磁気ベースの貼り替えとPEIばね鋼板の導入

KINGROON KP3Sのヒートベッドに貼られた磁気ベースも磁気ビルドステッカーも熱に弱い。

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60度以上で使っていると、何かしらのトラブルと遭遇する可能性が高くなる。

磁気ビルドステッカーはPETGと相性が悪く、磁気ビルドステッカーの上にPETGで造形すると癒着して剥がれなくなる。

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磁気ベースの上にガラスプレートなどを置いて使っても、100度などの高温まで上げると磁気ベースがめくれ上がってきたり、磁気ベースとガラスプレートが固着するトラブルの発生につながることもある。

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PLA以外の、相対的に高温を必要とするフィラメントを使う場合は、ヒートベッドから磁気ベースを剥がし、その上にガラスプレートを置くというのがシンプルな対策になる。

ガラスプレートは、100円ショップで買える鏡であってもいい。

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ガラスプレートを使う際の問題は、ヒートベッドとの固定にクリップを必要とするところだ。

180mm x 180mmと小ぶりなサイズのヒートベッドで、ANYCUBIC MEGA-Sのようにビルドスペースの外にまでベッドが広がっている機種と異なり、端ギリギリまでが造形スペースになるKINGROON KP3Sの場合、ガラスプレートの固定に使うクリップがノズルと接触することになりがち。

特に、3D Touchを使った自動ベッドレベリングをする際に問題が顕在化する。

このような問題を一挙に解決する手段として、高温に耐える磁気ベース、そして高温に耐えるPEIばね鋼板を導入する選択肢がある。

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標準でヒートベッドに貼り付けられている磁気ベースは熱に弱いが、耐熱130度〜140度をうたうKINGROON KP3Sに適合する磁気ベースが、PEIばね鋼板とセットで販売されているのだ。

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PEIばね鋼板は、ピーポリエーテルイミドのシートが表面に貼られたステンレス製のばね鋼板のこと。

磁気ベースに吸着し、PEIの特徴である高定着性、耐熱性の恩恵を受けることができる。

着脱の利便性と造形の容易さを兼ね備えることになり大変便利。クリップを使った際の弊害とも無縁だ。

KINGROON KP3Sに適合する磁気ベース付きPEIばね鋼板の代表例が二つある。いずれも日本国内での扱いはなく、AliExpressからの購入となる。

一つはKINGROON純正品だ。マットな質感になるテクスチャ付きの模様。KINGROON KP3S用の180x180mmのものは2021年9月現在1,562円送料無料と非常に安い。

耐熱性についてのスペックの記載がないが、筆者が確認したところ、付属の磁気ベースは130度の耐熱性があり、100度での常用に耐えるとのことだ。

もう一つはPEIばね鋼板の老舗、ENERGTIC 3Dのもの。最近まで磁気ベースとのセット品がなかったが、140度の耐熱性のある磁気ベース付きが買えるようになった。

KINGROONの方は耐熱性のスペックが不明だったため、筆者はENERGTIC 3D製を買った。

磁気ベースの貼り換え作業

磁気ベース付きのPEIばね鋼板を使おうとすると、当然ヒートベッドに貼られた既存の磁気ベースを剥がさないとならない。

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作業の難度が読めず気が重くなるが、やってみると意外と簡単だった。

筆者の経験によれば、ANYCUBIC MEGA-Sのヒートベッドに貼られたガラスプレートを剥がす作業の1/10000ぐらいの難度だった。

貼り換え作業はヒートベッドを本体から取り外した上で行なう。

さもないと、リニアレールやリニアブロックなどにダメージを与えかねないからだ。

四隅にあるレベリング調整ノブを緩めて取り外すと、ヒートベッドを上に抜き取れる。

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磁気ベースの方がヒートベッドより大きいため、磁気ベースの四隅を確認すると、剥がしやすい段差が生じているところがあるはずだ。そこを手掛かりにして作業を開始する。

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ある程度まできたら机の端にヒートベッドを立てて置き、両手で上から下へと引き下ろすように体重をかけて剥がしていく。

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立てたヒートベッドの縁に顎を乗せて固定し、両手は磁気ベース剥がしに専念するとやりやすいだろう。

ヒートベッドの面に対し垂直に力をかけるとヒートベッドが曲がる可能性があるため、それを避けるためのやり方(ヒートベッドの面に対しできるだけ平行に近い感じで力をかける)にもなっている。

意外と糊残りがなく、筆者の場合2台分作業していずれも端一列に残るぐらいで済んだ。

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新しい磁気ベースを貼る際は、保護紙を端一列だけ剥がして折り返す。

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粘着面が浮いた状態になるので、位置合わせがやりやすい。

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位置が決まったら、端から徐々に保護紙を抜き取りつつ指で横にしごいて貼り付けていく。

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結果、貼り換え作業は恐るるに足らずな感じだったので挑戦してみるといい。KINGROON KP3Sの欠点が大きく補われた実感を得られるだろう。

ばね鋼板は金属であるために、宿命として温度による伸び縮みがガラスより大きい。

温度を上げるとヒートベッドに接触している面の方が伸び率が高くなり、外側が反り上がるような変形をすると思われる。

3D Touchを導入して使用温度に上げた上で自動レベリングを行なう環境を整えるか……、

使用温度に上げた上で手動メッシュベッドレベリングを実行した上で使うことを推奨する。