SIGMA本社にDPシリーズを持ち込み修理した人にだけ開示される「SIGMA dp Quattro貸出サポートプログラム」が神対応な件
2016/12/17
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2016/12/17
愛用のデジカメ、SIGMA DP2 Merrillが故障してしまい、修理に出そうと思うも梱包が面倒で、持ち込み修理を選択。
持ち込み先のSIGMA本社で感動的な対応を経験したため、同胞に共有しておきます。
もくじ
2012年発売のデジカメ、SIGMA DP2 Merrillをいまだに愛用しており、ほぼ毎日使い倒しているのですが、ダイヤルの接触不良に始まり、SDカードを全く読まなくなる症状が出て、修理に出さざるを得なくなりました。
ダイヤルの接触不良はだましだまし2年ぐらい使いましたが、カードが読めないのでは年貢の納め時。
DP2 Merrillは2012年7月に買ったので、4年も経過しています。まあよく働いてくれました。
DP2 Merrillはなかなかに使いづらいカメラですが、条件がそろったときの画質はとんでもないものがあり、それがすべてを補ってあまりあります。
DP2 Merrillは明るい場所の静物しか撮れません。暗所、動体、望遠などの撮影も必要を感じ、デジタル一眼レフカメラの購入を検討。
先日量販店でAPS-Cのハイエンドクラスの試写をしたのですが、DP2 Merrillのピーク時の画質に遠く及んでいませんでした。
DP2 MerrillにはFoveon X3というRGB縦3層構造のセンサーが搭載されていて、デジカメに一般的なベイヤー配列のセンサーとは全く違う映りをします。
最も顕著なアドバンテージは解像度で、液晶ディスプレイの1ドットに画像の1ドットを当てる、つまり等倍表示をしても鑑賞に耐える画質なのです。
液晶画面で全体像を表示。等倍までの拡大の過程でどんどんデティールが湧き出てくる体験をすると、だれでもびっくりするはずです。
いつも、「ブレードランナー」でデッカードが音声で操作する写真分析機を思いながら等倍表示をしています(笑)。
まだまだ使う気になってSIGMAのWebページで修理の受付方法を調べたところ、持ち込み修理の場合、持ち込み先が神奈川県川崎市のSIGMA本社になっていたため、自宅からそれほど遠くもないこともあって、持ち込みしてみることに。
SIGMA本社は神奈川県川崎市麻生区、小田急多摩線の黒川駅を下車して徒歩10分のところにあります。
そこそこ駅から距離がありそうだったこと、周囲の小山田緑地、鶴川、唐木田、小野路といった辺りは里山がよく残る興味をそそられる地域で、自転車で走ってなじみがあったのでBROMPTONを携え、黒川駅を下車。
▼小野路の里山風景
そこからSIGMA本社まではBROMPTONで移動しました。
入り口は地図で示した通りで敷地の北側にあります。
電車を降りそこねるトラブルに見舞われ、迷惑にも窓口の受付終了時間である17:00直前にSIGMA本社に到着。
ブログ的に、ぜひともここはシグマ本社の写真が欲しいところですが、この時間帯ゆえに撮影する気力をなくしていました。
ブクマが50ぐらいになったら再度の撮影を考えますね(笑)。しかし、正面玄関の様子はGoogleマップのストリートビューに写っています。このこともあって撮影しませんでした。
修理のためにわざわざ持ち込む人も少ないでしょうから、区役所よろしく事務所の雑然とした空間の通路側に設けられたカウンターで立ったまま対応されるのかと思いきや、社員が出入りするような正面玄関しかなく、恐る恐る正面の自動ドアから入りました。
ちょうどYシャツにネクタイ姿の社員の方が通りかかり、目が合ったので用件を告げると正面玄関脇の応接室に通され、お茶を出されました。
応接室で待っていると、社員の方が修理品を受け取るお盆の上に受付書類などを乗せ、指紋を付けぬよう白手袋をはめて戻ってきました。
症状確認の後にカード側に原因がないか質問を受け、デジカメでフォーマット後もカードが読めないこと、DP2 Merrill以外では問題が出ないことを説明した後、修理予算を確認して、DP2 Merrillに適用される普通修理の範囲11,880円~22,680円だったら修理を実行することで承諾し、書類を作成。
一通りが済んで、話は新型のdp Quattroに。
カタログなどを見ながら説明を受けましたが、ほかならぬSIGMAの社員の方ということで、僕のDP2xから始まるDPシリーズ愛などを交えつつで楽しくセールストークを受け、雰囲気が温まってきたところでSIGMAの社員の方から意外な提案を受けました。
それが「SIGMA dp Quattro貸出サポートプログラム」。
DPシリーズを持ち込み修理に来たカスタマーだけに開示された、期間限定の特別なプログラムです。(ブログに書くことは了承を取っています)
SIGMAのカスタマーサポート部が提供する、車のディーラーなどでおなじみ「代車」のようなもの。
修理中で手元からカメラがなくなることの不便を埋めるために、SIGMAの最新機種であるdp Quattroシリーズを無償で貸し出してくれるというもの。
プログラム対象は以下の4機種、つまりdp Quattroのいずれの機種でも借りることができます。
dp0 Quattro | dp1 Quattro | dp2 Quattro | dp3 Quattro | |
焦点距離(35mm判換算) | 約21ミリ | 約28ミリ | 約45ミリ | 約75ミリ |
F値 | F4〜F22 | F2.8〜F16 | F2.8〜F16 | F2.8〜F16 |
撮影範囲 | 18センチ〜∞ | 20センチ〜∞ | 28センチ〜∞ | 22.6センチ〜∞ |
修理品を持ち込み、代わりに「代車」としてのdp Quattroを持ち帰り、修理品が上がるまではdp Quattroで撮影を楽しめるのです。
修理上がりの品は着払いで届き、届いて1週間以内に「代車」を宅配便で返送するというシステム。
返送に必要な伝票、ダンボール、梱包材込みで借りられるので、返却時は梱包してコンビニにでも持ち込むだけ。しかも返送にかかる送料まで持ってくれます。
dp Quattroを検討中のDPシリーズユーザーにとっては、またとないチャンスというわけです。
ユーザー思いのSIGMAらしいプログラムですね。不便を埋めるという大義名分はあるものの、これは紛うことなき「公式ホレホレ」。dp Quattroを買わずにおれなくする策略です。
もし、持ち込み修理が可能な地域にお住まいで、手元にDPシリーズをお持ちなら、壊れていなくともオーバーホールなどを依頼しつつ、このプログラムを利用してみてはいかがでしょうか。
dp Quattroでセンサー構造が変わって不安に思っている人は少なくないと思いますが、思う存分dp Quattroの性能を評価できますよ。
もちろん利用させてもらうことにして、単体では買いづらいdp3 Quattroを借りてみることにしました。
dp3 Quattroの35mm判換算で約75ミリという焦点距離は中望遠域で、望遠レンズの圧縮効果、より薄くなった被写界深度による演出性が強く出てきます。
風景を撮ろうと思うと難しい。その一部だけを切り取ることになるので、漠然と風景を撮ることができないのです。
したがって、主題を探さざるを得なくなります。主題がないとシャッターが切れないのです。
28ミリなどの広角だと、とりあえず見えている範囲を大体収めることができるので、主題があろうがなかろうが記録を取るかのようにパシャパシャシャッターが切れますが、これが75ミリになると、そうはいかない。
ショット数は広角と比較して1/5ぐらいに減る印象です。そして、広角の5倍ぐらい辺りをキョロキョロすることになります。
dp3 Quattroに対しての印象は、以下に箇条書きしましょう。
オフトピックですが、超小型のキーボード付きPC、GPD WINでDP2 MerrillのRAW現像が結構実用的でした。最終的にJPEG記録をやめることになるDP Merrillユーザーは欲しくなってしまうかも。
まじかよGPD WIN、SIGMA DP2 MerrillのRAW、普通にSIGMA Photo Pro 6.4現像できるぞw 「これはMBPでも重いからさすがに」と思ったらわりと普通に現像できる。MBPと比較しても重さを感じない https://t.co/XCbciLhN2t pic.twitter.com/adYzFriV8p
— moyashi (@hitoriblog) November 15, 2016
手振れ補正なし、感度はISO200まで、という点でDP2 Merrillと大枠の使い勝手は変わっていませんが、SDカードへの書き込みスピード、フォーカス性能などの点で進化を感じることができます。
DP2 Merrillで鬼門の色の点でも改善があるのはいいですね。人を撮影する気になります。
そして、Foveonセンサーの真骨頂である解像度の点ですが、画素数的にはモンスター級だったDP2 Merrillよりさらに増え、それに伴う解像感はあるのですが、描写に違和感があります。
といっても、等倍で表示してという変態的なチェックをした場合の話ですが。
誤差拡散で減色したかのような粒状感があるのです。等倍の世界では、点描で表現しているように見えるというんでしょうか、百聞は一見にしかずです。flickrにフルサイズ(5424 × 3616)のデータがアップしてありますので、興味のある方はご確認いただければと思います。
DP2 Merrillは等倍で見ても1ドット1ドットが独立した解像をしているのが驚異的で、例えば遠景で金網を捉えたら、1ドットおきに金網、空間、金網、空間と解像するぐらいのものがあるのですが、そういった良さが一部失われているように思えます。
大分改善はあるが、Foveonユーザーが絶対に始める等倍鑑賞という特殊な楽しみ方において瑕疵が生じているという感じです。
ともあれ、もしDPシリーズを所有しており、新しいdp Quattroシリーズに興味をお持ちであれば、今回紹介のプログラムを利用してみてはいかがでしょうか。
他社ではありえない、ユーザーに寄り添った個性的なプログラムです。
このような機会をいただき、SIGMAさんには大変感謝しております。
dp3 Quattroでの試写を集めたアルバムをflickr上に作成しました。興味のある方はご覧ください。
いろいろ言いましたが、破格の高画質を備えることがお分かりいただけるでしょう。「君の名は。」の看板が写っている写真を等倍まで拡大してみると、ほぼドット単位で解像している様子が観察できるかと思います。一度はFoveonの味を体験してみることをおすすめしたい……んですが、もし手を出される場合はご自分でもいろいろと調べた上で判断してくださいね。
これが一世代古いDP Merrillシリーズになると、中古が4万円台なんだなぁ。
もし非ユーザーがこの記事を読んでSIGMAのFoveon機に興味を持ったのなら、昼間使う交換レンズの代わりに買ってみる、というぐらいのスタンスから始めるといいかもしれません。