折りたたみ自転車BROMPTONにビンディング装備を取り入れてみた
2016/05/24
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2016/05/24
もくじ
今年買った、折りたたみ自転車BROMPTON。新たに自転車を交えた小旅行という趣味を授かって幸せです。
ひとりぶろぐ » イギリスの折りたたみ自転車BROMPTON購入を決断した2本の動画
買って以来、輪行装備の充実、電装の充実に傾注してきましたが、それもビカビカに明るいLEDライトの導入をもって、ひとまず一段落。
今度は走りの方の改善に着手しようかと。
以前ロードバイクでビンディングを初体験した折、ビンディングのありなしでの差に驚がく。
ひとりぶろぐ » 加速がすごい!登坂がすごい!自転車のペダルに足を固定するビンディング初体験
加速がすごい!登坂がすごい!自転車のペダルに足を固定するビンディング初体験 …
BROMPTONで遠征すると必ず対峙することになる登坂を少しでも楽にしようと、BROMPTONにもビンディングを導入することにしました。
ビンディングはスキー、スノボーで目に触れる機会が多いですが、自転車にもあるのです。
自転車のビンディングは、ペダルに足を固定するためのもの。
ペダルに足を固定すると脚力を無駄なく伝えることができるようになって、推進力が向上します。片足で歩くか、両足で歩くかというぐらいの違いがあります。
ペダルを足に固定するのは怖い気がしますが、ビンディングの味を知ってしまうと、もうなしで走るのが馬鹿馬鹿しくなって、そうしたリスクを負ってなお導入を考えたくなるのです。
特に、平地の多い英国生まれのBROMPTONは、低い方のギアが足りず坂をのぼるのが辛めなので、ビンディング導入には、その欠点を補う意味もあります(続きは[Read More]から)
BROMPTONは折りたたみ自転車。折りたたむときに、左側のペダルを折りたたむようになっています。
ビンディングペダル取り付けで左側のペダルが折りたためなくなってしまうと、輪行(自転車の公共交通機関への持ち込み)時に足を引っ張ることになりますので、一考が必要です。
折りたたみできるビンディングペダルがあればよかったのですが、実際には存在しません。
折りたたみはないが、代わりに存在するのがワンタッチで取り外しできるクイックリリース対応ビンディングペダル。
台湾のWellgoが出しているものが代表的。
Wellgoから発売されているクイックリリース対応ビンディングペダルは以下の2製品。
いずれもクリート(固定金具)がシマノのSPD互換。
W-01は両面ビンディング。
WPD-M17Cは、片面ビンディング、片面フラット(普通の靴で踏めるペダル面)。
ここで挙げた製品は、クイックリリースの機構にWellgo独自のQRD2を採用しています。
前身にQRDというものがあります。QRD2はクランクアーム側に取り付けるクイックリリースアタッチメントがリリースレバーまで円形なのに対し、QRDはリリースレバーが突起になっています。
QRDには突起になったリリースレバーがボトムスの裾に引っかかる、靴底に損傷を与えるという欠点があり、それを改善したのがQRD2ということになります。
じゃあQRD2一択かと思いきや、QRDの方がジョイント部のアソビが少なく、ガタつかない、といったこともあるようです。
QRDとQRD2とは、クランクアームに取り付けるクイックリリースアタッチメントが違うだけで、ペダル側は共通。クイックリリースアタッチメントは上掲のようにQRD、QRD2共に別売りされているので、使い比べることもできます。
BROMPTON純正のペダルの取り外し、Wellgoのクイックリリース対応ビンディングペダルの取り付けには工具が必要です。いろいろ用意しました。
まずはグリース。摺動部への塗布のほか、ネジの固着を避けるために、ネジにグリースを塗布してから締め込むのがセオリーのよう。
ペダルレンチ。右ペダルを外すための15mmのレンチが必要です。WellgoのQRD同様クイックリリース対応のペダル、Ezyシリーズを出している三ケ島の薄型レンチを用意しました。これを選んだことに深い意味はなく、薄ければ余計なトラブルに巻き込まれないかな、というぐらいの理由です。
8mmのアーレンキーは2013年モデル以降のBROMPTONの左ペダルを外すため、QRD2(QRD)をクランクアームに取り付けるために必要。
BROMPTONの左ペダルを外すときにかなり力が要りそうなので、柄の長いものを選びました。
それ以前の年式のものでは、左ペダルを外すときに24mmの巨大ソケットレンチ/ボックスレンチが必要です。ボルトの頭がペダルに埋まっていて、スパナでは作業できないので注意。
とりあえず両面ビンディングのWellgo W-01 QRD2を買ってみました。
内容物はこんな感じ。
メカメカしいペダル本体。回転部にシールド・ベアリング採用。T-800の頭蓋骨みたいですね。シマノのSPDクリートと互換性があります。
パーツを袋から出してみました。シューズに取り付けるSPDクリート付き(右下)。
クランクアームに取り付けるQRD2。左右の別があって、溝がある方が左用。
QRD2を横から。左右でネジの向きが逆になっています。リリースレバーの役目を果たす赤いリングの上に、黒い樹脂製のカバー、セーフティーリングがかかっています。後ろにあるのはSPDクリート。撮影のため、この状態でSPD2を安定させるために置いているだけです。
通常の状態では内側に突起が飛び出しています。
赤いリングの丸い印のあるところを横から押し込むとスライドし、内側の突起が引っ込みます。離すと元に戻るよう、テンションがかかっています。
ペダルをこんな感じで差し込むとカチンと音がして固定されます。
取り外すときは、赤いリングの丸い印の部分を押す。さきほどの写真で見たように、内側の突起が引っ込んでペダルが外れるようになります。
Wellgo W-01 QRD2を取り付ける前に、まず純正のペダルを取り外さねばなりません。右ペダルは普通の自転車と同じですが、左は折りたたみ式になっています。
僕のBROMPTONは2013年モデルなので、左ペダルを固定するボルトの取り外しには8mmのアーレンキーを使います。それ以前の年式のものは、前述の通り24mmのボックスレンチなどが必要になります。
固くて手で回らず、絶望的な気分になりましたが、アーレンキーをこの角度で差し込み、上からそっと足で踏んでいったらバキン! という音と共に緩みました。
フー! 取れた! よかった!
外した左ペダルの代わりに、Wellgo W-01 QRD2付属のQRD2を締め込みます。まずはグリースの塗布。マニュアルに、摺動部とネジの溝に塗るよう書いてあります。中央の六角形の穴のサイズは8mm。左ペダルを外すのに使った8mmのアーレンキーで締め込むことができます。
付属のワッシャーは0.3mmと0.6mmの2種類。そのどちらかをクランクアームとQRD2との間に入れ、リリースレバーの押し込み方向を調整するのだとか。
しかし、締め込んでいくと、ガスケット(写真左下)とQRD2(写真右上)に挟まれてリリースレバーの赤いリングが動かなくなってしまったので(何か間違えてる?)、この写真の位置に0.6mmワッシャーを入れることにしました。これを入れると、締め込んでも赤いリングはスルスルと動くようになりました。
BROMPTONの右ペダルには折りたたみの機構は付いておらず、普通の自転車のペダルと同じです。よって、取り外しは普通のペダルレンチでできます。固くて手で回らなかった&突然の弛みでケガをしそうだったので、例によってこの角度にペダルレンチを差し込み、靴を履いた足で踏み込む。バキン! と緩みました。
代わりに、右用のQRD2を締め込み。前述の通り、締め込みには8mmのアーレンキーを使います。右も0.6mmワッシャーを前述の位置に挟み込みました。
ペダルを差し込むとカチン! と固定されます。
QRD2のリリースレバーになっている赤いリングの上に、樹脂製のカバー、セーフティーリングが被さっています。
これをクランクアーム側にスライドさせると赤いリングが動かなくなり、ペダルが取れなくなります。こうしておくと、走行中に誤って赤いリングが押されてペダルが外れる危険性が減ります。赤いリングは左右壁に挟まれているので、そうそう解除方向に押されることはないかと思いますが。
シューズはスポーツシューズライクなSH-CT70LGにしてみました。
SPDクリートを取り付けることができる、SPDシューズです。
言われなければ、SPDシューズだと気づかないのではないでしょうか。
最初は樹脂製の蓋が付いています。SPDクリート取り付けに当たり、不要になるので外します。
外して、代わりにSPDクリートを取り付け。SPDクリートはWellgo W-01 QRD2に付属しているので、それを使いました。
SPDクリートは消耗品。単体でも購入することができます。
クリートの取り付けはアーレンキーでやりますが、ネジへのグリース塗布がマストとのことです。
クリートの取り付け位置の決定方法は、サイクルベースあさひのページに詳しく書いてあるので、これを参考にしました。
SPD-SLクリートの取り付け 自転車 サイクルベースあさひ ネットワーキング店 通販
ページではSPD-SLという大きなクリートの取り付け方ですが、SPDクリートも変わりません。前後位置は拇指球と小指球の間。QRD2の機構の分、Qファクター(左右のペダル間の距離)が大きい(長い)ため、左右位置は外側にめいっぱいずらし、できる限りシューズの位置としては内側に寄るようにしました。
下掲の写真は調整前で、最終的に写真より前後位置はずっと前へ、左右位置は外側ギリギリに寄せました。
SPD-SLクリートのシューズとSPDクリートのシューズを比較してみました。SPD-SLはクリートがものすごく大きいですね! よりペダルに強固に固定されます。
BROMPTONに取り付けたWellgo W-01 QRD2に、シューズをパチンとはめてみました。このように裏返しても取れません。つま先側をひっかけて踏むとパチン! とはまり、かかと側を外側にこじるようにすると取れます。
折りたたみ式のペダルを取り外し式に交換したわけですが、すると気になるのが外したペダルの扱い。
輪行中はペダルを取り外し、上から輪行カバーをかけることになります。
しかし、悩むことはありませんでした。サドル下に輪行カバーを収納する袋を取り付けており、輪行中はここから輪行カバーを取り出すことになります。
ペダルを取り外す状況では、必ず輪行カバーを取り出した袋が空いているので、ここへ入れ替わりにペダルを入れてしまえばよかったのでした。
既にペダルを取り付けてから何度も輪行をしていますが、これで問題ありません。
ペダルを万が一落としてしまうと漕げなくなってしまうので、輪行カバーを入れる袋を丈夫なサドルバッグに交換したいところですね。
Wellgo W-01 QRD2を取り付けて、茨城のりんりんロードを走ってきました。
QRD2のジョイント部分は、手で持って上下左右に動かすとカタカタ音が出ますが、漕いでいる限りは特に気になりません。
ひとりぶろぐ » 折りたたみ自転車BROMPTONで、つくばりんりんロードを走ってきた
40kmほど平地を走りましたが、快適にペダリングができることを確認できました。
両足使えることでのトルクアップが実感できました。
ゼロ発進での加速はもちろん、一定の速度でクルージングするときも、足の筋肉のいろいろな部分をまんべんなく使え、速度を維持する助けになっている感じがあります。「踏む/抜く」の繰り返しでなく、回転運動を意識してまんべんなくトルクをかけていくと、20km/h以上の維持がそんなに辛くありません。
ゆっくり漕いだときにも疲れにくくなっているように思いますが、同一コースをビンディングありなしで比較していないので何ともいえません。
少なくとも、ビンディングペダルを漕いだ後でフラットペダルを漕ぐと、足がフワフワして不安になるということはいえます。
平地を走るだけでは物足りず、ビンディングの効能の確認がてら、先日奥多摩から日原鍾乳洞までのぼっていきましたが、随分と踏ん張りがきくようになり、立ち漕ぎはするものの、押して歩くことは一度もありませんでした。
一方で、市街地、商店街などを走るときは咄嗟の急停止が少なくない頻度で発生するので、両面ビンディングでは窮屈に感じることがあります。
コースが市街地寄りの場合は、ビンディング面とフラット面を状況に応じて使い分けられる、WPD-M17Cの方がいいかもしれませんね。
実はこのWPD-M17C QRD2も買ってしまいました。まだW-01 QRD2の方を使うばかりで試していませんが、ストイックに走るというよりあちこち散策する、あるいは写真を撮って回る僕のようなBROMPTON乗りには、こちらの方が向いているかもしれません。
SPDシューズは底が固く、鉄製のSPDクリートが接地するのでカチカチと音がして普通の靴よりは歩きにくいものです。
SPDシューズで日原鍾乳洞の洞内を歩いたときは、地面に濡れている場所が多く、クリートのせいでグリップは最悪。一度洞内の階段から滑り落ちそうになりました。足場の悪いところを歩く場合は注意が必要そうです。
観光重視のライトなサイクリングをするときのために、両面フラットなQRDペダルも買おうと思っています。
ペダルの使い分けが楽しめるのが、クイックリリース対応ペダルのいいところですね。