SDKでHack!iPhone用自走ユニット型ロボットRomo(ロモ)国内販売開始
2016/05/24
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2016/05/24
もくじ
iPhone / iPod touchを頭脳とする「Romo(ロモ)」というRomotive(ロモティブ)社のロボットを知っていますか?
RomoはKickstarter発の、既に2年の歴史のあるプロジェクト。さらに1年遡る旧Romoプロジェクトを、RomoならびにRomotive社の端緒としています。
Romo – The Smartphone Robot for Everyone by Romotive — Kickstarter
「体感型エデュケーショナルロボット」というキャッチが示す通り、子どもにプログラミングに興味を持ってもらうきっかけ作りをすることをコンセプトとして作られました。
……が、
購入するのは大半が大人だそうで、専らロボット好きの大きなお友達の関心を引いてしまっているようですね。
そのRomoの、日本国内での販売が始まります。
以前自走式iPhoneを作った自分としては運命的なものを感じ、2014年6月4日に開催されたRomo国内向け販売のための発表会に馳せ参じました。
ロボットといっても、見ての通り自走式のiPhoneスタンドのような体のガジェット。
キャタピラを持ったベースの中央に、iPhone / iPod touchを立てるスタンドが存在。水色の半透明のパーツ部分は、LEDで光ります。
スタンドにはLightningコネクタ、ないしはDockコネクタがあり、これを経由してRomoとiPhone / iPod touchが通信。高度な制御が可能になっています。
機種 | コネクタ形状 | 対応機種 |
---|---|---|
ROMO3L | Lightning | iPhone 5 / 5c / 5s, iPod touch 第5世代 |
ROMO3B | Dock | iPhone 4 / 4s, iPod touch 第4世代 |
このスタンドもまた、自律動作時の画像認識や、テレプレゼンス時に使うインカメラの仰角の制御のために、電動で可動。
意外に機敏な動きをします。
2014年6月4日から、公式サイトで予約販売が開始。発送、一般販売は7月24日から。日本国内での販売とサポートは、Roombaの国内販売も手がけるセールス・オンデマンド社が担当。
価格は14,500円(+税 1,160円)。Amazonで3万円超えで平行輸入されているのを見た後だと、いきなり半額セールしているかのように感じますな。
Romo(ロモ)公式サイト┃体感型エデュケーショナルロボット
売りっぱなしでは済まない奥深い製品であるため、サポートの重要性を鑑み、販売は公式サイトからの通販が前提になるようです。
既にiPhoneからWi-Fi経由でコントロールするラジコンやドローンがたくさん発売されているので、それらと同類に見てしまいがちですが、ところがどっこいKickstarter発はひと味違う。骨のあるロボットです。(続きは[Read More]から)
Romoに載せるiPhone / iPod touchの上で動かす無料の公式アプリは、App Storeで公開中。アプリからRomoを制御し、動かします。
Romo本体には基本的な機能のみ搭載し、iPhone / iPod touchとアプリ側でできることは、極力そちらが受け持つように設計。アプリのバージョンアップによって機能向上していけるようになっています。
Romoは以下の三つの活用方法が想定された製品です。
Romoアプリを使って、ビジュアルプログラミングが可能。
Romo
カテゴリ: Entertainment
販売元: Romotive, Inc(サイズ: 97.0 MB)
全てのバージョンの評価: (0 件の評価)
「ミッション」をこなしてプログラミングのためのパーツ集め。
集めたパーツを使って「じっけん室」でビジュアルプログラミングという、カルネージハートに熱くなった世代なら看過できない内容。
「おいかける」は、Romoに搭載したiPhone / iPod touchのインカメラでボール、顔を認識し、それを追走。
「線をたどる」は、いわゆるライントレーサー。床に引いた線をたどって走ります。
機器制御の楽しさを存分に体感できます。
Romoは、遠隔地とビデオ通話をしながら遠隔操作する、テレプレゼンスの用途も想定。
Romo Control
カテゴリ: Games
販売元: Romotive, Inc(サイズ: 13.8 MB)
全てのバージョンの評価: (0 件の評価)
Romoに搭載したiPhone / iPod touchと、Romo ControlをインストールしたiPadを含む別のiOS機間で通信し、自走可能なWebカメラ的な使い方ができます。
同一Wi-Fiネットワーク間はもちろん、インターネット越しの通信も可能。
コントロールする側は、Romo ControlをインストールしたiOS機以外にWebブラウザが使えるので、iOS機が一台しかなくとも大丈夫。
後出のRomotiveSDKはObjective-Cですが、JavaScriptを使ってRomoを制御する強者もいるそうです。恐らく、このテレプレゼンス用のAPIを使っているんでしょうね。
Romoには、RomotiveSDKが存在。これを使って、自作のプログラムでRomoを制御することができます。
RomotiveSDK: Class List
App StoreからダウンロードできるRomo公式アプリから自作プログラムを実行できる仕組みがあるかと思いきや、それはない。
Objective-CベースのRomotiveSDKは自作のアプリに組み込む使い方となるので、開発にはiOS Developer Program(年間参加費7,800円)が必要とハードルが高いものの、なかなか作り込まれたSDKのようなので、取り組みがいがあると感じる開発者もまた少なくないでしょう。
Romotive社CEO、ケラー・リナウド氏によればRomotiveSDKを使ったRomoの用途の拡大と、それに取り組む開発者、開発コミュニティの形成を大事に考えており、セールス・オンデマンド社は、このたび稼働を開始したRomoの日本の公式サイト内に、開発コミュニティの形成を支援するフォーラムの設置も検討しているとのことです。
また、2014年7月13日(日)にはRomoハッカソンを開催。Romoの出展が決まっている6月12日(木)開催のアプリジャパン2014でも、ハッカソン参加者を募るとのこと。
Oculus Riftが日本で特異な進化を遂げたように、コミュニティの形成がうまく行き、スタープレイヤーが登場すれば、Romoにもまた日本人の感性で奇跡が起こせるかもしれません。
ディスプレイがコンピュータの表示装置として普及するまでは、コンピュータを使ってすることといえば、ホビーの領域においても機器の制御でした。
ディスプレイ普及後、コンピュータですることは専ら画面内で完結することばかりになり、コンピュータを使って機器を制御することは、専門家のみがする特殊なことになってしまった感があります。
しかし、近年のフィジカルコンピューティングムーブメントの勃興によって、コンピュータで機器を制御することの面白さが再評価されてきました。
Romoもまた、その流れにあるガジェットの一つであるといえます。機器制御の面白さを手っ取り早く体感させてくれるプラットフォームとして有用ではないかと感じます。
モーターで動く機器を一から組み立ててこそ得られる面白さというものもありますが、使いもしないマイコンを買い込み、何枚もうず高く積んで今思うのは、省ける手間は省いた方がいいということです。
Romoで、ロボット開発、機器制御のオイシイところだけを体感させてもらいましょう。より高度なことに挑戦するのは、それからでも遅くありません。
Romo(ロモ)公式サイト┃体感型エデュケーショナルロボット