外さなくてOKです。
【MJ-186】6.3mmモノラルジャック – 6.3φ標準 プラグ・ジャック – プラグ・ジャック – マル信無線電機【マルツパーツ館WebShop】
2極、モノラル標準ジャック。マルツパーツで189円でした。
3.9kΩの抵抗です。いつも100本で買うことにしています。千石電商で100円でした。
適当な配線を少々。20cm×2ほど必要なので、適当に都合します。
僕は26AWGの耐熱ビニル電線を2色使いました。
その他、半田ごて、半田などの工具が必要です。
ケースに【MJ-186】6.3mmモノラルジャックを取り付けます。これがペダルを取り付ける端子となります。
▲MJ-186は二つあるUSB端子の隣に取り付けます。ケースにMJ-186を当てがって位置を出すことにします。MJ-186のジャックの中心点がケースのどこになるかということを知るため、ハンドドリルのチャックを取り出し、チャックにドリルのビットを挟んでMJ-186に挿入。
▲この状態で取り付け予定位置に当てがい、ドリルのビットでケースに傷を付けます。ドリルのビットとチャックを外してMJ-186を当てがい、付けた傷がおおよそ取り付け予定位置のセンターに来ているか確認。
▲確認後、ピンバイスをキーボードの下に通す形とし、付けた傷の位置にガイド穴を開けます。
▲ガイド穴に沿ってハンドドリルで穴を広げます。
▲ドリルで開けた穴をMJ-186のジャックのサイズにぴったりになるようリーマーで広げます。広げすぎると取り返しが付かなくなるので、MJ-186を当てがってサイズを確認しつつ、慎重に進めていきます。
▲ワッシャーとナットを締めて取り付け状態を確認します。
▲こんな感じになればOK。
▲位置関係を確認してください。
▲この穴開けが終わったら、ほぼ作業は終わったようなものです。
ジャックに抵抗と配線を半田づけします。配線は20cm程度にカットしたものを2本用意します。
▲プラグの先端側に接触する端子には3.9kΩの抵抗を介して配線を、プラグの根元側に接触する端子には配線をそのまま半田づけ。まあ抵抗はどちらにあっても構いませんが、作例に従います。
▲半田付けが終わったら、熱収縮チューブでカバーします。
▲モジュレーションホイールの黄色の配線が半田づけされている端子に3.9kΩの抵抗をつないだ配線を、緑色の配線が半田づけされている端子にもう片方の配線を半田付け。
▲MJ-186をナットとワッシャーで締め込んでケースに固定。配線は基板の右側を迂回するように取り回し、ケースを閉じます。基板の上を通過するように取り回すと、ホイールと干渉して、ホイールの動きが渋くなるので注意してください。
モジュレーションホイールに「Hold Pedal」を割り当てます。
割り当てにはKORG KONTROL Editorを使います。KORG KONTROL Editorの利用のためには、ドライバのインストールが必要です。
ドライバ、KORG KONTROL Editorのダウンロード、インストール方法は以下のページから。
KORG KONTROL Editor for Mac|KORG INC.
KORG KONTROL Editor for Windows|KORG INC.
▲microKEYを接続し、KORG KONTROL Editorを起動。「CONTROLタブ>Mod Wheel>CC Number」を1から64に変更。
▲メニュー「転送>シーン・データを書き込み」を実行。設定は以上です。設定を元に戻す場合は、施した設定の逆で「CONTROLタブ>Mod Wheel>CC Number」を64から1に変更、とします。
この改造で使えるペダルは、「ノーマリーオープン」、「ノーマルオープン」、「ペダルを踏み込んでいる間だけオン」タイプ。あるいは、極性切り替え機能の付いたものです。
ペダルが「ノーマリークローズ」タイプだったとすると、ずっとペダルが踏まれた状態になってしまいます。
YAMAHA / Rolandのペダルは「ノーマリーオープン」、KORG / KAWAIのペダルは「ノーマリークローズ」のようです。
サスティンペダルの極性って!? | 【イシバシ楽器店】ギター、管楽器、ドラムなどを扱う総合楽器店オンラインショップ
下掲のM-AUDIO SP-2は極性切り替え機能が付いているので、この改造でも使えます。
僕の持っていたペダルはKAWAIのもので、不運にも「ノーマリークローズ」でしたので改造しました。
▲ペダルから取り出したスイッチに半田付けされた(1)を、(2)に移動して半田づけし直したら「ノーマリークローズ」が「ノーマリーオープン」になりました。
恐らく同様の改造が可能なペダルは多いことでしょう。
ピアノ系の音色で演奏する際はペダル(サスティンペダル)は必須です。
それが無いのでは、どうしても限界があります。
ペダル(サスティンペダル)が付いてやっと61鍵の本領が発揮できるようになりました。