電子書籍に消極的だった西尾維新の初の電子書籍となる『掟上今日子の備忘録』
2016/05/19
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2016/05/19
電子書籍とライトノベルとの親和性の高さから、電子書籍におけるライトノベルのシェアは大きいものになっています。
ライトノベルの品揃えのいい書店、BOOK☆WALKERでは、ライトノベルの売上が全体の50%超といったデータもあります。
角川グループ電子書籍 2012年度の売上が大幅伸張|株式会社ブックウォーカーのプレスリリース
そんな市場なら、西尾維新の作品群は、電子書籍市場においてさぞかし大きなシェアを占めているのではと考えるのが普通ですが、実はそうなっていません。
Kindleストアで西尾維新作品を検索すると、コミカライズ作品を除いてヒットしません。
西尾維新作品の電子書籍は、これまで存在しなかったのです。
なぜ存在しないのか。一説によれば、電子書籍化にOKを出していないから。『猫物語(白)』の登場人物に、以下に引用するセリフを言わせていること、電子書籍化された作品はこれまでないという客観的事実から、電子書籍化に積極的でない立場を取ってきたことは確かでしょう。
「電子書籍がデジタル写真の域を出ないうちは安泰だと思いますけど。本はこの重みを含めて本ですから……。平面じゃなくて立体なんですよね、本って。デジカメが普及したからといって、フィギュアのコレクターが『写真でいい』と言い出しはしないのと同じで、背表紙あってこその本なんだと思います」
西尾維新作品は電子化されないということが半ば常識と化した昨今。
電子書籍の普及が進んだことを受けてか、あるいはそうした時代に新しく立ち上がったシリーズという節目からか、2014年10月15日発売の新作『掟上今日子の備忘録』は、前例を覆して紙と電子書籍が同時という設定になっています。
発売が近く、初回出荷限定付録に『掟上今日子の備忘録』の第一話が収録されている『続・終物語』には相変わらず電子書籍の設定がないことを鑑みると、ここが大きなターニングポイントになっていると考えられます。
これから西尾維新作品が続々電子書籍化するとしたら、それは本当に素晴らしいこと。続刊にも期待したいところですね。