ホットエンドの分解組み立て

ダイレクトエクストルーダーを構成するKINGROON KP3S 1.0のホットエンド周り。他では見ない構造をしている。

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エクストルーダーはMK8タイプ。

普通ならテフロンチューブがつながるクイック継手が付くエクストルーダーの出口となるM6のネジ穴に、珍しいM6 x 40mmのヒートブレイク(ノズルスロート)が付く。

そのヒートブレイクにヒートシンク、ヒートブロック、ノズルが、串に刺された焼き鳥のように連なった構造をしている。(ヒートブレイクからヒートシンクが外せていないのはイモネジをなめたから😅)

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低価格機ゆえの簡素な構造と感じるが、KINGROON KP3Sの造形品質は事実として高水準。必要十分だということだ。

安価な汎用部品を組み合わせて性能に問題ないダイレクトエクストルーダーを構成しているのは、なかなか素晴らしいと感じた。

この独特な構造のホットエンド。V5、V6ホットエンドの扱いに慣れていると勝手が違い、分解・組み立てに戸惑ってしまうかもしれない。

ホットエンドの分解、組み立て方法、そしてノズルの交換方法を解説する。

中華ネジ、特に六角穴付きネジはかなりなめる頻度が高いように思う。

ホットエンドのメンテ中に、外さなければならないパーツのネジをなめると最悪の気分だ。

しかし、備えあれば憂いなし。筆者はなめた六角穴付きボルトを外すための工具を持っていて九死に一生を得ている。

工具を買ってから既に4回ほどやっているので、三十六死に四生を得ている計算だ。

ネジモグラを使うと、何ともあっけなくなめた六角穴付きネジを外すことができる。

エンジニアのものより信頼性は低いかもしれないが、2mm以下のケースにも対処しようと、以下のものも買ってある。

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ネジモグラは中華プリンターいじりに必携:

ノズルの外し方

V5、V6ホットエンドに慣れていると、ノズルやヒートブロック周りをいじろうとするときに、ノズルやヒートブロックだけをレンチで回そうと思うかもしれない。

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しかし、KINGROON KP3Sではそれはうまくいかない。

最初にやるべきは、エクストルーダーを分解して、上から抜き取ることだ。

ホットエンドの分解

エクストルーダーをノズルごと上から抜き取るには、結束バンドで止めてあるヒーターの配線を解放しないとならない。

結束バンドを切断してフリーにする。

同時に、ヒートシンクの冷却ファンも配線がヒーターの配線と連なっているので、冷却ファンも外す。

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筆者は冷却ファンの配線の途中にコネクターを挟む改造を施しているが、無視してほしい。

MK8エクストルーダーの3本のネジを外す。

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スプリングに支えられたレバーを外す。

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レバーの下にあるもう一本のネジも外す。

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MK8エクストルーダーをノズルごと上に抜き取る。

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MK8エクストルーダーと、ヒートブロックのヒーターの向きの位置関係。これを取り付け時に再現する必要があるので覚えておく。

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エクストルーダー用のステッピングモーターも外す。

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ヒートブロックをモンキーレンチで挟み、MK8エクストルーダーをねじって外す。

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ヒートブロックをモンキーレンチなどで挟み、7mmのレンチでノズルをノズル先端から向かって反時計回りに回してノズルを外す。

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ヒートシンクや、ヒーター、サーミスタを外す場合は、イモネジを緩めて外す。(筆者のヒートシンクのイモネジはナメていて外せないので放置😇)

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ホットエンドの組み立て

ホットエンドの組み立て方はとても重要だ。

しくじるとヒートブロックの上下から樹脂漏れを起こす可能性があるからだ。😠

下図は前提知識として覚えておきたい。

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まず、ヒートブロックにノズルを取り付ける。取り付ける際は、上図の通りノズルの段差とヒートブロックの間に隙間を作る。

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続いて、ヒートブレイクをヒートブロックに取り付ける。

ヒートブロックの中で、ヒートブレイクの先端がノズルのお尻とぶつかるはずだ。

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7mmのレンチとモンキーレンチでノズルをいったん締める。

真鍮のノズルは強く締めるとあっさりねじ切れてしまうので、やり過ぎないように注意。

筆者はこれまで2回ノズルをねじ切って大変な目に遭った。

KINGROON KP3Sでも一度やっていて、そのときは希少な40mmのヒートブレイクごと逝ったので高くついた。

ねじ切るリスクの少ないノズルに、ステンレスノズルがある。とんでもなく高い品質のプリントをするデルタ機使いのオール氏( @shiina_chang )の推奨ノズルにAFUNTAのものがある。

筆者もオール氏の勧めならと買ってみたが、表面になかなかフィラメント汚れが付かないことに差異を感じ、また普通のノズルより不思議とマットな仕上がりになって気に入った。

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ヒートブレイクのお尻にMK8エクストルーダーを取り付ける。ヒートブロックをモンキーレンチで挟んで締める。

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ヒーターとサーミスタをイモネジで固定。

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この時点では、MK8エクストルーダーと、ヒートブロックのヒーターの向きの以前の位置関係を再現できていないので向きを調整する。

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ノズルを緩め、ヒートブロックを回せるようにしたら、以前の向きになるよう調整。

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向きが狂わないよう注意しながらノズルを締める。

本項の冒頭で紹介した前提知識を思い出し、ノズルを締め込んでもヒートブロックとノズルの間の隙間がなくなっていないか確認できたら、後は分解の逆をやって組み立てるだけだ。

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ホットエンドの交換部品について

KINGROON KP3Sに使えるのは、E3D V5 V6互換ノズル。

E3Dというのは3Dプリンターの押出し装置全般を作っている会社。

自社のプロダクトをオープンソースハードウェアとして公開し、3Dプリンターの事実上の工業規格を作っている。

互換品が中国で作られ安価に販売され、またそれを使ったほぼ完成品の3Dプリンター販売されているが、質を求めて本家の製品を買う人も少なくない。

V5互換のANYCUBIC MEGA-S、MEGA Pro、MEGA-X、Chiron、V6互換のOriginal Prusa i3 MK3Sなどと共通だ。

ヒートブロックの方はV5互換。V5互換のヒートブロックには種類があるが、真鍮パイプやステンレスカートリッジに入っていない生のサーミスタなので、サーミスタ用の穴が小さいタイプを選ぶ。

日本のAmazonにはKINGROON公式がホットエンド周りの補修部品を提供しておらず、ノズルと40mmのヒートブレイク以外は入手性が厳しいことになっているので、何事もないうちにAliExpressのKINGROON Official Storeか、親会社のKee Pang Official Storeで予備を買っておくことをおすすめする。

日本のAmazonAliExpress
MK8エクストルーダー×
向きが逆のものしかない
40mmヒートブレイク
時期によって高い
ヒートシンク
仕様が少し違う中国発送のものしかない
V5ヒートブロック×
V6ばかり。V6ヒートブロックはカートリッジタイプのサーミスタを使うので、穴がでかい
V5 V6互換ノズル

日本のAmazonで入手できるもの

AliExpressで入手できるもの