外出先でiOS機に消費電力の大きいUSB機器をつないで使う画期的な方法
2015/12/22
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2015/12/22
もくじ
iPhone、iPadなどのiOS機にはDockコネクタかLightningコネクタしか付いていませんが、Appleがオプションとして用意しているLightning – USBカメラアダプタ、iPad Camera Connection Kit経由でUSB機器をつないで使うことができます。
iOS機といっても一様でなく、iPadだけがUSBマスストレージ機器に対応しているという、機種ごとの違いがあります。USBマスストレージ機器に対応と言っても、Jailbreakしないと用途は写真の読み込みに限られます。
USB機器の100%の互換性が保証されているわけではないので、実際には使えたり使えなかったりのようですが。
しかし、対応している機器を直結しても、使えないことが多いのです。
Lightning – USBカメラアダプタ、Camera Connection Kitから供給できる電流は200mAと言われています。それを超える電流を必要とする機器を接続しようとすると、
「アクセサリがありません 接続中のアクセサリは消費電力が大きすぎます。」
あるいは、
「デバイスを使用できません ××××: 接続されたデバイスは消費電力が大きすぎます。」
という警告メッセージが出て、ネゴシエーションシーケンスが止まってしまうからです。
200mAが閾値になっているかどうかは確認したわけではありませんが、話の便宜上本エントリでは200mA説を取りたいと思います。
従って、消費電流200mA以下のUSB機器を選んで使うか、セルフパワードのUSBハブをつないで使うかの二者択一となります。(続きは[Read More]から)
消費電流200mA以下のUSB機器なら外で使うこともできますが、200mAを超える消費電流のUSB機器を接続する場合はセルフパワードのUSBハブを使うことになるので、電源のコンセントが用意できる環境での利用に限られる、という結論に至ります。セルフパワードのUSBハブへの電源供給手段は、ACアダプタによるからです。
バッテリを搭載したセルフパワードUSBハブがあればいいのですが、全くなくはないものの、現在では入手困難。
よって、200mAを超える消費電流のUSB機器を外で使うのを断念することになります。
しかし、何とも惜しい。200mAを超える消費電流のUSB機器には、僕の好きなPFU Happy Hacking Keyboard Professional2も含まれます。スタバでiPhone+HHK Pro2。
ないしはiPad+HHK Pro2という組み合わせでドヤりたいという願望は、叶えられることはないのでしょうか。
最近では、USBキーボードをBluetoothキーボード化するEneBRICKという製品があるのでPFU Happy Hacking Keyboard Professional2だろうが制約に捕われずiOS機で使うことができるのですが、2014年7月現在14,000円近くするので、なかなか手が出ない人が多いのではないでしょうか。
しかし、抜け道がありました。以下の二つの手を使うことで、問題が回避できました。
セルフパワードUSBハブには、通常ACアダプタを接続して給電します。保証外の使い方にはなりますが、ACアダプタの代わりにUSBバッテリを接続すると、電源のコンセントが確保できない外出先でもセルフパワードUSBハブを利用可能となる場合があります。
5VのACアダプタを利用する製品を選ばないとダメですし、USBバッテリからセルフパワードUSBハブのACアダプタのDC端子に給電するケーブルは用意されていませんから、自前で都合する必要があります。
以下の条件を満たしたUSBハブを探しました。
理想的な製品ではないかと思えたのが以下でした。白もあります。
BSH4AE06付属のACアダプタのDCプラグのサイズをデジタルノギスで測ると、外径3.47mm、内径1.2mmと出ました。中央が+です。
片側がUSB、もう片側が上記のサイズに近いDCプラグを持つUSB-DCケーブルには以下があります。
USBハブの電源にはUSBバッテリのAnker Astro Miniを使いました。
これに、手持ちのリトラクタブルのMini USBケーブル、CYBER・USB2.0 巻き取りケーブル (PSP用) ブラックを加えて、iPhoneにPFU Happy Hacking Keyboard Professional2の接続を済ませると以下のようになります。この場合、iPad 3ならLightning – 30ピンアダプタが不要になりますね。
僕はDockコネクタのiPad 3とiPhone 5sを使っている関係で、Lightning – USBカメラアダプタは持っておらず、iPad Camera Connection KitとLightning – 30ピンアダプタを組み合わせて使っています。
iPad Camera Connection KitだけでPFU Happy Hacking Keyboard Professional2を接続すると「デバイスを使用できません IOUSBHubDevice: 接続されたデバイスは消費電力が大きすぎます。」というエラーが出ますが、USBバッテリからセルフパワードのUSBハブに給電してから接続すると、見事に使えました。EneBRICKより安く、PFU Happy Hacking Keyboard Professional2がiOS機に接続できました。
USB→DC(外径3.5mm内径1.3mm)電源供給ケーブルが1.2mもあるのでかさ張りますが、秋葉原では適合するサイズのDCプラグを売っているので、それを買って自作するとよさそうです。
Lightning – USBカメラアダプタ、Camera Connection Kitには、サードパーティーから発売されている互換品が存在します。
MFi認証を受けたもの、MFi認証を受けていないパチもんなどいろいろありますが、MFi認証を受けていないパチもんの中に秀逸な製品がありました。
各種メモリカードリーダ(iPadのみで利用可能)、3ポートのUSBハブが一体になったものです。DCコネクタが付いており、前出のUSB→DC(外径3.5mm内径1.3mm)電源供給ケーブルが付属。機能だけ見れば、まさにパーフェクトといえる製品です。
この製品を使って、さきほどの例同様にiPhoneにPFU Happy Hacking Keyboard Professional2を接続する接続を済ませると以下のようになります。何と、見事に使えました。
試しに、「iPad air/iPad4/iPad miniios7対応 Lightning カードリーダー&USB HUB×3 SD(HC) MS DUO M2 T-Flash マルチコネクション キット」にUSBバッテリから給電せずにPFU Happy Hacking Keyboard Professional2をつないでみると、何と! これでも動いてしまいます。
Camera Connection Kit等では「消費電力が大きすぎます」のエラーが出るバスパワー動作のUSB-DACも試しにつないでみると、これもUSBバッテリからの給電なしで動いてしまいました。
では、同じくCamera Connection Kit等では「消費電力が大きすぎます」のエラーが出るバスパワー動作の61鍵のMIDIキーボード、microKey-61はどうでしょうか。
何と、動きます! エラー「消費電力が大きすぎます」での苦労は一体何だったのかというぐらい、いろいろなUSB機器が動いてしまいます。
しかし、USB電圧・電流計を挟んで電圧を見てみると、4.36Vと結構低くなっています。
PFU Happy Hacking Keyboard Professional2は、USB電流計を挟むと動かなくなってしまいます。
「〜マルチコネクション キット」の方で消費電流を少なく自己申告してネゴシエーションシーケンスを通してしまっている可能性が疑われるので、危なっかしい。
しかし、USB電流計を見ると、今回のエントリで登場したUSB機器はいずれも100mAに満たない電流しか流しておらず、200mA以上というエニュメレーションにおける使用電流量の自己申告は、余裕を取った数字であることが見て取れます。
DCコネクタにUSBバッテリを接続すると4.85Vと電圧が5Vに近くなるので、消費電流が多そうなUSB機器の場合は、USBバッテリから給電しながら使った方がいいでしょうね。
ちなみに、USB-DACと、microKey-61の同時使用も可能でした。
電源供給用のUSBコネクタが付いている二股ケーブルがあります。
これを使ってエラーを回避しているという記述を見つけたので、半信半疑ながら買って実験してみました。
赤い電源供給用のコネクタにUSBバッテリを接続しましたが、エラー回避はできませんでした。
セルフパワードUSBハブのDCプラグから、あるいは「iPad air/iPad4/iPad miniios7対応 Lightning カードリーダー&USB HUB×3 SD(HC) MS DUO M2 T-Flash マルチコネクション キット」のDCプラグからUSBバッテリで給電した場合、USB機器側に給電できるのは当然のこととして、ホストとなるiOS機側にも給電できるのか? そんな質問をコメントで ”てすた” さんからいただきましたが、できません。
この接続の場合、iOS機はホスト、電源供給する側なので、それは当然の話でしょう。
従って、USBバッテリの代わりにACアダプタを接続し、永続的な動作を期待しようとしても、iOS機は内蔵のバッテリを消費しての動作となるため、それはできません。
外部から電源を供給せずともエラーを回避していろいろな機器が使える「iPad air/iPad4/iPad miniios7対応 Lightning カードリーダー&USB HUB×3 SD(HC) MS DUO M2 T-Flash マルチコネクション キット」は、MFi認証を取得していないパチもんながら、かなり使えることが分かりました。
セルフパワードのUSBハブにUSBバッテリから電源を供給する方法は、Appleの純正品との組み合わせで使えるので、製品の信頼性に対する、あるいは将来のOSのバージョンアップで使えなくなる心配がいらず、iOS機以外のスマートデバイス、Windowsタブレットにも流用できる汎用的な選択にもなるかと思います。
「消費電力が大きすぎます」に煩わされずにUSB機器が使えるようになると、いろいろな可能性が見えてきますね。