電源ユニットの冷却ファンを静音化する
KINGROON KP3Sの電源ユニットの内蔵冷却ファンは、負荷が高くなると回転を始める。
(現在販売されているバージョン付属の電源ユニットは、電源を入れた直後からファンが一定回転数で回転を続けるものになっている)
それが比較的うるさい。
- KINGROON KP3Sの電源ユニットの冷却ファン仕様
- 電圧
- 24V
- サイズ
- 6015
- 定格電流
- 0.10A
- 電圧
生活空間に3Dプリンターを設置せざるを得ない住環境の筆者は、電源ユニットに12cmの冷却ファンを装着して静音化を行った。
電源ユニット上面を置き換える12cm冷却ファンを取り付け可能なカバーを作成し、それを取り付けることで静音化した。
カバーのデータはThingiverseの以下のページにアップロードした。
交換用の12cm冷却ファンには、PC用で定評のあるNoctuaのものを使用した。
筆者は絶対に静音性能を外したくないのでNoctuaを選んだが、安価な3Dプリンターにここまで出せないという場合は、以前3Dプリンター界隈の人が勧めていた約800円のAntec F12などが定評があっていいかもしれない。
免責
改造によって火災が引き起こされる可能性もあるため、実行は自己責任で行ってください。
筆者は結果に責任を負えません。
24Vを12Vに下げる抵抗分圧回路の作成
KINGROON KP3Sの電源は24V出力。
PC用の12cm冷却ファンは12V動作のものが普通なので、24Vの電源に接続する場合は電圧を下げないとならない。
このような場合、DC-DCコンバータや抵抗分圧回路を使う。
DC-DCコンバータには小型で安価な既製品がある。ツマミ一つで出力電圧を調整できて大変便利。
しかし、電源ユニットの冷却ファンは発熱に応じてPWM制御をしているようなので、受動素子のみで構成された抵抗分圧回路を使うことにした。
(現在販売されているバージョン付属の電源ユニットは、電源を入れた直後からファンが一定回転数で回転を続けるものに変わっているため、DC-DCコンバータを使用すればよい)
今回交換用に用意した冷却ファンはNoctua NF-P12で、これは定格が12V 0.09A。
実際にNoctua NF-P12に定格12Vの電源と、電流計測モードにしたテスターを接続して計測したところ、流れた電流は0.08Aだった。
24Vの電源に接続する場合は、150Ωの抵抗を入れればよいことになる。
しかし筆者は0.05AのNoctua NF-F12程度に回転数を遅くするため、240Ωの抵抗を入れることにした。
このときの消費電力は0.6Wなので、1Wに耐えうるようにする。
つまり、1Wに耐えうる240Ωの抵抗を入れればいいということになる。
手持ちの抵抗は大体1/4Wのものなので、4本並列につないで240Ωになるようにする。
抵抗を並列につなぐと、同抵抗値の場合、合成抵抗は半減していくので、4本並列の場合は240 x 4で960Ω。
1/4W 960Ωの抵抗を4本並列で接続すればいいというわけだ。
入手性のいいE24系列の抵抗にある近似値は1kΩ。
Noctua NF-P12を24Vの電源に接続する場合、1/4W、1kΩのを4本並列につないだものを間に入れれば筆者想定のスピードで動くようになる。
JST XHコネクタを圧着する必要が出た場合に備え、以下のページに方法を解説しておいた。
用意した4本の抵抗をユニバーサル基板上に川の字に並べて半田付けし、両端をショートさせる。それを冷却ファンの+側に挿入する。GND側には何も入れない。
Noctuaのファンの場合、コネクタを切断し、黄色と黒のケーブルだけ使う。
黄色が+、4本束ねた抵抗は黄色のラインに接続する。
黒はGND。JST XHコネクタの黒の側にそのまま接続するだけ。
緑と青のラインは何にも接続しない。
組み立て
まずはファンとマウントをねじ止めする。ファンとマウントの固定には、M3 * 16mmの皿ネジ4本を使用。
ケーブルを溝に押し込み、コの字型になった部分の内側にケーブルを入れる。
ファンの四隅を用意したネジで固定。
M3 * 10mmの六角穴付きボルトを8本用意。
用意した六角穴付きボルトでファンマウント左右に、ケース固定用のパーツをネジ止めする。
電源ユニットの上面のカバーを外す。
ここは、1本は封印シール下のもの。そしてその左隣にあるネジを外す。その下の真ん中にあるネジは外す必要はない。
標準のファンは、内気を外に追い出す向きで取り付けられていることに注意。軸流ファンは、メーカー名やスペックが書いてあるラベルが貼られている方に向けて風が起きるようになっている。
ファンのコネクタを接続。
そして、元あったカバー同様に、新しいカバーを取り付けたら出来上がり。
電磁波障害回避のためにできること
もともとステンレスのカバーだったものを、樹脂製のカバーに換装することで、内部の電磁波が遮られることなく外に出てくるようになってしまうことになる。
これは、100円ショップなどで手に入るアルミテープを樹脂パーツに貼ることで防止可能と思われる。
100円ショップでも、店によってはアルミテープの厚さを選べるので、できるだけ厚いものを選んだ方がいいだろう。