PEIばね鋼板は、ばね鋼板の上にPEI(ポリエーテルイミド)のフィルムが貼られた構造になっている。
PEIは耐熱性に優れた樹脂。
しかし、ABS、PETG、TPUなどPLA以外のフィラメントの造形に使っていると、比較的短期間に破れてダメになってしまうことだろう。
PLA以外だと定着が強すぎて傷みが激しいのだ。
TPUに至っては定着が強すぎて、剥がす際に造形物の方が歪んでしまうこともしばしば。
破れてしまったらダメになったPEIを剥がす必要に駆られる。
しかし、これが一筋縄ではいかないのだ。
PEIの接着には3Mの超強力粘着が使われていると思われるが、これがとてつもなくやっかい。
そこで、その剥がし方を解説したい。
筆者も大変苦労したが、貴志産業( @VBXNwi )氏をはじめとする諸氏にご教示いただき作業を完遂することができた。
そこで得た知識をまとめた次第だ。
PEIフィルムの剥離
まずはPEIフィルムを剥がそうと思い、ペンチなどで引っ張っても強固に張り付いていて絶望することだろう。
これはいったん冷凍庫に入れ、しばらく置いてから、冷凍庫から出した瞬間にペンチなどで引っ張ると、バリバリと大きな音を立ててあっけなく剥がれる。
ただし、剥がれるのはPEIだけで、強力粘着物質はばね鋼板上にそっくり残ってしまう。
強力粘着の処理方法
残った強力粘着物質がまた処理に困る。
石油系のシールはがしを使っても、埒が明かない。
この強力粘着物質には、柑橘油、オレンジオイルを配合したシールはがしが覿面に効く。
あれだけ頑固だった粘着物質が、ブヨブヨとした物質に変容していく。
作業にはキッチンペーパーを使った。ワイプオールX70のような水洗いができるタイプのペーパーウエスも向いている。
いろいろなものを侵す可能性があることと、強烈な柑橘系の臭いがあるので、筆者はレジ袋の中で作業を行なった。オイルを吸収する新聞紙をその下に敷いておくとベストだろう。
一時は捨てることまで考えたばね鋼板が救い出せた。
フィルムの貼り替え
貼り替えに使うフィルムには、市販の3Mのプラットフォームシート(ポリエステル)やPEIを使うのが安牌だろうが、1枚1,000円して結構高い。
幅広のマスキングテープ。
セリアなどの百均で売っているポリエステルの「ガラス破り防止シート」。細かい違いはあるかもしれないが、3Mのプラットフォームシートと同じ樹脂種だ。
ダイソーなどの百均で売っているPETの「窓ガラス用防犯フィルム」を使うのがおすすめだ。
いずれもPEIほどABS、PETG、TPUと強力にくっついてしまうことがなく、長持ちすると思われる。
また、破けてしまっても安いので気兼ねがないし、PEIほど強力な粘着は使われていないため、貼り替え時に大変な思いをすることもないからだ。
PETだとPETGとの癒着が問題にならないか気になるが、実際に使っている諸氏によれば大丈夫とのことだ。
跡が結構残るのでくっつき過ぎはありそうですが、剥がれない安心と張り替えの気安さから実用には十分と思ってます。 pic.twitter.com/wcWRVGylUP
— ぺんほり (@PENHOLI1) January 31, 2022
ベッタリつけるPETGばかりやってますが綺麗に剥がれますよ pic.twitter.com/8MishS6d4a
— caesar (@caesar02) January 31, 2022
防犯フィルムは水貼りすることになるが、必要な霧吹きは百均で入手した。
ジェネリックビルドシートその2。
— moyashi (@hitoriblog) July 23, 2020
ガラス破り防止シート。ポリエステルフィルム、40x25mm、厚さ188ミクロン。セリアで発見。中性洗剤薄め液で水貼り。ANYCUBIC Chironに貼ってみた。普段使ってるスクレイパーで綺麗に貼れた。これだけピシッと貼れるなら2枚使用で全面貼っても継ぎ目目立たないかも。 pic.twitter.com/ELQv2k3smU