Bose QuietComfort 35 (QC35)がサポートするコーデックが何なのか問い合わせしてみた
2016/06/24
価値ある情報をユーザー視点で発信するブログ
2016/06/24
Boseから、ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホンBose QuietComfort 35 (QC35)が発売されることになった。発売日は2016年6月26日。
⇒ Bose ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン QuietComfort 35 (QC35)をAmazonで見てみる
ノイズキャンセリング機能はBose製が秀でており、ノイズキャンセリング性能を重視する人はQuietComfortを選ぶ。長時間の拘束を余儀なくされる国際線での移動が多いビジネスマンに愛用者が多い印象がある。
しかし、ライバルが次々とワイヤレス化する中、Boseはその一歩が長く踏み出せずにいた。
今回のBose QuietComfort 35 (QC35)は、シリーズの支持者にとって一日千秋の思いで待ち焦がれた待望のワイヤレス製品となる。
⇒ Bose ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン QuietComfort 35 (QC35)をAmazonで見てみる
嬉々としてスペックチェックをするQuietComfort購入検討者が、ついに見つけられない情報があった。
「ない、ここにもない。どこにも書いてない」
それは、Bose QuietComfort 35 (QC35)がサポートするコーデックについての情報だ。
もくじ
どんなコーデックがサポートされているかによって音質への期待値の基礎部分が決定されるから、それが分からないのは本当にストレスがたまる。
公式サイト、Bose QuietComfort 35を扱う通販サイトの当該ページには、サポートするBluetoothプロファイルしか書いてない。マニュアルにも書いていない。 http://www.brandsmartusa.com/pdfs/manuals/20212203.pdf
そこで、Boseのカスタマーサポートに問い合わせを入れてみた。
日本のカスタマーサポートは一つ質問を入れるのに個人情報を尻の毛一本まで毟る勢いだったので踵を返し、本家に問い合わせを入れてみた。
本家は匿名での質問を受け入れてくれた。
返答はこうだった。
Dear Moyashi,
Thank you for considering Bose for your audio needs.
I can help you with this inquiry.
The audio codec isn’t really relevant in relation to the headphones as long the audio device can play the audio file.
The QuietComfort 35 headphones are compatible with the following Bluetooth profiles:
Advanced Audio Distribution Profile (A2DP);
Hands Free (HFP);
Headphones (HSP);
Audio/Video Remote Control Profile (AVRCP);
BTLE (Bluetooth Low Energy)Contact me any questions regarding this matter.
Thank you for contacting Bose Corporation.
****
Product and Technical Support Team
「サポートしているのはSBC、AAC、aptX、LDACのうちどれなのだ?」と、四択形式にしてBluetoothプロファイルではなく、コーデックについて質問しているのだと伝わるように書いたつもりだったが、返答は期待を裏切るものだった。
悪いけど、Bluetoothプロファイルについてなら、どこにだって書いてあるよ。
このカスタマーサポート担当者も、多分僕が見たものと同じものを見て返答しているのだろう。
返答までたっぷり1週間かかって振り出しに戻された。賽の河原の石積みをやっているような気持ちだ。
こんなことをブログに書いたら、知り合いの @toriken 氏が国内のBoseのカスタマーサポートに確認を入れてくれた。
曰く「QuietComfort 35 wireless headphones」と「SoundSport wireless headphones」は、標準コーデックであるSBCに対応している。それ以外のコーデックの対応状況については開示していないのでご了承ください、ということだった。
一歩前進したような、足踏みをしているような、これまた微妙な返答だ。SBCに対応しているのは言われなくても分かるもんね。今時SBCだけにしか対応していないBluetoothチップセットをわざわざ採用する意味があるとも思えない。それ以外のコーデックへの対応をうたうとライセンス料が取られるからとか、そんな話なんだろうか。
カタログスペックとは全く関係のないところで音作りをするBoseのことだからうまく仕上げてくるんだろうけれど、このモヤモヤした気持ちのやり場に困るね。
ちなみに、macOSの場合だと接続後にOptionを押しながらメニューバーのBluetoothアイコンをクリックすると、現在接続中のBluetoothオーディオ機器との通信に使われているコーデックが確認できる。
ただし、最近のmacOSはAACには非対応。最新のEl CapitanでもデフォルトではAACが無効になっており、Bluetooth Explorerという開発者用のツールでAACを有効にしないとならない。
こんなことを書いていたら、既にBose QuietComfort 35 (QC35)を所有する @kansmemo 氏が上記の方法で使用コーデックを調査してくれた。
AACになりました! pic.twitter.com/LItOiFQGhg
— かんのあつし◢͟│⁴⁶ (@kansmemo) June 22, 2016
OS X El Capitan上では、後述のAAC有効化の設定を施すことでコーデックにAACが使われたということだ。
ついでに使用感を尋ねてみたが、ノイズキャンセリング機能はSONY MDR-1RNCを比較対象とした場合、格段にいい。ただしノイズキャンセリング特有の「サー」というホワイトノイズは聞こえるそうだ。
AAC時とSBC時の音質の差は、それほど感じられない。音質自体の評価は、良くもなく、悪くもなくといったところだそう。
2016年6月21日に開催されたBoseの「体験会2016夏」の質疑応答の時間で、Macお宝鑑定団のdanboさんがこの件を米Boseのダン・ゲイジャー氏に質問してくれた。
曰く、「SBC」と「AAC」に対応しているということだ。
Bluetooth接続対応ヘッドフォンのコーデックについて質問したところ「SBC」「AAC」に対応しており、aptXには対応していないとのことでした。
なお、同社は製品仕様として、コーデックに関しては非公開という立場をとっているそうです。
AACがサポートされてさえいれば、iOSでは一定の音質が担保される。
ただし、macOSはデフォルトではAACが無効であるため、本来の実力を発揮させるためにはひと手間かかる。
Bose QuietComfort 35 (QC35)ならびにaptXをサポートしないBoseの2016年モデルをmacOSで使う場合には注意が必要で、Bluetooth Explorerという開発者用ツールをダウンロードし、AACを有効にせねばならない。さもなくばSBCが使用され、満足な音質にならない。ただし、AACを有効にできるのはEl Capitan以降だけだと思われる。
Bluetooth ExplorerはAppleの開発者用サイトからダウンロードできるHardware IO Toolsに入っている。以下のサイトにアクセスし、Apple IDでログイン。
ページ左の検索欄に「Hardware IO Tools」と入力すれば、検索結果に現れるはずだ。2016年6月現在であれば、ログインした後、以下の直接リンクからダウンロードすればいい。
Bluetooth Explorerには実に多様な機能があるが、関係するのは「Tools>Audio Options…」だ。El Capitanなら「Enable AAC」というチェックボックスがあるので、これをオンにする。「AAC Bitrate」は、最大にしておくと音質がよくなる。
Bose QuietComfort 35 (QC35)には大変消耗させられてしまったが、これで安心して購入を決断できるだろう(笑)。