「REALFORCE R2 PFU Limited Edition」第2世代REALFORCEに英語配列テンキーレスモデルが登場
2018/06/20
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2018/06/20
キーボード好きなら知らないものはいない、PFUのHHKB Professionalシリーズと東プレのREALFORCE R2シリーズ。
高級キーボードの双璧といって過言ではないのではないでしょうか。
文章入力や一般事務を主とする人にはREALFORCE R2シリーズが。
プログラミング、コーディングやシステム管理を主とする人にはHHKB Professionalシリーズが支持されています。
両シリーズに共通する特徴は、入力フィーリング、耐久性共に優れた静電容量無接点方式のキースイッチ。
このキースイッチは東プレが製造し、PFUにOEM供給しているもの。
かように、この人気2シリーズのメーカー、PFUと東プレは以前から協業を行なっているのですが、2018年6月5日に発売となった新製品REALFORCE R2 PFU Limited Editionは、両社の新たな協業の成果。
モデル名 | 参考価格 | 配列色 | キー数 | 本体色 |
---|---|---|---|---|
R2TLSA-JP4-IV | ¥30,780(税込) | 日本語 | 91 | ブラック |
R2TLSA-JP4-BK | ¥30,780(税込) | 日本語 | 91 | アイボリー(白) |
R2TLSA-US4-IV | ¥30,780(税込) | 英語 | 87 | アイボリー(白) |
R2TLSA-US4-BK | ¥30,780(税込) | 英語 | 87 | ブラック |
▼REALFORCE R2 PFU Limited Edition(日本語配列)R2TLSA-JP4-IV
▼REALFORCE R2 PFU Limited Edition(英語配列)R2TLSA-US4-IV
今回は、そのREALFORCE R2 PFU Limited Editionを紹介しましょう。
もくじ
東プレのキーボードREALFORCEシリーズは、2017年10月から発売された第2世代のR2に世代交代しています。
実に16年ぶりのモデルチェンジということで、キーボード好きの間では話題となりました。
今回発売となったREALFORCE R2 PFU Limited Editionは、そのREALFORCE R2シリーズに追加されたバリエーションモデルという言い方もできます。
東プレのREALFORCE R2シリーズのラインナップは以下の4つのカテゴリに分類され、そこから選べるようになっています。
しかし、REALFORCE R2 PFU Limited Editionは静音+APCモデルのみの展開。全部入りのハイエンドモデルのみのラインナップということになります。
そして、REALFORCE R2シリーズのテンキーレスモデルにこれまで無かった英語配列モデルの設定があるところが最大のポイントです。
REALFORCE R2 PFU Limited Editionの備える最も重要な特徴は、下記の3点に集約されるといえます。
また、本体色はアイボリーとブラックの2色展開。
▼REALFORCE R2 PFU Limited Edition(英語配列) R2TLSA-US4-IV
▼REALFORCE R2 PFU Limited Edition(英語配列) R2TLSA-US4-BK
キートップ刻印にかなが無く、スッキリとしている点も特徴の一つです。
REALFORCEシリーズは日本語配列モデルがほとんどを占め、数少ない例外がテンキーありのフルキーボードモデルである、REALFORCE RGBシリーズに設定された英語配列モデル。
東プレのキーボードにおいては、REALFORCE RGBシリーズに次ぐ第二の英語配列モデルということになります。
対応機種は、これまでのREALFORCE R2シリーズ同様PCのみ。HHKB ProfessionalシリーズにはあるMac対応機能は搭載されていません。
記者発表会でMac対応について質問がありましたが、課題の一つとして認識しているが、具体的な予定はまだないということでした。
既存モデルとの差異が微妙で分かりづらいので、比較表を作ってみました。
※表は横スクロール可能です
メーカー | モデル名 | 参考価格 | 配列 | 型番 | 本体サイズ | 重量 | キー数 | キーピッチ | 押下圧 | ストローク | APC機能 | キースペーサー | キー形状 | Nキーロールオーバー | テンキー | USB2.0対応 HUB機能 | カスタマイズ機能 | キースイッチ | 静音機能 | キートップ刻印 | キー入力耐久試験 | 対応機種 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
東プレ | REALFORCE R2 PFU Limited Edition | ¥30,780(税込) | 日本語 | R2TLSA-JP4-IV R2TLSA-JP4-BK |
369mm x 142mm x 30mm | 1.1Kg | 91 | 19mm | 45g | 4mm | 3段階 1.5mm 2.2mm 3mm |
2mm 3mm |
ステップスカルプチャー | ○ | × | × | ソフトウェアで対応 | 静電容量無接点方式 | HHKB Professional Type-S同等 | 昇華印刷 両色共かな刻印無し |
5,000万回クリア | PC |
東プレ | REALFORCE R2 PFU Limited Edition | ¥30,780(税込) | 英語 | R2TLSA-US4-IV R2TLSA-US4-BK” |
369mm x 142mm x 30mm | 1.1Kg | 87 | 19mm | 45g | 4mm | 3段階 1.5mm 2.2mm 3mm |
2mm 3mm |
ステップスカルプチャー | ○ | × | × | ソフトウェアで対応 | 静電容量無接点方式 | HHKB Professional Type-S同等 | 昇華印刷 両色共かな刻印無し |
5,000万回クリア | PC |
東プレ | REALFORCE TKL SA | ¥24,678(税込) | 日本語 | R2TLSA-JP3-IV R2TLSA-JP3-BK |
369mm x 142mm x 30mm | 1.1Kg | 91 | 19mm | 30g | 4mm | 3段階 1.5mm 2.2mm 3mm |
2mm 3mm |
ステップスカルプチャー | ○ | × | × | ソフトウェアで対応 | 静電容量無接点方式 | ○ | 昇華印刷 IVのみ、かな刻印有り |
5,000万回クリア | PC |
PFU | HHKB Professional JP Type-S | ¥29,700(税込) | 日本語 | PD-KB420WS | 294mm x 110mm x 40mm | 520g(ケーブル除く) | 69 | 19.05mm | 45g | 3.8mm | なし | × | シリンドリカル ステップスカルプチャ |
○ | × | ○ | 背面スイッチにより、PC(2モード)/Macの切り替え、制御キーの割当等 | 静電容量無接点方式 | ○ | 昇華印刷 | 3,000万回以上クリア | PC/Mac |
PFU | HHKB Professional2 Type-S | ¥29,700(税込) | 英語 | PD-KB400WS | 294mm x 110mm x 40mm | 530g(ケーブル除く) | 60 | 19.05mm | 45g | 3.8mm | なし | × | シリンドリカル ステップスカルプチャ |
○ | × | ○ | 背面スイッチにより、PC(2モード)/Macの切り替え、制御キーの割当等 | 静電容量無接点方式 | ○ | 昇華印刷 | 3,000万回以上クリア | PC/Mac |
つぶさに見ていくと分かる通り、ベースモデルと思われるREALFORCE TKL SAとの差異は、以下に挙げた3点です。
REALFORCE TKL SAとREALFORCE R2 PFU Limited Editionの日本語配列モデルとの比較では、違いはほぼ押下圧のみで、約6,100円の価格差が強く浮かび上がってきます。
REALFORCE R2 PFU Limited Editionの英語配列モデルは、REALFORCEシリーズにおいて希少な英語配列モデルということで、多く選ばれるのはこちらでしょう。
筆者はMacユーザーかつHHKB Professional2ユーザーで、これまで日本語配列メインかつ、PC向けのラインナップしかない東プレのキーボードとは接点がありませんでした。
PFU Directで販売されるREALFORCE R2 PFU Limited Editionは、筆者と似た属性の人の目にとまることも多いでしょう。そうした目線から、REALFORCE R2 PFU Limited Editionに対する気づきを綴っていきます。
まずはキータッチについて見ていきます。
前項において比較対象として出したのは静音機能ありのHHKB Professional2 Type-Sですが、筆者が使用しているのは静音機能のないHHKB Professional2。
少々一貫性を欠きますが、HHKB Professional2とREALFORCE R2 PFU Limited Editionの比較という形でレビューしますので、混乱のなきよう。
下掲のリストのようにREALFORCE R2 PFU Limited Editionの基本スペックはHHKB Professional2と共通で、押下圧は45g。
本家REALFORCE TKL SAの方は押下圧30gなので、HHKB Professionalシリーズを意識しての変更ということが読み取れます。
HHKB Professional2とREALFORCE R2 PFU Limited Editionのキースイッチならびにレイアウトは非常に似ていて、またキートップのザラザラした表面処理も同様。
キーの形状も差異が分からないほど似ており、交互に使ってみても違和感がありません。
間違いを恐れずに言えば、同じものが使われているようにしか感じられません。
HHKB Professional2は、REALFORCE R2 PFU Limited Editionの真ん中を切り出してきたもの、あるいは、REALFORCE R2 PFU Limited Editionは、HHKB Professional2の拡張版であるかのように見えます。
HHKB Professional2との相違点に、静音機能の有無があります。そのキースイッチの構造から、通常モデルより騒音の発生が30%低減されています。
筆者はこれまで静音機能を重視していませんでしたが、交互に使い比べるとその差は歴然としており、十分静かだと思っていたHHKB Professional2の打鍵音がうるさく感じられるようになりました。
もう一つ気づいた相違点に、キー押下時の荷重の変化があります。
HHKB Professional2は底打ち付近で「コクッ」っと変化する感覚がありますが、REALFORCE R2 PFU Limited Editionの方は第2世代REALFORCEシリーズ共通のソフトタクタイルフィーリングとなっており、HHKB Professional2より荷重の変化が穏やかです。
静音機能と相まって、タイピングに伴うストレスがかなり減っていることに気づきます。
それ以外はHHKB Professional2のフィーリングを踏襲した感じがあり、違和感がありません。
REALFORCE R2のAPC搭載モデルに固有のAPC(アクチュエーションポイントチェンジャー)は、採用モデルが存在しないHHKB Professionalシリーズユーザーにとって未知の機能。
APCは、キースイッチのオン位置を3段階に調節できる機能のこと。
オン位置を浅くすれば入力の素早さが得られ、オン位置を深くすれば誤入力の防止ができます。任意に設定が可能なので、使い勝手において何を優先するかを自分で決められます。
設定はWindows用の専用ソフトウェア「REALFORCE Software」でソフトウェア的に行います。1キーごとに別々の設定を適用できるという際立った特徴があります。
設定は、キーボードに内蔵された不揮発性メモリに記録され、以降特別な操作を必要とせず自動的に設定が再現されるほか、「REALFORCE Software」がインストールされていない別のPCやMacに接続しても、その設定が維持されます。
従って、MacユーザーであってもAPCを活かした利用が可能です。
APCを補う付属物に一体型キースペーサーがあります。
APCはキーのオン位置を浅くしたり、深くしたりできますが、キーそのもののストロークは4mmで変わりません。
例えば、入力の素早さを狙ってオン位置を最浅の1.5mmに設定しても、キータイプそのものは底打ちの4mmまで押し込んでいる場合、その効果は限定的です。
そこで、付属の一体型キースペーサーをキートップの下に挟み込むと、キーストロークを物理的に短縮できます。
付属の一体型キースペーサーは2mm厚と3mm厚の二つ。3mm厚を使用し、APCでオン位置を1.5mmに設定すると、キーストロークが約1mmになります。
こうすると、キーストロークの浅いノートパソコンのキーボードともまた違う、独特の使い勝手になります。
キースペーサーの挟み込みは、付属の工具を使っていったんキートップを外した後に行う必要がありますが、これは時間を要するかなり地道な作業となります。
キースペーサーはウレタンスポンジのような材質でできていて、約10%の消音効果をも備えます。これを使うと、元々ある消音機能の効果と合わせて、通常モデルより40%高い消音効果を発揮します。
キーストロークを1mmにし、実際に使用してみましたが、これは確かに静かで、かつ入力スピードが向上します。
誤入力防止の観点からは、浅いオン位置、浅いストロークはマイナスという側面もありますが、使ってみた限りは特に誤入力に至ることはありませんでした。リスクを恐れず好みで決めてしまってよさそうです。
ノートパソコンの平たいキーボードは嫌いだが、ストロークが短いのは歓迎、というニーズにはバッチリきそうです。恐らく、このニーズが満たせるのは、東プレのAPC搭載キーボードだけでしょう。
一方でキースペーサーを挟み込むと、静電容量無接点方式特有の配慮を尽くした上質な打鍵感をスポイルする、フカフカとした底打ち感になるのが嫌いだという人もいそうです。
個人的には普段ノートパソコンをメインで使い、浅いストロークのキーボードに親しんでいるため、APC1.5mm、3mm厚のキースペーサーというセッティングに魅力を感じます。
注意すべきは、付属するキースペーサーは中央のキーの部分だけで、Esc、ファンクションキー、カーソルキーなどの部分に使えるスペーサーは付属せず、別売りとなっていることです。
ここで詳しくは説明しませんが、「REALFORCE Software」を使うと、APCの設定以外にもいろいろなことが可能です。
Caps Lockキー機能入れ替えもその一つ。この設定もキーボードに内蔵された不揮発性メモリに記録できるため、一度設定すれば以降再設定に煩わされることはありません。
筆者はMacユーザーですが、PCのみ対応のREALFORCE R2 PFU Limited EditionをMacBook Proに接続してこの原稿を書いています。
つまり、MacユーザーでもREALFORCE R2 PFU Limited Editionを使うことに大きな支障はありません。
特別なドライバを必要とせず、素直に認識します。
一つ問題なのは、日本語配列の場合、スペースキー左右の「変換」、「無変換」、「かな」が認識しないことと、一部配列を変更したくなること。
この問題はKarabiner Elementを使用すると解決できます。
同梱のKarabiner-EventViewerを使用すると、キーの名称を調査することができます。
キー | 名称 |
---|---|
無変換 | international5 |
変換 | international4 |
かな | international2 |
半角/全角 | grave_accent_an |
これに従って、Karabiner-Elementsで設定を施していきます。
MacのJISキーボード風にスペースキーの左右に「英数」と「かな」を配置した設定が以下となります。
そのままだと「Command」と「Option」の位置が逆なので、そちらも直しておきます。
「半角/全角」には、好みで「Esc」を割り当てておきました。
「Target Device」を本キーボードに限定しておけば、他が影響を受けることはありません。
15インチのMacBook Proとの組み合わせもなかなか塩梅がよいです。幅がほぼMacBook Proぴったりで、足を立てれば本体キーボードとの干渉を避けつつ上に置いて使えます。
ケーブルを左右から出せるようになっている点も、この使い方においては好都合。
筆者はHHKB Processional2を3台持っていますが、最も惹かれたのが静電容量無接点方式のキースイッチの使い心地。
英語配列キーボードのみを使うため、これまでのREALFORCEシリーズは使うに至りませんでしたが、今回テンキーレスの英語配列モデルが加わったので俄然興味が出ました。
HHKB Processionalシリーズのコンパクトさは確かに素晴らしいのですが、ファンクションキーやカーソルキー、ページアップなどは単独のキーの方がよいと思うことも多かったため、そのクオリティはそのままに大型化させたような選択肢が加わったのは喜ばしいところです。
新フィーチャーのAPCとキースペーサーは確かに有用で、自分に合ったセッティングを探す、ミニ四駆をチューニングするかのような楽しさもあります。
それによって実現したショートストロークの打ち心地は、筆者の今後のこだわりポイントになりそうです。
こういった点に興味を覚える方には、おすすめできる製品といえるのではないでしょうか。