「HyperX Cloud Revolver」商売っ気がなさ過ぎるハイエンドゲーミングヘッドセット
2016/06/15
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2016/06/15
今回は、ゲーミングヘッドセットKingston Technology「HyperX Cloud Revolver」をレビューします。(サンプル提供: Kingston Technology)
「HyperX」とは、Kingston Technologyが展開するゲーマー向けPC周辺機器のブランド。ゲーマーの高い要求にこたえるゲーミングヘッドセット、マウスパッド、メモリ、SSDといった商品展開でゲーマーの信頼を得ています。
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「HyperX Cloud Revolver」は、ストイックな作りのマイク付きヘッドホン。同社のラインナップの中ではハイエンドに位置します。2016年4月発売で、価格は2016年6月現在¥14,980。
機種 | 価格相場 |
---|---|
HyperX Cloud Revolver ヘッドセット | 約¥15,000 |
HyperX Cloud II ヘッドセット | 約¥12,000 |
HyperX Cloud ヘッドセット | 約¥9,000 |
HyperX Cloud Core ヘッドセット | 約¥7,300 |
特徴的な機能は一切持たず、基本性能を磨いた製品。ヘッドホンとしての音質傾向は意外にもスタジオモニター的で、外見や、ゲーミングヘッドセットというジャンルから連想するドンシャリ的(低音と高音が強調されたもの)な音質傾向を予想すると裏切られます。
そんな商売っ気のない作りに興味を惹かれる人には、検討の価値がある製品です。
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もくじ
商売っ気のない作りといっても、そこはハイエンド。パッケージはしっかりした化粧箱。
内箱もマットな質感の化粧箱で、高品質を予感させます。
スポンジに埋没した製品との対面。ワクワクします。
同梱品は、本体(ケーブル長1m)、ノイズキャンセリングマイク、オーディオコントロールボックス(ケーブル長2m)。このほか、ペラ2枚の説明書が付属します。
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カラーリングはHyperXブランドのテーマカラー、黒と赤。ヘッドバンド部分のフレームはスチール製。
ヘッドバンドはフリーアジャストタイプで、長さの調整は必要ありません。(参考動画)クッション部分には低反発レザーレット素材を使用。
イヤーパッドも低反発レザーレット素材。ドライバーには他3機種と異なる新しい世代のダイナミック型・指向性50mmのドライバーが採用されています。
ドライバー | ネオジム磁石、ダイナミック50mm径 |
---|---|
タイプ | サーカムオーラル、密閉型 |
周波数特性 | 12Hz〜28,000Hz |
全高調波歪 | 2%未満 |
インピーダンス | 30 Ω |
音圧レベル | 104.5dB SPL/mW (1kHz時) |
入力電力 | 定格 30mW、最大 500mW |
重量 | 360g |
ノイズキャンセリング機能を持つマイクは、左側に取り付け。取り外し可能な構造になっています。形状記憶可能な素材でできており、マイク位置の微調整が可能です。
端子は4極3.5mmミニプラグ。iPhoneなどのスマートフォン、MacBookに接続して、通話が可能です。Xbox One、PS4、Wii Uのコントローラーにも使えますね。
本来の用途とは異なりますが、iPhoneに接続した場合はこのような感じ。Skypeで通話をしてみましたが、支障なく使用可能でした。
付属のオーディオコントロールボックスは、4極3.5mmミニプラグを3.5mmステレオミニプラグ(緑)と、マイク用のミニプラグ(ピンク)に分岐する役目を持つほか、マイクのミュートスイッチ、アナログ式のボリュームが付いていて、これらを使う場合には取り付け必須となります。
オーディオコントロールボックスを経由すれば、PCのサウンドカード、マイク端子を持つWindowsのノートPCに接続可能となります。
加えてオーディオコントロールボックスにはフックが付いており、ゲーム中にマイクミュートを頻用する場合は、シャツのどこかに取り付けるなどで操作性を上げることができます。
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ヘッドバンドはフリーアジャストタイプで、イヤーカップが当たる位置を調整するのは簡単。たまに摺動部に髪の毛が挟まるヘッドフォンがありますが、「HyperX Cloud Revolver」の場合は大丈夫そうです。
イヤーカップは、すっぽり覆い直接耳に当たらないアラウンドイヤータイプ。側圧は弱からず、強からずですが、側圧が広い範囲に分散され長時間の使用でも耳が痛くなりません。
僕は眼鏡をかけていますが、側圧がかかる部分が眼鏡のツルより下にきていて、「HyperX Cloud Revolver」を着けたまま眼鏡の着け外しができるぐらい。痛くなることはありません。
イヤーカップに使われているレザーレットは固めのマシュマロといった感じでフィット性は高いものの、湿度が高くなり、暑くもなり始めた今の季節(2016年6月)では肌への密着部分が汗ばむ感じがあります。
ケーブルは左側から出ます。繊維編み込みの被覆で覆われており、高級感があります。柔軟性は普通レベルで、固くて取り回しに困るということはありません。
ケーブル長1mというのはポケットに入れたiPhone、Xbox One、PS4、Wii Uのコントローラー、机の上のMacBookに接続して使うにはちょうどいいですが、使い方や設置状況によっては長さが足りなくなり、オーディオコントロールボックスをつないで延長する必要が出てくるかもしれません。
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音質は、冒頭で書いた通りでスタジオモニター的。
ゲーミングヘッドセットにありがちなドンシャリ傾向(低音と高音が強調されたもの)から遠く離れたところにあります。
SONY MDR-CD900STなどの純スタジオモニターと比較すると低音が強いですが、非装飾的な音質にびっくりする人もいるかもしれません。周波数特性傾向は、やや低音強めのフラット。
ドライバー | ネオジム磁石、ダイナミック50mm径 |
---|---|
タイプ | サーカムオーラル、密閉型 |
周波数特性 | 12Hz〜28,000Hz |
全高調波歪 | 2%未満 |
インピーダンス | 30 Ω |
音圧レベル | 104.5dB SPL/mW (1kHz時) |
入力電力 | 定格 30mW、最大 500mW |
重量 | 360g |
従って、映画鑑賞向きの特性を持った一般のゲーミングヘッドセットと違い、音楽鑑賞にも向いています。口径の大きな50mmのドライバーが使われていることもあり、低域の伸びは目を見張り、ドラムンベースに使われるサイン波に近いベースラインなども悠々と鳴らします。
ドライバーがハの字に取り付けられていることもあり、音場は顔の前辺り、鼻先を掠めるように展開され、頭内定位感が緩和されています。
音像の定位はややぼやける印象ですが、却って実在感が醸されています。
音質などについて、手持ちのSENNHEISER HD 25-1と比較してみました。
「HyperX Cloud Revolver」の遮音性はHD 25-1より低く、意外と外の音が聞こえます。
解像感はHD 25-1の方が上回ります。高域の表現、スピード感などはHD 25-1の方が上。
「HyperX Cloud Revolver」の高域はややマイルドで疲れません。
音像全体のスケール感は「HyperX Cloud Revolver」が圧倒的に上。比較すると、HD 25-1の方はこじんまりとして聞こえます。大口径のドライバーの規模の勝利といった感じです。ゲーム用途での没入感につながるでしょう。低域の伸びも圧倒的に「HyperX Cloud Revolver」が勝ります。
「HyperX Cloud Revolver」の低域の伸びに関して話題にしたいエピソードがあるので紹介します。
TV版より音響が凄いことになっていて、4DX版の上映が繰り返し行なわれた「ガールズ&パンツァー 劇場版」を試聴していた時のこと。
プラウダ高校の戦車隊がスクリーン左手から丘に乗り上げるシーン。普段は何気なく見ていたのですが、ここには超低周波が仕込まれており、「HyperX Cloud Revolver」で聞いていると、ズシーンと乗り上げたところで左のドライバーがブルブルと震えるのです! これにはびっくり。
HD 25-1で同じシーンを見てみると、可聴域が鳴るだけで、そのような音の存在には気づけませんでした。
「HyperX Cloud Revolver」の低域への追従性は、もはや音になっていないような低域に及ぶとんでもないものがあるかもしれません。これは、ゲーミング用途においても重要でしょう。索敵における重要な情報を得られるか否か、その分かれ目になる可能性もあるわけです。
音質ではありませんが、ベロア地のものに交換したHD 25-1の方が耳当たりはいいものの、1時間も装着してくると側圧の強さもあって痛くなってくる上、眼鏡との相性も最悪なHD 25-1と比較して、「HyperX Cloud Revolver」の快適性は抜群です。
長時間のプレイが多くなるであろうゲーミング用途ではアラウンドイヤータイプは絶対的正解。ただし、既に指摘した通り、今の季節だと汗ばみます。
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取り外し可能なノイズキャンセリングマイクについては、うまく評価する環境がありませんが、このマイクで録音した音は取り立てて高音質というわけではありませんでした。
恐らく標準的な性能のユニットが使用されているものと思われます。
指向性があるマイクなので口元を中心に音を拾い、周辺の音はかなり小さくなります。
方式 | エレクトレットコンデンサーマイク |
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極性パターン | 単一指向性、ノイズキャンセリング |
周波数 | 50Hz~18,000Hz |
感度 | -40dBV (0dB=1V/Pa、1kHz時) |
「HyperX Cloud Revolver」について駆け足で見てきましたが、虚飾を廃したしっかりとした性能のヘッドフォンに、マイクが付いている。言ってみれば、それだけの製品です。
それがゆえに、ゲーミングに限定せず、それ以外の用途にも使っていきたいと思えました。
Skype、FaceTime、LINEなどでボイスチャットをする機会の多い人が、普段使いのヘッドフォンと、ボイスチャット用のヘッドセットを統合する目的で買うのはありでしょう。
ゲーミング用途では、音質が微妙なヘッドセットや、サラウンド機能付きの機種を卒業したいプレイヤーが、スタジオモニター的な音質を求めてステップアップするのにうってつけの機種です。
逆に、ゲーミングヘッドセットにサラウンド機能や過剰に強調された低音などの付加価値を求めている人には向かない機種です。
購入検討をしている人がいたら、そこを見極めて選択してみてください。