「GPD Pocket」7インチ・365g・アルミCNC切削ボディ・トラックポイント搭載極小ミニノートPCが2017年中に発売予定
2017/02/16
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2017/02/16
5.5インチの極小PC「GPD WIN」を昨年11月に先行発売開始し、一躍注目の的となった中国・シンセンのGPD社。
元々Androidベースの携帯ゲーム機、「GPD XD」を発売しており実績のあるメーカーですが、クラウドファンディングサイトINDIGOGOでPCゲームを外で遊ぶためのマシン、「GPD WIN」のプロジェクトを立ち上げ、あっという間に予定額を調達。
当初の計画から遅滞なく製品の発送まで満了し、しかも予想をいい方に裏切る出来栄えで、一つの金字塔を打ち立てたといえます。
もくじ
そんなGPD社が、新製品「GPD Pocket」を自社のフォーラムでひっそり発表しています。
これが「GPD WIN」に負けず劣らず刮目して見るべき製品なので、GPD社から受けた本製品に対する説明の言葉を借りつつ紹介しましょう。
新製品「GPD Pocket」は、7インチの液晶を持つ小型のノートPC。重さは何と約365g!
対応OSはWindows 10 HomeまたはUbuntu 16.04 LTS。何と公式でUbuntu対応! 省電力機能への対応が期待されます。
※写真はプロトタイプ
「GPD WIN」にはあったゲームパッドが取り外され、そのスペースをキーボードに当てた形になっています。
キーボード手前にはトラックポイントのようなポインティングデバイスが存在。
机の上に置いて使うことを想定したレイアウトであることが読み取れます。「GPD WIN」では数字キーと共用だったファンクションキーが独立しています。
上の線画の方が最新版で、下のレンダリング済みのものは古いキーボードレイアウトである模様です。
「GPD Pocket」は、年内の発売を目指して開発をスタート。
同社がリリースしてきた携帯ゲーム機のユーザーのいく割かがラップトップPCを愛好しており、携帯性に優れ、タイピングが容易なラップトップPCにも強い興味を示すことが「GPD WIN」へのフィードバックから分かりました。
特に濃い同社製品のユーザーは小型のラップトップPCを強く愛好。タイピングや日常での使用に向いたUMPC(※)を今でも使いたいと思っています。
※: Ultra-Mobile PCの略。2006年にIntelが規定。mbook M1、viliv N5など2010年ごろまで同カテゴリに属する製品を輩出した
これが、GPD社がこの新製品の立ち上げに至った理由です。
立ち上げのきっかけは「GPD WIN」ですが、「GPD Pocket」は「GPD WIN」の後継機種ではなく、まったく新しいコンセプトを持つものとして位置付けられています。
「GPD Pocket」はゲーム用途は想定しておらず、仕事や日々の作業に使うのに最適なものとなるはずです。
「GPD Pocket」には、「GPD WIN」にはあったゲームパッドのような入力機器は追加されません。UMPCのファンや、ホワイトカラーのビジネスマン向けの製品にすることで、そこにある潜在的な需要にこたえることができると考えているからです。
この製品のコードネームは「GPD Pocket」。ポケットにスッポリ収まるラップトップPCであることを志向しています。
実際、これはポケットに収まる小ささになる予定です。
「GPD WIN」より大きな7インチの液晶を搭載する一方、CNC切削仕上げの統合カラーアルミニウムプロセスで加工した航空機グレードのアルミ合金製のボディで液晶のベゼルは極細に。
QWERTYキーボードまで搭載しながらレイアウトはコンパクトにまとまり、外形は180mm x 106mm x 21.3mmに。
「GPD WIN」の155mm × 96mm × 23.5mmよりわずかに大きい程度でとどまっています。
「GPD Pocket」が予定している基本スペックは以下のようなものです。「GPD WIN」との比較の表としてまとめてみました。
GPD Pocket | GPD WIN | |
---|---|---|
価格 | Geekbuyingでの告知価格$499(58,480円) | 実売価格5万5千円、もしくは$370近辺 |
サイズ | 180mm x 106mm x 21.3mm | 155mm × 96mm × 23.5mm |
重量 | 約365g | 約365g |
CPU | Atom x7-Z8700 | Atom x7-Z8700 / Atom x7-Z8750(希少種) |
RAM | 4GB | 4GB |
内蔵ストレージ | 128GB(eMMC 5.1) | 64GB(eMMC 4.51) |
ディスプレイ | 7インチIPS液晶(1920×1080) フルラミネーションディスプレイ ゴリラガラス3 マルチタッチ対応 |
5.5インチIPS液晶(1280×720) フルラミネーションディスプレイ ゴリラガラス3 マルチタッチ対応 |
バッテリー容量 | 7,000mAh | 6,700mAh |
USB-A(USB3.0) | ○ | ○ |
mini HDMI | ○ | ○ |
USB Type-C | ○ | ○ |
micro SDスロット | ○ | ○ |
Bluetooth | ○ | ○ |
WiFi | ○ | ○ |
サイズは180mm(+25mm) x 106mm(+10mm) x 21.3mm(ー2.2mm)。カッコ内は「GPD WIN」とのサイズの差です。見ての通り横方向に伸び、少し薄くなっています。
重さは何と! 「GPD WIN」と同じ約365g。ゲームパッドの削除が重量減に影響していそうですね。もうこの時点で指がひとりでにポチっているところですが、残念ながらまだポチれるボタンはありません。
CPUは「GPD WIN」のものを踏襲。
Atomの開発が中止になったので「GPD WIN」の後継機種は出ないというアナウンスが以前GPD社からありましたが、新しい世代はもう出ないというだけで、現行のものはしばらく生産されるのではないかと思います。
RAMは4GBで踏襲。ストレージは「GPD WIN」の倍に。eMMCのバージョンは4.51から5.1に。
SamsungのeMMC 5.1の製品のスペックを見るとシーケンシャルリード250MB/秒、シーケンシャルライト125MB/秒ということですので、同等品が採用された場合、「GPD WIN」より1.8〜2倍ほどの増速になるかもしれません。どれぐらいかは置いておいて、速くなることは間違いないでしょう。
GPD Pocket | GPD WIN | |
---|---|---|
バージョン | eMMC 5.1 | eMMC 4.51 |
内蔵eMMC シーケンシャルリード |
250MB/秒 (参考値) |
138MB/秒 (実測値) |
内蔵eMMC シーケンシャルライト |
125MB/秒 (参考値) |
76MB/秒 (実測値) |
ディスプレイは5.5インチから7インチにサイズアップし、解像度もフルHD(1920×1080)になっています。
液晶はタッチパネル付きで、マルチタッチ対応。
バッテリー容量は7,000mAhと、「GPD WIN」より少し増えています。液晶のサイズが大きくなることを考慮してのものでしょう。長時間稼働を約束するバッテリー容量といえます。
現状のCGモックでは確認できないmicroSDスロットですが、GPD社に確認したところどこかに付ける予定だということです。「GPD WIN」のmicroSDスロットはSoCの機能を利用しておりR/W約40MB/秒が上限のようなので、可能ならUSB3.0の方にぶら下げて高速化を図ってもらいたいものです。
「GPD WIN」のときは当初技適マークなしで出荷されていましたが、「GPD Pocket」は初期ロットから技適マーク付きで出荷される予定です。
「GPD WIN」の日本での人気から技適マーク取得のコストが捻出できたということでしょうね。
「GPD WIN」と同じく、クラウドファンディングサイトINDIEGOGOで2017年2月から出資者を募集開始とのこと。
GPD社のある中国では1月25日〜2月5日ごろまで旧正月(春節)に入るため、それが明けてからのスタートになるということです。
通販サイトGeekbuyingでは先んじてGPD Pocketの製品ページが公開されており、そこで告知されている価格は$499(58,480円)。
クラウドファンディングサイトINDIEGOGOではいろいろなメニューが用意されるはずですが、価格の一つの目安になりそうです。
UMPCのファンや、ホワイトカラーのビジネスマン向けの製品にするという方向性を持った「GPD Pocket」ですが、GPD社は携帯ゲーム機の開発を専門としてきており、この分野での経験値に欠け、どのようなニーズがあるのかを完全にはつかみ切れていないということです。
7インチの極小PCに期待されるもの。それがどんなものか意見を述べたいという方は、公式フォーラムに投稿してみてください。
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