オートバイ「クロスカブ」に自転車「BROMPTON」を積載してみた
価値ある情報をユーザー視点で発信するブログ
オートバイ「クロスカブ」を増車する以前に、唯一の愛車となっていた折り畳み自転車の「BROMPTON」。
二つを乗り比べてみると、オートバイがあれば自転車が要らなくなるというような二者択一の関係になく、相互補完的な使い勝手があるということが分かってきました。
オートバイには立ち入り禁止の場所がたくさんあり、そういったところは得てして自転車での走りがいがあるのです。
走ると楽しそうな公園、河原、遊歩道などは、オートバイは軒並みシャットアウト。
オートバイは、都市圏ではつまらない住宅街や幹線道路を走ることを余儀なくされます。
都心から数十キロ郊外まで赴き、林道や田舎道を走るならオートバイが、数十キロ圏内で二輪散歩を楽しもうと思うと、自転車の起用が望ましい。
二つのいいとこ取りができないかとぼんやり考えていたのですが、愛車のクロスカブとBROMPTONは、組み合わせて使うことができるという発見に至りました。
クロスカブとBROMPTONの組み合わせによる可能性は無限大! その事例を紹介します。
もくじ
クロスカブはスーパーカブのバリエーション車種。スーパーカブは後部に実用的な荷台を備えることが特徴です。
そこに固定する荷物入れの箱が広く使われています。箱を載せたスーパーカブを見たことは、恐らくだれしもあるでしょう。
ホームセンターで販売されている樹脂製の箱(通称ホムセン箱)をはじめ、日本郵便の赤いスーパーカブに使われている大きな箱も市販されています。
現行のものは別の製品に変わってしまいましたが、少し古めの赤いスーパーカブに現役で使われているものに、MRDフリーボックスがあります。
最大168Lもの大容量を誇るMRDフリーボックスは、スーパーカブ乗りの垂涎の的です。
1年弱にわたる逡巡の末に、これを入手しました。
結論から言うと、このMRDフリーボックスに、折りたたんだBROMPTONが入るのです。
MRDフリーボックスは上下2ピース構造で、容量を可変できます。
しかし、残念ながら最大まで高さを上げた状態でも、前掲のようにBROMPTONを入れた状態で蓋が閉まるほどではありません。
とはいうものの、積載という意味では蓋が閉まらなくても致命的な問題にはなりません。
早速実際に積載して「オートバイ輪行」を試してみました。
クロスカブへのMRDフリーボックスの取り付けについて、一応詳細を書いておきます。
MRDフリーボックスはかなり巨大で、ノーマルのリアキャリアでは前後長が足りず、MRDフリーボックスはノーマルキャリアの前側のみに載る形となります。
メーカーは横位置であればノーマルリアキャリアでも取り付け可能としていますが、重量物に耐えうるより確実な取り付け強度を期待し、ナナカンパニーだけが取扱う大型リヤキャリアをノーマルリアキャリアと換装。
しかる後にMRDフリーボックスを取り付ける形としました。
ナナカンパニーの大型リヤキャリアは荷台がフラット。MRDフリーボックスの取り付けに適しています。
MRDフリーボックスに元々備わる取り付け用のボルト穴がそのまま使え、ボルトオンできます。
ホンダ純正のリアオーバーキャリアは荷台の後端が上に反っていて、利用のために平らに打ち伸ばさないとならず、この用途に適していません。
MRDフリーボックスとナナカンパニーの大型リヤキャリアとの組み合わせでは、取り付け方向を縦にするか横にするかを選べます。
信号待ちでのすり抜けの便のために縦位置で取り付けようと思っていたのですが、縦位置だとMRDフリーボックスに新たに穴を開ける必要があること。
横位置でも自然にハンドルに手を置いた状態の肘よりMRDフリーボックスの横幅は狭いため、すり抜けの不利はないと判断して、横位置での取り付けを選びました。
実際にすり抜けをしてみましたが、MRDフリーボックスがあるがゆえに困難になる感覚はありませんでした。
むしろ、縦位置での取り付けだと後方にオーバーハング状態になるため、トラックなどの車高の高い車からブレーキランプが見えなくなるため危険を伴うこと。
後方へのオーバーハング分がクランク状のすり抜け時に支障になりそうなことから、横位置での取り付けで正解だったと思っています。
MRDフリーボックスを取り付けたクロスカブにBROMPTONを積載するとどうなるか? こうなります。
MRDフリーボックスの可変容量は最小で、つまり最も低い状態に。そこにBROMPTONを入れ、荷締めベルトで両サイドから引き裂くように締めてMRDフリーボックス内でのガタツキを抑えています。
片側はヘッドチューブに。もう片側はサドルポストに引っ掛けることになります。
ナナカンパニーの大型リヤキャリアには荷掛けフックがあるため、リアキャリア側はそこに引っ掛けて締めています。
リアから見ると後方の視界を遮っているように思えますが、ミラーの見えに影響はありません。
前方から見ると、後方から見たときの圧迫感が薄れて見えます。
蓋が閉まりませんが、蓋の所在がなくなるということはありません。この上蓋は本体とヒンジで一体になっていて、外れてどこかに行くということはないのです。走っていて異音が出ることもありません。
上蓋の裏側にはレールが備えられており、ヒンジをそれに沿ってスライドさせると、縦にした状態でとどめ置くことができます。
BROMPTONを入れてなお余裕があり、ほぼペッチャンコのバックパックが入ります。
デッドスペースがあちこちにあるので、小物を入れておくこともできます。
思ったより収まりのいい積載ができました。
綺麗に載ったところで実際の走行をしてみました。
体験を箇条書きしてみます。
乗った瞬間、これは重いな! と実感。加速の鈍さに二度びっくり。しばらく乗っていると慣れてきます。
自転車を載せているからといって、走れなくなったり、どこかに行けなくなったり、幹線道路で邪魔者扱いされるほど動力性能がスポイルされたりということはありません。
ただし、重量物が上に位置する関係からコーナー、ヘアピンカーブなどで慎重さを要するようになった感じがあります。
また、未舗装路の走行は気後れするようになります。
蓋の分ポジションが少し前にずれるのも少々ストレスで、MRDフリーボックスの取り付け位置を少し後ろにずらしたくなります。
BROMPTONを折り畳み、輪行カバーをかけた上でMRDフリーボックスに収納。身支度をして出発可能になるまでに要する時間は、おおよそ5分ほど。その逆もしかり。
荷締めベルトの金具にベルトを通すのが一番面倒なので、抜かずに緩めるにとどめ、金具にベルトを通す工程を省略すると素早く載せ下ろしが完了します。
MRDフリーボックスには鍵がかかるため、ヘルメットやその他の荷物を置いていけます。(簡易的な鍵なので、そのセキュリティは絶対ではありませんが)
BROMPTONに乗り換えたら、身軽になって出かけることができます。
この辺りが実際にやってみての課題と感じました。
1は我慢できなくないレベルなので、このパターンでの利用の頻度に応じて検討したいと思います。
2については、軽トラの荷台にかける幌のようなものを用意したいところですが、最悪BROMPTONが雨に濡れるのは致し方なしとして、荷物の保護ができるアイテムを用意しましょうか。
3はBROMPTONのサドルバッグに地球ロック用のワイヤーロックが入っているので、それをキャリアなどに引っ掛けることを考えています。
実際にこの組み合わせで活用してみましたが、十分実用可能と感じました。
電車での輪行は昨今JRが窮屈な取り決めをしているため、首都圏内の移動かつ、拠点を1箇所に固定しての輪行で構わなければ、BROMPTONユーザーは検討の余地があるのではないでしょうか。
大型リヤキャリア+MRDフリーボックスさえ取り付ければ再現可能ですので、スーパーカブシリーズ全般に可能性は開かれています。
17インチのクロスカブより、14インチのカブプロなどが重量物の積載に長けているため、積載状態での安定性をより重視するなら14インチ車を選ぶといいでしょう。
「自転車 バイク 積載」で検索しても、今回の組み合わせに匹敵するものは出てきませんので、恐らく現時点で最も実用的なオートバイと自転車の組み合わせだと思われます。
「我が意を得たり」という方は検討してみてください。