新機種の実力をガチで探る!cheero Power Plus 2のベンチマークテストを実施
2016/03/17
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2016/03/17
もくじ
ひとりぶろぐのmoyashi (@hitoriblog) です。
激安大容量USBバッテリの代名詞となったcheero Power Plus。
▲生産中止になった旧機種cheero Power Plus
登場以降、10,000mAhで2,000円台というのがUSBバッテリの一つの水準になってしまいました。
cheero Power Plus登場以降、ライバル機種が同価格帯に次々登場。
ライバル登場以降も定評によって裏付けられた品質によって人気が継続する一方で、cheero Power Plusのライバル機種が持ち、cheero Power Plusに欠けていたオートパワーオフ機能、LEDライト機能を魅力に感じて、ライバル機種を選ぶ人も多かったのではないでしょうか。
▲ライバル機種の付加価値を取り込んでの猛追
そうしたライバルへの対抗策の必要を感じたのでしょう。cheero Power Plusにライバルが持つアドバンテージを盛り込んで、最強の座を確固たるものにすべく登場したのが新機種cheero Power Plus 2。
cheero Power Plus 2には、LEDライト機能、オートパワーオフ機能が搭載されたのはもちろん、ライバルを出し抜くダメ押しの要素として10,400mAhの容量というセールスポイントがあります。
ライバルより400mAh分、王座に距離を詰めたcheero Power Plus 2。
発売日は1,000台を数時間で売り切る人気。その後も勢いはとどまらず、Amazonの同カテゴリにおいて記録的な売り上げを上げているということです。
cheero Power Plusに人気があったのは、基本性能がしっかりしていたからです。
新機種cheero Power Plus 2が、旧機種が築き上げたものに匹敵する信頼を勝ち得るには、いましばしの時間が必要でしょう。多くの人が多角的な評価を寄せて初めて、信頼という形の無いものがそこから見えてくるのです。
cheero Power Plus 2が出るとはつゆ知らず、その直前に激安USBバッテリの評価記事を書きました。
ひとりぶろぐ » 10,000mAh〜20,000mAhクラス激安USBバッテリ4種の容量をガチで調査
ここでも、旧機種cheero Power Plusの品質を裏付ける結果が出たのですが、記事を公開して間もなく新機種cheero Power Plus 2が登場。旧機種は生産中止となってしまったのでした。
ならば、当然新機種でも同じテストをせねばなるまい。そのように考えて、今回のエントリを書いています。
ここで断っておきたいのは、僕が所有するcheero Power Plus 2は新品ゆえに充電サイクル2回目。cheero Power Plusの方は、恐らく充電サイクルが15回目ぐらい。両者はコンディションが違うということです。
結論から言うと、新機種cheero Power Plus 2は、旧機種cheero Power Plusより容量が劣る結果が出ています。
しかし、これは充電サイクルが2回目という状態であることを承知してください。新機種cheero Power Plus 2は2回ベンチマークを取っており、1回目は容量が8,150mAh、2回目は8,520mAhとかなり差異が出ています。あと数回容量が大きくなっていく可能性はあります。(続きは[Read More]から)
果たして、cheero Power Plus 2にはどれほどの実容量があるのか。10,400mAhといってもそれはリチウムイオン電池のセルの容量だと思われ、リチウムイオン電池の電圧3.6V〜3.7Vを5.5Vに昇圧する関係でそのままの容量は無いはずです。
所有の10,000mAh〜20,000mAhのUSBバッテリ5機種でベンチマークを取って、cheero Power Plus 2がヒエラルキーのどこに位置するのかを見てみたいと思います。
(写真左上から右下へ)
容量を計測するために用意したのがBitTradeOneのUSB接続 容量チェッカー。
電源とデバイスの間に接続し、流れている電流量(mA)、その累計(mAh)をカウントできるものです。
ただ、精度はそれほど高くありません。また校正をしていないので結局絶対値としてはアテになりません。しかし、同一条件にて計測すれば、相対値は分かります。
バッテリに接続するデバイスは、スマートフォンなどだと充電が完了した時点で消費電力が極少になってしまうので、延々と電力を消費し続けるデバイスを選びました。
Linuxを動作させられるARM CPU搭載コンピュータRaspberry Piです。
ひとりぶろぐ » 約3,300円で買えるLinuxパソコンRaspberry PiをMacで使う
自分のRaspberry Piは、おおよそ530mAの電流を消費しました。
これを、以下のように接続しました。端子は1A、Anker Astro 3EではAndroid端子を選んでいます。
10,000mAhクラスのUSBバッテリでは、どの機種でもRaspberry Piを10時間以上動作させられます。延々とUSBバッテリが切れるまで動作させ、切れる直前で容量チェッカーに表示された数値を読み取る、という形で記録していきました。調査には、もの凄い時間がかかっています。
まずは、それぞれのUSBバッテリでRaspberry Piを何分動作させられたかを見ていきましょう。
※棒グラフにマウスオーバー、ないしは棒グラフをタップすると具体的な数字が表示されます。iPhoneなどグラフの全体が見られない環境では、下掲の表をご参照ください。データは同じです。
機種 | Raspberry Pi駆動時間 |
---|---|
SUPER POWER PACK 20000mAh | 1262分(21時間2分) |
cheero Power Plus | 1041分(17時間21分) |
cheero Power Plus 2 | 1022分(17時間02分) |
Anker Astro 3E | 987分(16時間27分) |
MOBILE-GARAGE TBF B030-4 | 889分(14時間49分) |
330gのSUPER POWER PACK 20000mAh POWER BANKが飛び抜けています。
10,000mAhのcheero Power Plusが続き、10,400mAhのcheero Power Plus 2がその次。Anker Astro 3Eがcheero Power Plus 2にやや遅れて、少し離れてMOBILE-GARAGE TBF B030-4といった順に駆動時間が長くなっています。
MOBILE-GARAGE TBF B030-4はいろいろな機能を搭載しているにもかかわらず、cheero Power Plus、Anker Astro 3Eと同じ250g。その分リチウムイオン電池のセルの容量が少なくなっているのだと見当が付きます。
cheero Power Plus 2は重さが290gと、LEDライトの分か他3機種より40g重い。駆動時間はcheero Power Plus、Anker Astro 3Eと同水準なので、さもありなんという感じですね。
続いて容量比較です。BitTradeOneのUSB接続 容量チェッカーの数字を読み取っています。
おおよそRaspberry Pi駆動時間比較と同じ形のグラフになっています。もちろんそうなるでしょう。
※棒グラフにマウスオーバー、ないしは棒グラフをタップすると具体的な数字が表示されます。iPhoneなどグラフの全体が見られない環境では、下掲の表をご参照ください。データは同じです。
機種 | 容量 |
---|---|
SUPER POWER PACK 20000mAh | 10,700mAh |
cheero Power Plus | 8,860mAh |
cheero Power Plus 2 | 8,520mAh |
Anker Astro 3E | 8,370mAh |
MOBILE-GARAGE TBF B030-4 | 7,410mAh |
Anker Astro 3Eと同型と思われるバッテリにPB-AS002というものがあります。
これは容量9600mAhを公称しています。一方Anker Astro 3Eは公称10,000mAh。ここに400mAhの差があります。
Anker Astro 3Eの容量はcheero Power Plusに一歩及んでいないので、Anker Astro 3Eも実際には9600mAhである可能性が高いといえます。
cheero Power Plusの容量を10,000mAhだと仮定すると、上記の結果から導き出されるAnker Astro 3Eの容量は9440mAh。おおよそ符号します。
cheero Power Plus 2は、今回のベンチマークの結果からcheero Power Plusと搭載しているリチウムイオン電池のセルの容量は変わっていないと判断できます。
ここから見えてくるものは何か?
ライバルのAnker Astro 3Eが400mAh分サバを読んでいるのなら、その分多く公称する権利があるということで、今回cheero Power Plus 2が10,400mAhを公称している。そんな話もあるのかもしれません。
価格で容量を割った場合、一番コストパフォーマンスがいいのはどれでしょうか?
価格は変動しますから、2013.1.27時点での比較です。
※棒グラフにマウスオーバー、ないしは棒グラフをタップすると具体的な数字が表示されます。iPhoneなどグラフの全体が見られない環境では、下掲の表をご参照ください。データは同じです。
機種 | 容量 | 価格(2013.01.27) | 1円当たり容量 |
---|---|---|---|
cheero Power Plus | 8,860mAh | 2,880円 | 3.076mAh |
cheero Power Plus 2 | 8,520mAh | 2,880円 | 2.958mAh |
MOBILE-GARAGE TBF B030-4 | 7,410mAh | 2,580円 | 2.872mAh |
SUPER POWER PACK 20000mAh | 10,700mAh | 3,750円 | 2.853mAh |
Anker Astro 3E | 8,370mAh | 2,999円 | 2.790mAh |
この価格帯のUSBバッテリは大概、安い価格で販売開始、ランキングが上がった段階で値上げ、という値動きの仕方をしていきます。発売が最近のSUPER POWER PACK 20000mAh、MOBILE-GARAGE TBF B030-4は前回調査した時より通例に従い値上がりしていて、前回はこの2機種の容量当たりのコストパフォーマンスがよかったのですが、順位が入れ替わっています。
コストパフォーマンスが一番いいcheero Power Plusですが、これは生産中止になる前の価格が前提。現在はプレミアムが付いて9,800円なので論外となっています。
プレミアム付きのcheero Power Plusを除外すると、cheero Power Plus 2のコストパフォーマンスが一番よくなっています。
充放電をあと数回繰り返せばこの差は大きくなって、よりお買い得なバッテリということになると思われます。
旧機種cheero Power Plusと新機種cheero Power Plus 2との充電時間の比較をしてみました。
この場合の充電時間とは、cheero Power Plusならびにcheero Power Plus 2への充電にかかる時間のことです。
充電には、iPadのACアダプタ(出力5.1V / 2.1A)を使いました。
本体の充電状態を知らせるインジケーターの点滅が終了した時点で充電完了と判定しています。
機種 | 充電時間 |
---|---|
cheero Power Plus | 535分(8時間55分) |
cheero Power Plus 2 | 665分(11時間05分) |
結果、新機種は2時間ほど充電時間が長くなっています。
何分で何パーセント充電できたかが追跡できないため、「満充電まで時間がかかるようになった」ということしか分かりませんが、cheero Power Plus 2は動作がかしこくなっているため、電池を保護するために充電率90%を超えた辺りからペースを落としているのではないかと思います。
最後に、旧機種cheero Power Plusと新機種cheero Power Plus 2のiPhone 4(iOS 5.1.1)への充電時間の比較をしてみました。
ほとんど差はありませんが、全体的に新機種cheero Power Plus 2の方が100%到達が早くなっており、新型の面目躍如たる結果となりました。
機種 | 端子 | 100%到達までの時間 |
---|---|---|
cheero Power Plus | 2.1A端子 | 2時間13分(133分) |
cheero Power Plus | 1A端子 | 2時間11分(131分) |
cheero Power Plus 2 | 2.1A端子 | 2時間09分(129分) |
cheero Power Plus 2 | 1A端子 | 2時間10分(130分) |
なぜかcheero Power Plusでは2.1A端子の方が充電が遅くなっていますが、再試はせず、今回はこのまま発表します。
普通は最初にやる新旧外観の比較。最後に持ってきました。
▲大きさはほとんど変わりません。旧機種前面にある残量確認用のボタンは、新機種では電源スイッチと統合されました。
▲新機種は、旧機種より背が低くなり、幅が広がっています。新機種ではLEDライトが増えています。2.1A端子、1A端子の間隔は新機種の方がやや広がっているので、二つ同時に使う際のコネクタの干渉が起きにくくなっています。
▲旧機種は電源スイッチがスライドスイッチでしたが、新機種ではオートパワーオフ対応の押しボタンになっています。ボタンを2回押すとLEDライトのオンオフができます。
▲新機種は、旧機種より垢抜けた外観になりました。丸みを帯びていて、旧機種のような鈍器感が薄れています。
▲LEDライトを点灯するとこのような感じ。LED2灯です。
▲MOBILE-GARAGE TBF B030-4とLEDライト対決。光の色が少し違います。
▲MOBILE-GARAGE TBF B030-4が右上、cheero Power Plus 2が左下。cheero Power Plus 2は、残量インジケータの青色に引っ張られてか光の色がやや緑色に傾いています。MOBILE-GARAGE TBF B030-4の方が白色度が高い。
長々となってしまいました。
まとめると、新機種cheero Power Plus 2は、cheero Power Plus 2への充電に先代よりやや時間がかかるのが気になる以外は、容量、iPhoneへの充電スピード共に先代同等のクオリティがあることが確認できました。
おすすめできる機種であると結論付けたいと思います。