サイズと設置場所の検討

KINGROON KP3Sのカタログスペック上の寸法(サイズ)は以下のようになっている。

カタログスペック上の寸法

280mm
奥行285mm
高さ370mm
重量6kg

しかし、これは棚などに設置する際には考慮に入れる必要があるケーブル類や、前後に可動するベッドを考慮に入れていない寸法であまり参考にならない。

稼働させられる状態で閉じたキャビネットに入れる場合に考慮すべき寸法は以下のようになる。

なお、電源ユニットの設置については以下のページを参照。

この設置方法にすれば、電源ユニットのサイズを考慮する必要はなくなる。

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奥行の420mmは、ビルドステッカーの前にはみ出た持ち手の部分を含めている。前後逆に置けば405mm程度だ。

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閉じたキャビネットに入れる場合に考慮すべき寸法

390mm
奥行420mm(405mm ビルドステッカー前後逆の場合)
高さ380mm

前が開かれた棚に置く場合は、前後に可動するベッドの前側への移動によって生じる追加の寸法は考慮しなくてよくなる。

その場合に考慮すべき寸法は以下となる。

前が開かれた棚に置く場合に考慮すべき寸法

390mm
奥行360mm
高さ380mm

ベッドが前側に移動してきたときは、棚の前から飛び出るままにするということだ。

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前後に物がない棚に置く場合に考慮すべき寸法

部屋の真ん中にある棚(シェルフ)など、本体の前後に空間がある場合は、ベッドの可動範囲は無視し、本体下部のベースの部分の寸法だけを考慮すればいいかもしれない。

その代わり、電源の設置は別途考える必要がある。

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185mm
奥行235mm(285mm ステッピングモーター含む)
高さ380mm

四つあるゴム足の幅、奥行きは以下だ。

170mm
奥行210mm

考慮すべきABS造形のための保温環境

3Dプリンターで使えるフィラメントにABSがある。

ABSは紫外線には弱い一方PLAより耐熱性があり、造形がカッチリとして綺麗で、糸引きせず、サポートが取りやすいという特徴がある。

ABSは筆者が好んで使うフィラメントだ。

その代わり、ABSは冷却時の収縮が強く、造形中は周囲の温度を30度〜40度に保っておく必要があり、造形終了後もゆっくり冷やす必要がある。

これを怠ると、造形物が猛烈に反り返って造形不良となってしまう。

これを防ぐにはKINGROON KP3Sを箱のようなものに入れて密封する必要がある。

周囲を壁で囲むと100度に熱したヒートベッドの熱で冬でも中が30度程度に温められ、結果的にABSの造形が安定する。

KINGROON KP3Sの設置場所を検討する上では、ABS造形のための環境も同時に考慮すると活躍の場が広がる。

なお、造形に最低限必要なステッピングモーターやホットエンド、ヒートベッド以外の電子回路、特に電解コンデンサーは熱に晒すと寿命に影響するため、可能なら箱の外に置いた方がいい。

この点で電源ユニットが別体式のKINGROON KP3Sは好都合だ。

KINGROON KP3Sを収納できる棚は?

IKEA PLATSA(プラッツア)

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筆者が愛用している生産完了になったSTUVAの後継シリーズPLATSA。違いがよく分からない。

ANYCUBIC MEGAシリーズまでカバーできるエンクロージャー。(Ender-3シリーズには小さい)ANYCUBIC MEGAではABSの造形はバンバンいけている。

静音効果もあり、高音系のファンノイズはかなり減る。一方、低くうなるモーター音などは響くので、ジェルパッドなどでの制震をやる必要はある。

ガラス扉も用意されている。このサイズでガラス扉付きは市販品として恐らく唯一の品。

フィラメントごとKINGROON KP3Sを設置するなら好適。ただし、部屋をかなり圧迫する。

KINGROON KP3Sの小さめのヒートベッドに対しやや体積が大きいので、庫内温度がなかなか上がらない可能性はある。

追加で棚板を買うと高さ方向を低くできるので、扉側の隙間に隙間風防止のスポンジを入れつつ温度を上げやすくする選択肢はある。

2段積みまではいける。

フレーム

ガラス扉

ヒンジ

棚板

キタジマ スマートラック NSTR-627

@TaroKichijo 氏の使用しているスチールラックであるキタジマ スマートラック。

棚板は45cm x 45cmでKINGROON KP3S用として申し分ない。

2台以上縦置きが可能で、IKEA PLATSAよりコンパクトにまとめられる。

高さは45cmから210cmまで8段階から選ぶことができ、大変優れたシェルフだ。

柱の部分にはネジ穴がたくさん開いていて、カスタムしやすい。

素材は鉄で、磁石がくっつくということにも着目したい。

KINGROON KP3Sを設置した段の側面と奥、そして表に壁や扉を張って、ABS造形のためのエンクロージャー(箱)に仕立てることが容易だということだ。

サイズに余裕があるので、吸音のために厚めの壁を立てることもできるだろう。

単体販売のある追加板を購入し、関連グッズごと収納するオーガナイザーとして仕立てることも可能だろう。

アイリスリスオーヤマ メタルラック 奥行35cm

特別なアドバンテージがあるというわけではないが、最低奥行き35cmあれば、アイリスリスオーヤマ メタルラック、ドウシシャ ルミナスラックにKINGROON KP3Sを設置することが可能だ。

筆者が今そうしているが、ほとんど部屋を圧迫しない、さりげない存在感がいい感じだ。

ただし、ベッドが前側に5cmほどせり出すことを考慮する必要はある。

幅80cmあれば、上の段からフィラメントを供給できるように工夫する必要はあるが、横に2台置くことができる。

一方で奥行35cmでは箱状に閉じることは困難でABS造形には辛いが、Easy ABSやPETGを使うなどでエンクロージャー(箱)に頼らず高温系樹脂の造形に対応する選択肢もある。

ドウシシャのルミナスラックであれば最大で奥行き61cmのものがあるので、六面全部壁扉を張らなければならず大変だが、奥行き42cm以上あればエンクロージャーを構成するのも不可能ではないだろう。

奥行46cmのオーダーマルチラック

奥行46cmのタイプが選べるオーダーマルチラックはKINGROON KP3S設置棚として有力候補になりうる。

オーダーでありながら、比較的安価でもある。

幅は15cm〜70cmまで1cm単位で。

高さは49cm〜200cmまで10段階から選べる。

ただし扉は付いていないので、エンクロージャーとして使う場合は工夫しないとならない。

YournitureのオーダーカラーボックスSIMPLE BOX

現在コロナ禍で納期が見えない状況だが、比較的安価にカラーボックスがオーダーできる。

420(幅) x 440(奥行) x 410(高さ)というKINGROON KP3Sピチピチサイズでカスタマイズしてみると、5,782円(税抜)と出た。

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フィラメントをどう供給するかによって、サイズをどうするべきかは変わってくるだろう。

エンクロージャーとして使う場合には、扉を別途用立てる必要はある。

ジョイントマットで作るエンクロージャー

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室内トレーニングなどで使うジョイントマットを箱状に組んでエンクロージャーにする方法がある。

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別ページで解説している。

ダイソーのワイヤーネットで作るエンクロージャー

別途設置する台などを用意する必要があるが、ABS造形のための温室作りにダイソーの40cm x 40cmのワイヤーネットが利用可能だ。

https://twitter.com/maruc1221/status/

ほかの100円ショップにもワイヤーネットは置いているが、40cm x 40cmというKINGROON KP3Sに最適なサイズを置いているのはダイソーだけだと思われる。

ワイヤーネットのほかに壁となるものが必要だが、同じくダイソーで入手できるビニールのテーブルクロスを使っているそうだ。

何枚か貼り重ねる必要があるが、ダイソー、セリアなどの100円ショップで一般に入手可能なプラダン(セリアのものは50cm x 35cm)を壁とする手もあるだろう。

武田コーポレーションの収納スツールをエンクロージャーに流用

38cm x 38cm x 40cmという縦に少し長い収納スツールを横倒しにしてエンクロージャーに使うというアイデア。

ある程度遮音性があるため、静音化に寄与するそうだ。

KINGROON KP3S稼働時に一番場所を取る奥行き方向を、横倒しした縦長の収納スツールの長辺でカバーするという絶妙さ。

しかし、その長辺でもカバーし切れず少しはみ出すということだ。

その分は、蓋となる座面を浅くはめるなどすればOKだろう。

ただ、そのまま使うと中が見えないため、蓋の部分はDIYで窓付で作ることになりそうだ。